
Image:Manthey Racing
| 限られたディーラーではあるが「ポルシェ純正オプション」としてMRキットを提供中 |
「マンタイ・レーシング」は現在ポルシェの子会社である
- 新型GT3+Mantheyキットは、もはやRSを脅かすレベルの“化け物マシン”
- エンジン無改造でニュルでのタイムを“6:52.9”に短縮
- 空力・足回り・下回りのアップデートがすべて異常なほど本気
「ポルシェ911 GT3はすでに完成形では?」と思いがちではありますが、その限界を軽々と更新するのがポルシェです。
それはすでに発売済みの911GT3が「妥協の産物」であったからではなく、911GT3発表後もポルシェはさらなる研鑽を続けており、モータースポーツを通じて様々な知見を得ているためで、つまるところ「”昨日よりも今日、今日よりも明日”と常に進化しているのがポルシェだから」。
そして今回、さらなる進化を遂げたマンタイキットを装着した911GT3が発表されることとなり、ここでは何がどう変わり、なぜ「パワートレーンに手を入れず」に“2.76秒短縮”という驚異の結果が出たのかを見てみましょう。
Image:Manthey Racing
新マンタイキットは「空力・軽量化・足回り」を徹底強化
マンタイ・レーシングはポルシェが2013年に多数株を取得したレーシングカーファクトリーであるとともに“公式チューニング部門”。
もともとポルシェを使用して数々のレースにて優れた戦績を記録していたということもあってGT3/GT3 RS系へのフィット感は抜群であり、今回の992.2用キットでは以下の3点が核となっています。
■1. 空力を“完全に作り直したレベル”に最適化
新キットでのエアロダイナミクスに関するアップデートは以下の通り。
- 後輪カーボンエアロディスク(ドラッグ低減/見た目は左右非対称に見えるがホイールは同デザイン)
- 大型リアウイング(幅拡大+ガーニーフラップ追加)
- 大型化したエンドプレート(内側へ湾曲)
- 縦フィン延長されたリアディフューザー※確実に駐車場ではタイヤ止めに当たるサイズ
- フロントスポイラーリップの拡張
- 新設計フロントカナード
- 前後アンダーボディを大型エアロ化(特に59インチへ延長されたターンベーンが特徴)
→ダウンフォースは最大540kg増加
→公道仕様でも約355kgなので、これを合計すれば“もはやRS超えに迫る”数字に
Image:Manthey Racing
■2. 足回りは「無工具で調整できる」4wayコイルオーバー
さらにマンタイ・レーシングは足回りにも変更を加え、新規に開発した4wayダンパーのおかげでサーキット走行における「幅」が大きく拡張。
・減衰4way調整(工具不要)
・キャンバーセッティングの自由度向上
ブレーキにはステンレスブレーキラインが採用され初期レスポンスも向上しています。
■3. 軽量化ホイールで合計13.2ポンド削減
20インチ(フロント)+21インチ(リア)の鍛造ホイールを採用し、純正から約6kgの軽量化を実現。
Image:Manthey Racing
■4. オプションで“GT3最速レベル”のCup2 Rを選択可能
さらにタイヤではサーキット派に嬉しいミシュラン パイロットスポーツ Cup 2 R(公道走行可)を選択可能。
- F:255/35 ZR20
- R:315/30 ZR21
グリップの向上はタイムに直結するため、今回のレコードにも貢献していることは間違いなし。
Image:Manthey Racing
タイム短縮の理由──空力が“クルマ全体を変えた”
■ニュルで「2.76秒短縮」
今回、マンタイ・レーシングがニュルブルクリンクへとアタックを行うに際し、ドライバーにはDTM王者であるAyhancan Güven選手を起用。
上述の通りそのタイムは6:52.9で、すでに“RS顔負け”の領域となっています。
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■タイム短縮の主因は空力+アンダーボディ
特に今回の特徴といえるのが“59インチのターンベーン”。
これはほぼ下回り全体を風洞のように機能させ・・・。
・フロアダウンフォースの安定
・旋回時の姿勢変化の減少
を実現しています。
結果として、GT3の弱点だった「高速域での姿勢変化」を解消し、ポルシェはエンジンやECUに触れずにタイムを削ることに成功したわけですね。
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911GT3用 マンタイキットの仕様まとめ
- 後輪カーボンエアロディスク
- 前後鍛造ホイール(純正比 約6kg軽量)
- 4wayコイルオーバー(工具不要調整)
- ステンレスブレーキライン
- Cup2 Rタイヤ設定
- 大型リアウイング(ガーニー追加)
- 拡大エンドプレート
- 強化リアディフューザー
- 59インチ大型ターンベーン
- フロントスポイラー拡張
- フロントカナード
- アンダーボディの大幅スムージング
- 最大540+355kgのダウンフォース(トラック仕様)
価格・導入時期・保証
●一部ディーラーでは2026年春に販売開始
- 保証:メーカー保証維持(重要)
- 取扱拠点:欧州・全米のマンタイ認定ディーラー
- 価格:未公表
- 参考:992.1型のマンタイキット → 57,300ドル(工賃込み)※約890万円
- 鍛造ホイール → 15,500ドル
- GT3 RS用 → 116,160ドル
- 991 GT2 RS用 → 113,140ドル
- ポルシェの“公認チューン”だけあって「価格は高いが価値は確実」
- 単にパーツを足すのではなく、風洞とニュルで磨かれた信頼性がある
H2:競合比較──GT3 RSとの違いは?
MantheyキットGT3の特徴は、
RSほどの過激さを求めず、しかしRSに迫るタイムが欲しい人向け
という立ち位置。
- 911GT3 RS:専用エアロ+可変空力+ワイドトレッド
- 911 GT3”マンタイ”:純正GT3の素性を活かしつつ、“空力で別物化”
特に「公道走行の快適性を残しつつ、サーキットではRS級に速い」という万能性はマンタイ GT3独自の魅力といえそうですね。
結論──GT3の“第二の進化形態”。これを待っていた人は多いはず
今回のマンタイキットはただのアフターパーツではなく・・・。
ポルシェとマンタイが共同で作った“GT3の上位互換”
それがこの2026年型911 GT3「マンタイ」。
エンジンに触れず、空力と足回りだけでここまで速くなる──
この進化は、GT3がまだまだ伸びしろの塊であることを証明している例にほかならず、そして・・・。
「RSは過激すぎる」
「でもGT3の限界をもっと超えたい」
そんなオーナーにとって、Manthey GT3は“ベストな第三の選択肢”となりそうです。
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