| ポルシェは「一定の目標」が達成できなければハイパーカーを発売することはない |
そして目標達成には大きな「壁」が存在するはずである
さて、ポルシェはスポーツカー製造開始75周年を記念して(2023年に)ピュアエレクトリックハイパーカー、ミッションXコンセプトを発表しています。
このクルマについては「ポルシェの新しいハイパーカー」を示唆する存在であるのには間違いがなく、しかし発表以後はほとんどこれに関するコメントがなされたかったのもまた事実。
しかし今回、ポルシェのCEOであるオリバー・ブルーメ氏が「ミッションXを生産するかどうかについての決定は今年後半に行われる」と述べ、再びミッションXに大きな注目が集まっています。※昨年7月にも市販化の協議が行われるという報道もあったが、この続報はない状態
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ポルシェ・ミッションXはこんなクルマ
そこでポルシェ・ミッションXについておさらいしてみると、ピュアエレクトリックパワートレーンを搭載して「パワーウエイトレシオ”1”」を実現するハイパーカー。
ただし(搭載されるエレクトリックモーターの数を含めて)パワートレーンの詳細、正確な出力については言及されておらず、これは「エレクトリックパワートレーンそのものが発展途上であり、現時点では使用するバッテリーの種類や容量すら決定できない」ことに起因しているのかもしれません。
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このほか言及されている数値だと、時速200km時点で約410kg、時速285kmでは860kgものダウンフォースを発生する(992世代の911GT2よりも大きいい数字)というものがありますが、加速データや最高速についても現時点では「ナゾのまま」。
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ポルシェのハイパーカーは常に「特別な存在」でなくてはならない
なお、ポルシェがこれまでにリリースしたハイパーカーというと「959」「カレラGT」「918スパイダー」。
そしてポルシェが自社のハイパーカーに求める要素は「絶対的な速さ」「革新性」の2つだとされ、その速さを客観的に証明できる(ニュルブルクリンク最速など)存在でなければ発売する意味はなく、しかしいかに速くとも既存技術しか使用していないクルマであってはポルシェのハイパーカーとしては不十分である、というわけですね。※当時、市販車としてはじめてニュル7分切りを達成し、革新的なハイブリッドシステムを有していた918スパイダーはこの格好の例である
実際のところ、ポルシェはこれまでにもいくつかのハイパーカーの企画を立ち上げていますが、「ケイマンの車体にリッターV8エンジンを押し込んだ」とんでもなく速い試作車を作ったことがあるものの、これは「そこには革新的な技術が盛り込まれていない」ということでボツになっています。
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よってポルシェが今の時代にハイパーカーを登場させるならば、もちろんのこと「ニュルブルクリンク最速」でなくてはならず、これはメルセデスAMG Oneの6分35秒18を凌駕する必要があるわけですが、現在「EV最速」であるリマック・ネヴェーラのタイムは7分05秒298なので、今の技術ではEVがニュルブルクリンクの王座を獲得することは非常に困難かもしれません。※とくに、リマック・ネヴェーラは「この程度の数字であれば、タイムを発表すべきではなかった」と言われたくらいなので、ポルシェはEVセグメントだけではなく市販車総合トップを狙うであろう
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よってポルシェは「ピュアエレクトリックパワートレーンを搭載し、ニュルブルクリンク最速」を実現できる見込みがない限りはミッションXを発売することはないものと考えてよく(BEVではなくハイブリッドという選択肢もあるが、それは今のポルシェの方向性からすると可能性が薄い)、現在はそのチャンスを伺っている状態なのだと思われます。
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なお、仮にミッションXが市販されるとしても相当に台数が制限されることは間違いなく、市販化を発表する頃には全台数が完売しているのかもしれません(959は292台、カレラGTは1,270台、918スパイダーは918台のみが生産されている)。
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参照:Car Sales