
| ポルシェが718ケイマンとボクスターに「ガソリンエンジン」を搭載するとなれば、これ以外の方法はないだろう |
ポルシェ718ケイマン/ボクスター、次期モデルは911由来のハイブリッドエンジンを搭載へ?
ポルシェは数週間前、718ボクスター/ケイマンの「内燃機関モデル継続」を正式に明言しており、特に上位グレードではガソリンエンジンが引き続き搭載されるとCEOのオリバー・ブルーメ氏が投資家向け説明会で語っています。
そして現在、その“次世代718”に搭載される可能性が高いパワーユニットが「911の新開発ハイブリッド水平対向6気筒」であるという情報が浮上しており、大きくそのパフォーマンスが引き上げられる可能性があるもよう。
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911 GTSのハイブリッドユニットを移植? その合理的な理由
この情報は英Autocarによるもので、公式なポルシェからの発表はまだないものの、論理的には非常に筋が通っています。
「筋が通っている」最大のポイントはハイブリッドユニットのコンパクトさで、なによりこの新しいエンジンは911の標準的なツインターボ6気筒よりも短く設計されており、718のようなミドシップ車両にも適合しやすい構造を持っているから。
Image:Porsche
そしてこのコンパクト化を可能にしているのが、電動ターボチャージャーですが、電動化によりツインターボが不要となり、1基のターボで十分な過給を確保できるうえ、モーターが素早くスプールするためレスポンスも犠牲にならない(ターボラグがない)というメリットを持っています。
さらに、ポルシェは(おそらくコスト削減のため)今後911と718の共通化を進める方針を掲げており、既存のパワートレイン流用は開発コストの面からも合理的であると考えられます(ポルシェ987以降、マーケティング上の理由にてボクスター・ケイマンと911シリーズとの差別化を図ってきたが、再びその差が縮小することになる。ただ、以前とは異なってボクスター・ケイマンに対するネガティブなイメージは薄れている)。
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現行モデルを超えるパフォーマンスの可能性
このハイブリッド水平対向6気筒(3,591cc+エレクトリックモーター)は現在911 GTSにのみ搭載されており、
- 最高出力:541馬力
- 最大トルク:610Nm
と、現行718の最強モデルであるケイマンGT4 RS/ボクスター・スパイダーRS(500馬力)を大きく上回るスペックを誇ることに。
そのため、718シリーズにこのユニットが搭載されれば、史上最強の718が誕生するのは確実で、このままではGTSモデルの位置づけが難しくなるため、出力を抑えた“デチューン版”が用意される可能性も指摘されているようですね(ポルシェは上下関係に非常に厳しく、モデルごとのパフォーマンス的序列を崩さない。ここはフェラーリと異なる部分である)。
Image:Porsche
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ベースグレードはどうなる? 直4は消滅の可能性も
上位グレードの方向性が見えてきた一方、ベース/Sグレードの行方は依然として不透明で、ポルシェは電動モデルの開発を進めており、エントリーモデルはEV化される可能性が高いと見られます(マカンの戦略と同様)。
一方、内燃機関モデルを継続する場合、既存のターボ4気筒は欧州のEuro 7排ガス規制に非対応のため、再設計か廃止が不可避だとされ、新開発エンジンはコスト面から現実的ではないことからも、新型718ボクスター・ケイマンについては次のような可能性が考えられるのかもしれません。
- デチューンした911のツインターボ6気筒を搭載
- 大幅に再設計した直4ユニットを開発(可能性は低い)
また、サイバーセキュリティ要件への対応や安全基準の強化も求められるため、シャシー/プラットフォームは全面刷新されると見られていますが、おそらくは「ピュアエレクトリックにせよ、ハイブリッドにせよ」その価格が大きく跳ね上がることは間違いなさそうですね。
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まとめ:「718の未来」はハイブリッド+EVの二本立てか
現時点で確定しているのは、ポルシェが718シリーズに内燃機関を残す意思があるということ。
そして、次期トップグレードに911譲りのハイブリッド水平対向6気筒が搭載される可能性は極めて高く、パフォーマンス面でも大きな進化が期待されます。
一方で、ベースグレードはEV化もしくは911カレラに搭載されるパワーユニットのデチューン搭載という新しい選択肢が検討されており、718シリーズは「多様な動力源」を持つ次世代スポーツカーへと進化していくことになるのかも(ある意味、ポルシェの中では特異なポジションとなる)。
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参照:Autocar