| アルファロメオ買収は、VW元会長、フェルディナント・ピエヒ氏の悲願だったとも |
アルファロメオのイタリアン魂にフォルクスワーゲングループの技術と品質があれば、鬼に金棒だったかもしれない
さて、2018年にフォルクスワーゲングループが「アルファロメオの買収を検討していた」という話が今になって明らかに。
これはAutocarが報じたものですが、フォルクスワーゲングループの元会長、フェルディナント・ピエヒ氏が(アルファロメオの買収に)強い興味を持っていたとのこと。
なお、フェルディナント・ピエヒ氏はブガッティやランボルギーニなどを次々買収し、今日のフォルクスワーゲン帝国を築き上げた本人ではありますが、2011年の時点ですでにアルファロメオの買収について触れており、第一線から退いた後の2018年、FCAがアルファロメオを(フェラーリ同様に)スピンオフさせる可能性を示唆した際にも買収の意向を示し、実際にFCAへと打診したと言われます。
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フォルクスワーゲングループは現在、こういったブランドを保有している
参考までに、フォルクスワーゲングループについては現在こういったブランドを保有しており、数々のブランド買収を成功させたのはやはりフェルディナント・ピエヒ氏だとされています。
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実際に両者の間では会合が持たれた模様
そしてAutocarによれば、フォルクスワーゲン会長であるヘルベルト・ディース氏とFCAの(次期)CEO、マイク・マンリー氏と2018年6月に会合を持ち、実際にアルファロメオ買収の可能性について話し合った模様。
当時、引退したと言えどもフェルディナント・ピエヒ氏は絶大な影響力を持っていたと見え、ヘルベルト・ディエス氏は「ピエヒ氏の意向に沿うことが自身の義務だと認識していた」と語ったとも報じられています。
なお、フェルディナント・ピエヒ氏の強大な権力を示すエピソードはいくつかあり、まずは(買収した)ランボルギーニにおいて、ディアブロが後継として用意されていた「カント」を「リアフェンダー上のエアインテークが気に入らない」ということで、ツルの一声でキャンセルしたという話も。
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そのほか、フォルクスワーゲンでは「フェートン(2002)」を発売にまで導いたのもフェルディナント・ピエヒ氏。
フォルクスワーゲンなのに「12気筒エンジン(W12)」を積んだ超高級車で、もちろん予想通りに売れず、発売開始直後でも年間予定販売台数に対し1/4以下という状況(こんな思い切ったクルマは、フェルディナント・ピエヒ以外が進めようとしても社内で受け入れられたとは思えない)。
しかしながらこのフェートンは、多数の不振モデルが生産中止となったディーゼルゲート以降もなぜか生き残ることになり、実に14年にわたり販売されていますが、ようやく販売終了したのが「フェルディナント・ピエヒがVWグループを去った後」であることを考えると、フェルディナント・ピエヒのキモ入りを、在任中には販売中止にはできなかったということ、そしてそれくらい同氏はグループ内では絶対的な存在であったことも推測できます(そして、ランボルギーニやブガッティ売却の話が出るようになったのも、同氏が亡くなってから)。
結局のところアルファロメオ買収は成立せず
話をアルファロメオの買収に戻すと、この両者の会合において、ヘルベルト・ディース氏が、マイク・マンリー氏へと、アルファロメオ売却の意向を確認したところ、「アルファロメオは売りに出さない」と回答し、そこであっさり話し合いが終了した模様。
おそらく当時は「ジュリア」にて大きくブランドが好転しつつあったため、FCAはアルファロメオが「カネを生む」と考えはじめたのだと思われますが、”もし”当時アルファロメオがフォルクスワーゲングループに渡っていたとしたら、(VWは買収したブランドをいずれも成功させているので)それはそれで面白いことになっていたのかもしれません。
参考までに、「Q4」という商標はアルファロメオが保有していたと言われ、この商標の使用権や譲渡についてはアウディと話し合ったことがあるといい、現在アウディが「Q4」という車名を使用しているところを見るに、両者の間で合意があったと考えるのが妥当であり、フォルクスワーゲングループとアルファロメオとは「浅からぬ関係」にあるようですね。
参照:Autocar