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スマート、新型「#2」の発表を予告。かつてのフォーツー復活、ボクらの知るスマートが2026年末にEVシティカーとして登場へ

スマート、新型「#2」の発表を予告。かつてのフォーツー復活、ボクらの知るスマートが2026年末にEVシティカーとして登場へ

Image:Smart

| いまのスマートはもう昔のスマートではない? |

1990年代後半に登場し、「超コンパクトシティカー」の代名詞だったスマート・フォーツー。

しかし2019年以降、メルセデス・ベンツと中国のジーリーが50:50の合弁会社を設立し、スマートの生産拠点は中国に移転。

フランス・ハンバッハ工場はイネオスに売却され、現在は同社のSUVやピックアップが製造されています。

その後のスマートは中国と欧州市場をターゲットとして#1や#5といった大型SUVモデルを投入し、最も大きい #5だと全長4,705mm・車重2,450kgにも達していて、もはや従来のイメージからは大きくかけ離れた存在となっている、というのが現在の状況です。

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フォーツーの復活、「#2」登場

そんなスマートがついに原点回帰することが明らかになり、スマートの公式ティーザーキャンペーンによると、新モデルは 「#2」 と名付けられ、フォーツーを継承する超小型EVとして2026年末に発売予定となるもよう。

  • セグメント:Aセグメント(超小型2人乗り)
  • プラットフォーム:専用のEV小型車用新設計
  • デザイン:メルセデス・ベンツが担当
  • 生産地:中国

スマートは自らを「オリジナル・シティカーの発明者」と称し、新型#2を都市生活に最適化したEVと位置づけていますが、その自負のとおり、再びシティカーとしてのあり方を示すクルマとしての復活が期待されています。

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新型スマート #2のデザインと技術

ティーザー画像からは、従来の丸みを帯びたフォルムではなく、より角張ったモダンなデザインに進化していることが確認でき、その概念は以前の「フォーツー」を踏襲するものの、ルックスは大きく変わることとなるのかもしれません。

  • ボディサイズ:従来同様コンパクトながら、キャビンは拡大
  • 駆動方式:完全電動(ガソリン仕様なし)
  • 航続距離:旧EQフォーツー(WLTP 74〜84マイル/約120km)を大幅に上回る見込み
  • ホイール配置:四隅に寄せる設計で室内スペースを最大化
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競合との比較

ヨーロッパではAセグメント車の撤退が相次いでいて、VW e-up! やその兄弟車はすでに消滅。

しかし、フォルクスワーゲンは2026年に ID.1(全長約3,880mm) を投入予定で、その価格は約€20,000と予想されています。

「ID.1」?フォルクスワーゲンが「2万ユーロの」手頃で高品質なEVを発売すると予告。ただしVWは2年前に発表した「2万5000ユーロの」ID.2もまだ発売していない
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さらにルノーも2026年に 新型トゥインゴEVを発表する計画を持っており、こちらは€20,000以下とされ、価格競争勃発は”必至”。

このため、新型スマート#2が 価格で大きく劣れば苦戦 が予想され、小ささや個性だけでなく、実用性と価格のバランスが重要となりそうですね。

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現在、Aセグメントは「新しい局面」を迎える

なお、Aセグメントからの「撤退」傾向が鮮明になっているのは、「もはやAセグメントでの採算確保が難しいから」。

その理由としては、「製造コストが高くなってきていて、1台あたりの利益単価が小さくなった」「自動車を開発する基本コストはAセグメントでもBセグメントでもCセグメントでも大きく変わるものではなく、であればより上の、利益を確保できるセグメントのクルマを開発したほうがいい」「中国から安価なクルマが流入し、それらにコストパフォーマンスでは対抗できない」などなど。

フォルクスワーゲン
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そしてこの理由の背景にあるのは「それまでの伝統的な自動車開発手法を取っていたため」で、これが根本的なコスト高を招いていたわけですが、フォルクスワーゲン、ルノー、そしてステランティスといった「Aセグメントでの強みを発揮してきた自動車メーカー」は従来の手法を見直して徹底してコストを削減し、あるいは「低コストでクルマを開発・製造できる中国の自動車メーカー」との提携を通じて安価にクルマを開発・製造できる方法を習得中。

中国車
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その成果が上述のID.1であったりトゥインゴEVということになり、ここへスマート#2も加わるということに。

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Image:Renault

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つまるところ、Aセグメントにおいては「いったん、多くの自動車メーカーが引き上げた後、体制を整えて再参入を図っている」という新たな局面に突入しており(Aセグメントの販売量自体はそうとうなボリュームがあり、自動車メーカーとしてはこれを捨てるという選択はなかなかできない)、ここから”仕切り直した”低コスト車両が一気に流入してくることで活性化することになるのかもしれません。

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参照:Smart

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