
Image:Smart
| スマートの常識を覆す「スマートブランド史上最大の怪物」登場 |
現在のスマートは「フルラインアップ」メーカーへ
マイクロコンパクトカーのパイオニアであったスマート(Smart)。
今回はそのイメージを完全に塗り替える新型プラグインハイブリッドセダン(PHEV)「Smart #6 EHD」の公式画像を公開しています。
この度のリリースにおいては、中国MIIT(工業情報化部)への情報開示に続いて詳細なデザインと主要スペックが明らかになっており、最も注目すべきはCLTC(中国軽型車走行環境)基準で総合航続距離1,810kmという驚異的な数値とシステム合計429馬力(320kW)というハイパフォーマンス。
これは都市型EVから「超長距離・高性能セダン」への転換を目指すスマートの破壊的な戦略を象徴しており、ここでは#6 EHDの心臓部である吉利(Geely)の最新ハイブリッド技術、そしてそのスポーティなデザインを掘り下げてみたいと思います。
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Smart #6 EHDの最強スペック
- 航続性能: CLTC総合航続距離1,810 km、EVのみでの走行可能距離は285kmにも
- 出力性能: システム合計出力は429馬力(320kW)というハイパフォーマンスを実現
- 燃費性能: 燃料消費量は100kmあたり3.9L(約25.6km/L)と非常に優れる
- 車体サイズ: 全長4,906mm、ホイールベース2,926mmと、スマート史上最大のモデル
- 技術基盤: 吉利のNordThor Hybrid 2.0技術をベースとしたEHD(Electric Hybrid Drive)システムを採用
429馬力を生み出すGeelyの最新ハイブリッド技術
Smart #6 EHDの心臓部には、親会社である吉利(Geely)の持つ「NordThor Hybrid 2.0」技術をベースとしたプラグインハイブリッドシステムが搭載されており、このシステムは驚異的な航続距離とパワーの両立を実現しています。
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① パワートレインの構造と出力
| 部門 | 仕様 | 出力 |
| エンジン | 1.5Lターボエンジン | 120kW (161hp) |
| システム合計 | 1.5Tエンジン + 電動モーター | 320kW (429hp) |
| トランスミッション | 3速 DHT(ハイブリッドトランスミッション) | 効率的な駆動力制御 |
| バッテリー | リン酸鉄リチウム電池 | SVOLTまたはCATL製(容量非公開) |
システム合計で429馬力という高性能は、単なる燃費重視のPHEVではなく、走行性能にも重点を置いていることを示していますが、3速DHTの採用は、高速走行時においてもEVモードを高効率で維持し、スムーズで静かな加速性能を発揮する吉利ハイブリッドの戦略に基づくもの。
② 航続距離のブレイクスルー
最も特筆すべきはその長大な航続距離で、上述の通り、これまでのスマートブランドが「都市部での移動」に焦点を当てていたのに対し、この#6では「長距離移動」を重視していることがわかります(そして現在の中国市場でのRHEVは「1,000km」を確保していないと競争力を持たないということもわかる)。
- EV航続距離:285km(CLTC)
- 日常の通勤や買い物であればガソリンを使用せずにEVとして賄える十分な距離を確保
- 総合航続距離:1,810km(CLTC)
- これは長距離ドライブでも充電や給油の不安をほとんど感じさせない「超長距離セダン」としての地位を確立する数値
- 燃費: 3.9L/100km(約25.6km/L)
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デザイン:史上最大のボディに宿るスポーティな魂
Smart #6 EHDは、スマートのラインナップの中で現時点で最大のモデルとなりますが、マイクロカーブランドとしてスタートしたスマートがいまや中国・吉利汽車の手によって「ラージサイズのセダン」まで発売するように変化したというのはひとつの驚きの事実ですね。
一方でスマートは創業当初のマイクロカーを示唆する「#2」の発売も予告しており、よって「全ラインアップが大型化する」のではなく、「フルラインアップ自動車メーカー」へと移行すると捉えるほうが正しいのかもしれません。
ちなみにぼくは「変化せねば世の中の流れについて行けず、ただ滅びるのみ」と考えているので、スマートのこういった変化に関してはポジティブに捉えており、ブランド存続のための必要な変革だとも考えています。
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車体サイズ
| 項目 | 寸法 (mm) | 特徴 |
| 全長 | 4,906 | Dセグメント後半~Eセグメントに迫るサイズ |
| 全幅 | 1,922 | 安定感のあるワイドなボディ |
| 全高 | 1,508 | スタイリッシュなロー&ワイド |
| ホイールベース | 2,926 | スマート史上最長で、後席の広さと乗り心地に貢献 |
デザインの特徴
- エクステリアカラー: 鮮やかなイエローのボディカラーとイエローのブレーキキャリパーが高性能をアピール
- ルーフライン: 流れるような傾斜したルーフライン(クーペルック)を採用
- 空力性能: 電動調整式リアウィングを装備し、高速走行時の安定性とスポーティな外観を両立
- 先進装備: フロントには連続したライトバーのデザインを採用し、ルーフ上部にはLiDAR(ライダー)を搭載。これにより、高度な運転支援機能(ADAS)が搭載されることが示唆されている
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インテリア(予測)
内装の公式画像はまだ公開されていませんが、これまでのスマートEVのトレンドから、以下の特徴が予測されます。
- デジタルスマートコックピット
- 大型センターコントロールスクリーン
- AI音声アシスタント
結論:航続距離でEV時代をリードするスマートの挑戦
Smart #6 EHDは小型車の象徴であったスマートブランドの「大胆な戦略転換」を具体化したモデル。
429馬力のハイパワーと1,810kmの超長距離航続能力は従来のPHEVが抱えていた「中途半端な性能」のイメージを一新するもので、特にEV航続距離が285kmと長いことから日常の運転はEVとして静かにこなし、長距離移動時にはエンジンを併用することで航続距離の不安を完全に解消するというPHEVの理想形を追求した存在です。
この大型スポーティセダンは、(ワールドワイド、とくに欧州では)テスラ Model 3やヒョンデ・アイオニック6などのEVセダン、そして高性能PHEVセダン市場において強力な新競合として注目を集めることとなりそうですね。
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参照:Smart(Weibo)
















