| フォルクスワーゲンは「巨大企業であるがゆえに」自身を業界の中心だと捉え、周囲を鑑みない判断を行うことがある |
そしてその判断が裏目に出ることが多い会社でもある
ブルームバーグによると、「フォルクスワーゲンが同社の歴史上はじめて」ドイツ国内工場の閉鎖を検討しているとのこと。
これはフォルクスワーゲンがメディア向けに発表した公式コメントの中にて明かされたものだとされ、フォルクスワーゲングループ内にある他ブランドもその対象になるとされています(アウディ、ポルシェも同グループ傘下でありドイツ国内に工場を持っている)。
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フォルクスワーゲンは労働組合との協定の打ち切りも検討
加えてフォルクスワーゲンは「2029年まで雇用を維持する」と定めた労働組合との協定も打ち切ることを検討しているというので、つまりは相当な窮状にあると考えていいのかもしれません。
なお、フォルクスワーゲンは設立から87年の歴史を誇りますが、地元ドイツでの工場閉鎖は「初」だといい、ドイツ国内におけるこの衝撃は想像を絶すると考えて良さそうですね(ドイツ国内のVW工場では約30万人が働いている)。
今回の判断(まだ閉鎖は決定ではなありませんが)について、オリバー・ブルーメCEOは「新しい競合が欧州市場になだれこんできている」ことを理由として挙げ、そして「ドイツはビジネスの場として競争力を失っている」と述べており、つまりはかつての日本のように「他の国の製品が大量に国内市場になだれこみ、自国で生産した製品の価格競争力が失われてしまい、競争力を失ってしまいつつある」ということに。
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ちなみにですが、フォルクスワーゲンは「(内容は異なれどホンダのように)判断が裏目に出る」ことが多い企業だと捉えていて、ディーゼルゲート、そしてそれを打ち消そうとして注力したEVシフト、そして「早すぎた」CEO解任など。
参考までに前CEO、ヘルベルト・ディース氏は「電動化の遅れ」を理由に電撃解任され、しかしそれでも退職金を80億円ほどもらったと言われていますが、そのごのVWは「電動化が進まない」「販売の急激な落ち込み」といったさらなる状況の悪化を招いており、つまりヘルベルト・ディース氏は「無理に解任されたと言えど、いい時期に辞めた」とも考えられます。
逆にその後に着任したオリバー・ブルーメCEOのほうが「大きく業績を悪化させた」という責任を追及される可能性が高いのかもしれません。
もう一つ参考までに、フォルクスワーゲン・ジャパンは「販売不振」を理由に社長を解任したことがありますが、その直後にディーゼル不正事件が発生してとんでもなく販売が急落し、さらにその後は「EVに注力しすぎた反面、ガソリン車がおそろかになったため」ガソリン車が好まれる日本市場でさらに販売を落としてしまい、こちらもまた「社長の解任が早すぎた」一例だとも捉えています(解任された社長にとっては一種の不幸ではあったが、その後の新任社長にはさらなる不幸が待ち受けていた)。
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さらに参考までに、フォルクスワーゲングループの中では「ポルシェが稼ぎ頭」であり、ポルシェはもともとグループ全体の利益を20%へと引き上げるために高価格路線や限定モデルの大量投入路線を突き進むとアナウンスされていたものの、現在のフォルクスワーゲングループの状態を見るに、ポルシェに対するプレッシャーはますます強くなり、その価格が上がってゆくのかもしれません(ポルシェとフォルクスワーゲングループのCEOは現在”兼任”である)。
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参照:Bloomberg