| 8世代もの歴史を持つゴルフだからこそ、こういった楽しみ方ができるものと思われる |
現時点ではスペックは明かされておらず、しかし「軽い」ことは間違いなさそう
さて、初代ゴルフGTIがフランクフルトにて開催されたIAAでデビューしてちょうど48年後、今度はミュンヘンにて開催されるIAAモビリティショーにて「ID.GTIコンセプト」が公開される運びに。
ただし今回の「GTI」はゴルフの派生モデルではなく、フォルクスワーゲンがエントリーEVとして発売する予定のID.2 Allをベースとしたもので、しかし「前輪駆動で、小さくても実用的」というゴルフGTIにも通じる共通点を持っています。※電動化世代になってもゴルフの名が継承されるという話もあるが、今回のコンセプトモデルを見ると「ゴルフ」という名称が消滅しそう
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ID.2 Allはもともと「GTI」の設定を考慮してデザイン
なお、フォルクスワーゲンのデザイン責任者、アンドレアス・ミント氏によれば、「ID.2allをデザインする際、すでに最初の電動化GTIを念頭に置いていた」。
つまりこのID. GTIコンセプトは市販化を前提としていると考えてよく、文字通り新しい時代のGTIということになりそうです。
なお、これまでのGTIの「I」はインジェクション(燃料噴射)を意味しており、しかしEVには(当然ながら)インジェクションが備わらず、よってフォルクスワーゲンは今回のID.GTIコンセプトにつき、"I "は "インテリジェンス "つまり高性能のドライブトレインとシャシーを指しており、つまり新時代のGTIは「Grand Touring Intelligence」を意味することに。
参考までに、フォルクスワーゲンは新しい「GTI」ロゴの登録を出願しているので、市販モデルにはこれが使用されることになるのかもしれません。
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興味深いことに、このID.GTIコンセプトは上述の通り「前輪駆動」ですが、これはもしかすると「4WDは”R”のためにとっておく」と解釈することも可能です。
そしてID.GTIコンセプトでは、ガソリンエンジン搭載のゴルフGTI同様に、(エレクトリックモーターの発生するパワーが)ビークルダイナミクスマネージャーによって制御されるフロントアクスルディファレンシャルロックを介してフロントタイヤに伝達されますが、ID. GTIコンセプトは、このシステムを搭載した最初のEVとなることもあわせてアナウンスされています。
そしてこのID.GTIコンセプトでは「歴代GTIの再現」にとどまらず、「それ以上」を実現しようとしており、「電動化によって可能となること」をぞんぶんにこのID.GTIコンセプトに盛り込むことになるそうですが、「歴代GTIの再現」というところだと、1976年型ゴルフGTI、16バルブGTI(Mk2)、2001年型ゴルフGTI(Mk4)といったエポックメイキングなゴルフGTIの出力特性、シフトフィール、そしてサウンドまでを”模倣”するのだそう。
つまり「今日は初代ゴルフGTI、明日は第2世代ゴルフGTI」といった楽しみ方を一台のID.GTIコンセプトが可能にするということになり、これはかなり画期的な、そして歴史のあるモデルにしかできない楽しみ方なのかもしれません。
上述の通り、ID.2 AllがデザインされたときにはすでにGTIバージョンが計画されていたわけですが、アンドレアス・ミント氏は「IDのために最初にペンを走らせたとき、私はすでにGTIを念頭に置いていた。それが今、現実のものとなり、GTIのアイデアを電動モビリティの新時代に投影することが可能となったのです」とコメント。
実際のところ、公開されたスケッチを見るに、GTIを象徴する赤いラジエーターグリル上のライン、モータースポーツにインスパイアされたスポーティなバンパー、そしてMk1やMk5に採用されたホイール、ブラックのウィンドウ・サラウンド、ブラックのバンパー、ブラックのルーフ・スポイラーといった歴代GTIの特徴がしっかりと再現されています。
なお、ID.2 Allをベースにする理由としては「手頃な価格だから」だといい、より多くの人に楽しんでもらいたいという意図、そしてより軽量に仕上げようという意向が関係しているのだそう。
ID.GTIのインテリアもまた「ゴルフGTI」
そしてこのID.GTIコンセプトのインテリアもやはり歴代ゴルフGTIを意識した仕様を持っており、たとえば3本スポーク・ステアリングホイール(ファンの間では「スピットーン」と呼ばれているらしい)、有名なゴルフボール・シフトレバー(ただしID.GTIコンセプトではセレクターに)など。
ID.GTIコンセプトでは、スピットーンを視覚的に再現するため、エアバッグを下部に取り付けた3本スポークホイールを採用し、12時位置のマーカーにはイルミネーションが内蔵されるといった新しい意匠も。
もちろんデジタルメーターには「歴代ゴルフGTIの」メーターを表示させることができるほか、フロントガラスにデータを投影する拡張現実ヘッドアップディスプレイも装備しており、 デフォルトの運転モードでは、速度や航続可能距離などの一般的な情報が表示されるもののの、GTI モードをアクティブにすると、背景の照明とディスプレイが GTI Red Turbo に変わり、サーキットレイアウトやラップタイムなどの表示に切り替わる、とのこと。
シート生地についても伝統的なチェック柄を採用し、しかしこれは今までのゴルフGTIに採用された生地の名前「Jacky」のかわりに「Jack-e」という新名称と新デザインが与えられたものを採用するなど、あらゆる面で「ゴルフGTIオマージュ」な車となっています。
そしてもちろん、大きなトランクスペース、4つのドア、5人の乗員のためのスペース、そして60:40に分割される可倒式リアシートなど「実用面における」利便性も(歴代ゴルフGTI同様に)備えており、「午前中に子供たちを学校に送って、午後はお気に入りのワインディングロードでスポーツドライブを楽しむ」といった使い方ができるというわけですね。
反面、このID.GTIコンセプトについて、出力含むスペックは明かされておらず、それは現在「電動化技術がものすごい速度で進化しており」今現在の数値は将来的に意味を持たない可能性があるからなのかもしれません。
いずれにせよ、そう遠くない未来には具体的な話が出てくるものと思われ、新世代のGTIが路上に解き放たれる日が来るのを楽しみに待ちたいところですね。
参照:Volkswagen