
| ポルシェ、「フラッハバウ(Flachbau)」の商標を新たに申請 |
現在のポルシェの状況を考慮するに、この登場は「非常に現実味が高い」
ポルシェがEU知的財産庁(EUIPO)に対し、「Porsche Flachbau」と「Flachbau RS」という2つの新たな商標を申請したことが明らかに。
申請日は2025年5月14日で、これが意味するのは、1980年代に登場した伝説的な911「スラントノーズ(Slantnose)」の復活かもしれません。
「フラッハバウ(Flachbau)」とは?— スラントノーズの魅力
「フラッハバウ」とはドイツ語で「平たい造形」、つまり英語で言う「スラントノーズ(Slantnose)」を指します。この名称は、かつてポルシェ911ターボの特別オプションとして登場したもので、特徴的なフロントフェンダーと丸目ヘッドライトを廃し、フラットなノーズにリトラクタブルライトを備え、レーシングカー「ポルシェ935」を彷彿とさせるルックスを実現したものとしても知られています。
1980年代にごく少数が生産され、1994年の964ターボSでも復活したことがありますが、こちらには928スタイルのポップアップライトが装備されており、オリジナルのスラントノーズとはやや異なる形状を持っています。
なお、このスラントノーズは日本だと「フラットノーズ」と呼ばれることがあり、当時は「ポルシェがフェラーリを意識して導入した」「後ろ向きに走ったほうがマシと言われた空気抵抗を改善するために導入した」などと揶揄されましたが、当時のポルシェは「いったん(通常の911として)完成したクルマを分解してスラントノーズ仕様に作り変える」という非効率な手法を採用していたため、そのオプションコストは車両の60%程度であったと言われます(つまりこれを装着すると車両代金が1.6倍になる。よって装着車はごくわずかにとどまり、これが結果的にスラントノーズの価値を押し上げた)。
単なる商標保護か?それとも新たなヘリテージモデルか?
もちろん、自動車メーカーが古い商標を保護目的で再登録するのは珍しいことではありません。
しかし、近年のポルシェは、現行992世代の911をベースに、以下のような年代別オマージュモデルを展開してきたという歴史もあり、とくに930ターボにおいては「初代の内装を連想させる」オプションを現行911に設定しているため、もしかすると「(非常に高価な)オプションとして」スラントノーズを蘇らせる可能性もありそうです。
- 911 Targa 4S ヘリテージデザインエディション(1950年代へのオマージュ)
- 911 スポーツクラシック(1960年代風のデザイン)
- 911 スピリット70(1970年代のスタイルを現代に)
なお、ポルシェはこの「ヘリテージ」シリーズを4モデル展開する計画を示唆しており、1980年代を象徴するモデルとして「フラッハバウ」は非常に理にかなっていて、その場合は「非常に限られた人だけが購入できる少量生産限定車となりそうですが、実際にどうなるかはポルシェからの正式発表を待つしかなさそうですね。
「フラッハバウRS」=GT2 RSのスペシャルバージョン?
さらに興味深いのが「フラッハバウRS」の出願。
現在ポルシェは次世代の911 GT2 RSを開発中だとされており、これにスラントノーズのデザインを組み合わせた特別仕様車が登場する可能性も考えられ、もしそれが実現すれば、世界中のコレクターたちがこぞって争奪戦を繰り広げるのは間違いないものと思われます。
スラントノーズ復活の可能性は高い?
もちろん、これらの商標申請が今すぐ新モデルの発表に直結するとは限りません。
ただ、過去の流れやポルシェの特別仕様車戦略を見れば、「フラッハバウ」復活は実に魅力的で、現実味のあるアイディアです。
加えて、現在「財政状況が芳しくなく」「過去のヘリテージを活用した限定車の販売で利益を確保する」という直近の流れを考慮すると「ますます」現実味も高まります。
「フラッハバウ」や「スラントノーズ」は、911の歴史の中でも特にユニークで象徴的な存在でもあり、今回の商標申請が何を意味するのか、そして今後のポルシェの発表に注目が集まるところですね。
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参照:EUIPO