| 2014年の発表から、よくぞここまで生きながらえた |
ぼくが「もっとも過小評価されている」と考えるスポーツカーのひとつ、アルファロメオ4Cがついに2020年限りで生産終了。
これにあわせてFCA(フィアット・クライスラー・オートモビル)ジャパンが最終受注をはじめた、とアナウンスしています。
なお、今回「最終受注」が開始されたのは4Cそして4Cスパイダー。
最終オーダーは4月30日までなので、残された期間はあとわずか、ということになりますね。※昨年末に生産終了がアナウンスされ、購入できるのは在庫限りと言われたが、まだオーダーできる模様
アルファロメオ4Cは「伝説になるクルマ」
アルファロメオ4Cは、1967年に発表された「アルファロメオ史上もっとも美しい」と評されたレーシングカー、”ティーポ33/2ストラダーレ”の後継車とも言えるクルマで、実際にティーポ33/2ストラダーレ同様、4Cの構造は”まんまレーシングカー”。
プラットフォームには専用開発のカーボンモノコックを採用していますが、その素材は全方向に同一の強度を発揮し、通常のカーボンファイバーの5倍の強度を誇る「ユニディレクショナルカーボンファイバー」。
このカーボンモノコックシャシーに1.85リッター4気筒ターボエンジン(240馬力)をミッドマウントし、トランスミッションは6速デュアルクラッチ、駆動輪は後輪のみ。※ アルファロメオ4Cのボディパネルはアルミよりも軽いSMC(強化ガラス繊維樹脂)
日本仕様の車体重量は1100キロと公表されており、これはアルピーヌA110の1080キロよりもちょっとだけ重い数字です(逆に、4CよりもアルピーヌA110が軽いのが驚きでしかない)。
軽量化のためには多くを犠牲にした割り切った作りを持ち、とくにリアハッチをガバっと開けたときの「あまりの簡素さ」は衝撃的でもあります。
サスペンションはフロントにダブルウイッシュボーン、リアにはマクファーソンストラット。
とくにフロントはコントロール性を重視してアーム長を取ったためか、ミドシップカーなのに「トランク無し」で、こういったところも”走りのために割り切った”部分ですね。
ブレーキシステムはブレンボ製で、100km/hからの停止に要するのはわすか36メートル。
ホイールサイズはフロント17インチ、リア18インチ(オプションで18/19インチも選べる)、そしてタイヤは専用設計のピレリ製。
アルファロメオ4Cの全長は3990ミリ、全幅は1870ミリという「縦横比が正方形に近い」ディメンションを持ち、全高はわずか1185ミリにとどまります。
ちなみに市販車で全高1200ミリを切っているのはランボルギーニ・アヴェンタドール、ランボルギーニ・ウラカン、マクラーレン720Sくらいで(フェラーリはいずれも全高1200ミリを超える)、とにかく低いのがアルファロメオ4Cということになります。
そして実際に運転してみて驚かされるのは「レーシングカーなみのペダル剛性」。
アルファロメオ4Cはロードカーとしてはブッチギリのペダル剛性を持っていて、これに並ぶのはロータス・エキシージくらいかもしれません。※アストンマーティンも全般的にかなり高いペダル剛性を持っている
アルファロメオ4Cは、二輪に例えるならばレース用のバイクといった感じで、そのほかポルシェ718ケイマンSは600ccくらいのスーパースポーツバイク、アルピーヌA110は250ccくらいのスーパースポーツバイクという印象を持っていますが、それくらい、ほかのクルマとは異なる次元にあるミドシップスポーツだと認識しています。
アルファロメオ4C/4Cスパイダーの車両本体価格は865万円に設定され、けして安価なクルマではありませんが、こういった内容を考えると「安い」と言っていいクルマなのかもしれません。
今後のFCAそして社会情勢を鑑みるに、もう二度とこういったクルマが作られないであろうことは間違いなく、よって長期的に見て高い価値を維持するどころか、価格が上昇してゆくクルマの一台でもあるとも考えています。
アルファロメオは「ファイナルエディション」も用意
なお、FCAジャパンは「4Cファイナル・エディション」「4Cスパイダー・ファイナル・エディション」をそれぞれ50台づつ用意するとしており、画像も公開。※現段階では名称は「仮」
これを見ると、ルーフはブラック、そしてドアミラーはカーボンファイバー製(イタリアンフラッグつき)、そしてホイールはゴールド。
左ハンドルと右ハンドルを選択でき、2020年末頃に発売する、としています。
加えてFCAジャパンは、下記の通り4Cを送り出す詩を公開。
ちょっと「ホロリ」と来てしまいますね。
ドライバーたちは、カーボンモノコックのコクピットに身を沈め、唸るエキゾーストサウンドに胸を震わせた。
そしてアドレナリンみなぎる、強烈なパフォーマンスに驚愕した。
アーティスティックな官能美、衝撃的な軽さ、限界を突き抜ける加速感。
そのすべてで、アルファロメオのレーシングスピリットを証明した。
さらば、4C。
究極のミッドシップスポーツよ、伝説となれ。
VIA:Alfaromeo