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【試乗:フェラーリ・ポルトフィーノ】さらに快適、さらにアグレッシブ。コイツは新世代のフェラーリだ!

2018/07/17

| より快適で、より速く、よりアグレッシブなフェラーリ・ポルトフィーノ |

さて、フェラーリの最新モデル「ポルトフィーノ」に試乗。
ポルトフィーノは「カリフォルニアT」の後継という位置付けで、エンジンは3.9リッターV8と同じ形式であるものの、カリフォルニアT比で+30馬力となる590馬力を発生します。
0-100キロ加速は3.5秒(カリフォルニアTは3.6秒)、最高速度は時速320キロ、という超一級のスペックを持つFRフェラーリ(フェラーリ・ジャパンによるポルトフィーノのページはこちら)。

フェラーリ・ポルトフィーノはどんなクルマ?

フェラーリ・ポルトフィーノは上述の通りカリフォルニアTの後継に当たりますが、フェラーリ会長、セルジオ・マルキオンネ氏はカリフォルニア/カリフォルニアTに対して否定的な意見を持っており、そのために大きく方向性をシフトしてきたモデル。
マルキオンネ氏は「生粋のカーガイ」という印象が薄く、しかしもともとはFFで企画されていたアルファロメオ・ジュリアを急遽FRへと変更して見事ヒットさせてアルファロメオの新たな歴史をつくった人物でもあります。

どういったことが理由で「否定的」であったのかはわかりませんが、ポルトフィーノでは「フェラーリJ50」にも通じるアグレッシブな顔つきを採用してきたところを見るに、その理由はドライブフィールではなくスタイリングにあったんじゃないかと推測。

というのも、「乗り味」としてはポルトフィーノのほうがカリフォルニアTよりもずっと「快適」になっているから。

なお、「ポルトフィーノ」の名称についてフェラーリは下記の通りの説明を行なっていますが、プレスリリースのとおり”ポルトフィーノ”では「優雅さ、軽快さ、そして抑制のとれた華やかさ」を強く意識してきた、ということもわかります。

フェラーリが、これまでにないほど多彩な用途性能を備えたこのドロップトップカーに選んだネーミングは、イタリアの最も美しい街のひとつに由来します。絵のような美しい港として有名なポルトフィーノは、世界各国の方々から優雅さ、軽快さ、そして抑制のとれた華やかさの代名詞として知られています。今回、この新型フェラーリが纏う発表会仕様のカラーもまた、その素晴らしい街に敬意を表して、Rosso Portofino とネーミングされました。

ポルトフィーノのプラットフォームについては新設計で、ねじり剛性の向上や軽量化が実現されており、全体の部品点数では「40%減少」とフェラーリは公表。
812スーパーファストで初採用された電動パワステが与えられ、第三世代に進化した電制リアデフ、改良された磁性流体(MR)ダンピングシステム(SCM-E)も装備されていて、つまりは最新モデルだけあって「もっとも進化した装備を持つ」フェラーリでもあります。

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フェラーリ・ポルトフィーノの設計はロータスを参考に。その結果部品点数はカリフォルニアT比で40%減

なおスペックは下記の通り。

フェラーリ ポルトフィーノ

エンジン:V8 - 90°
総排気量:3,855cc
最高出力:441 kW(600cv )@7,500 rpm
最大トルク:760 Nm @ 3,000 - 5,250rpm
全長:4,586 mm
全幅:1,938 mm
全高:1,318 mm
重量配分:46:54(フロント:リア)
最高速度:320 km/h 以上
0-100 km/h:3.5秒
燃料消費量:10.5l /100km

フェラーリ・ポルトフィーノの外観を見てみよう

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フェラーリ・ポルトフィーノのルックスは一言で言うと「アグレッシブ」。
ウエッジシェイプがより強くなり、フロントエンジンとは思えないほどノーズが低く戦闘的。
ぼくの個人的感想を言わせてもらえれば、「(限定/特別モデルを除くと)今まででもっとも格好良いフェラーリ」ということに(全て含めると、458MMスペチアーレ、J50、488ピスタがいずれも劣らぬ格好良さを持つと考えている)。

↓フェラーリ・ポルトフィーノの内外装については下記に詳細を記載しているので参考にしていただければ

さらにその素晴らしさは「全体的なフォルム」のみではなく「細部」にまで。
エアフローを考慮してフロントフェンダーからボディサイドへとエアを流す構造、サイドアンダーの「ぐっと絞り込んだ」デザインはまさに白眉。

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さらにはリアディフューザーの異常に複雑な構造や、マフラーエンドの「ジェット戦闘機のバーナー風」デザインなど、とにかく機能美と高いデザイン性とが同居するところはぼくの心の琴線に強く触れるところ。

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フェラーリ・ポルトフィーノのインテリアを見てみよう

インテリアについても構造やデザイン同様に「最新」。
ステアリングホイールも812スーパーファスト同様の新しいデザインになっていると思いますが、フェラーリは上位モデルで採用しているパーツを他モデルにも積極的に反映させるのが特徴で、このあたり「V12モデルとV10モデル、そしてウルスのと間ではパーツ共有を許さずに排他性を保つ」ランボルギーニとはかなり異なる、と言えます(ポルシェはフェラーリの方向性に近い)。

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センターコンソールのセレクタースイッチ脇にはスマートキーを挿すスロットがあり、ドリンクホルダーも。
かなり「使い勝手の良い」デザインですね。

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ダッシュボードも812スーパーファスト以降変化のあった部分で、よりデザイン性が高くなり、クラシックにも先進的にもアレンジできるように。

↓インテリアについても、下記に展示車を観察した印象をまとめているので、こちらを参考にしていただければ

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フェラーリ・ポルトフィーノで走ってみよう

さて、フェラーリ・ポルトフィーノに乗り込んでさっそく走行。
エンジン始動については「キーを持ってさえいれば」エンジンをスタートさせることができる「スマートキー(ドアのロック/アンロックはキーにて操作を行う必要がある)」。

エンジンスタートはステアリングホイールの下部スポーク左脇にあるボタンを押して行いますが、始動時のサウンドは「かなり大きな」もの。
多分カリフォルニアTよりも大きいと思いますが、このあたりも意図的に変化させてきた部分だと思われます。

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右のパドルを引いて一速に入れ、そのままアクセルペダルを踏めば車はスタート。
とくに難しい操作はなく、極めてイージーですが、クリープがないのはランボルギーニ・ウラカンと大きくことなるところですね。

そして気づくのは「半クラッチ(の時間)が長い」こと。
アクセルペダルを踏み込んでから半クラッチの間が長いように思われ、これはポルトフィーノの性格を考えて「扱いやすく」設定したのかもしれません。

この辺りも「踏めば即、ガツンと出る」ランボルギーニ・ウラカン/アヴェンタドールとは異なって「マイルド」な一面だと言えそう。

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走り出してからの印象もやはり「マイルド」で、特筆すべきは足回りの柔らかさ。
ポルシェ718ケイマン、アウディTTと比較してもかなりしなやかであり、ここは相当に驚かされた部分です。

変速ショック、ステアリングホイールの操舵に対する反応もやはりマイルドに感じられ(それでもカリフォルニアに比較すると7%クイック)、好戦的なルックスに比べてギャップが大きく「さらに驚かされた」ところでもありますね。

しかもエンジンが車体に伝える振動はかなり少なく、「皆無」と言っていいくらいかも。
振動がなく、かわりにエキゾーストシステムの奏でるサウンドが後方から響いてくるので一瞬「ミドシップフェラーリに乗っているのでは」と錯覚してしまうくらいで、今までのフェラーリと「乗り味については全く異なる」と感じます。

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ただ、これら驚きは「いい方」、しかも「かなりいい方」の驚きで、今までのフェラーリだと「カリフォルニア」「カリフォルニアT」「GTC4ルッソT」といったライフスタイル系(と言う表現が正しいのかはわからない)であってもエンジンの振動が大きく伝わり、ステアリングホイールからのキックバックもかなり大きく、アクセルオン時やシフトショックが「(V12やV8モデルの)スーパースポーツと同じくらいでしたが、ポルトフィーノでは812スーパーファスト、488GTB/488スパイダーとは大きく異なるフィーリングを持っており、もしかするとこれが「フェラーリが本来カリフォルニアでも実現したかったことなのかも」と思えるほど。

ちなみに今回ドライブモードを「スポーツ」に入れることはしていませんが、おそらく「スポーツ」に入れると性格が一変し、488GTB/488スパイダー並みのダイレクトでガツンとくる乗り味になるであろうことは想像に難くなく、その意味でもポルトフィーノはかなり「フレキシブルで、ストライクゾーンの広い」フェラーリだと言えそうです。

そしてもうひとつ述べておきたいのは「エキゾーストシステムのフラップ開閉タイミング」。
おおよそ多くのスーパーカーは「開閉式フラップ」をエキゾーストパイプ内に持ち、「一定回転数以上になると」これが開いて爆音に(もしくはドライブモードに応じて開閉)。
ですがポルトフィーノの場合はどうやら(というのも技術的要件は未確認)回転数に関係なく、「踏み込んだ時に」開くんじゃないか、という感じ(もしくはアクセル開度+回転数両方で制御?)。

つまり低速域で、低回転で走っている時でも、アクセルを踏み込むと「エンジン回転数に関係なく」ブボォォォン!と凄まじい音を発するため。
一方でアクセルを強く踏まずに「徐々に」回転数を上げて行ったとしても「一定回転数に達するまでは」バルブが開かず、このあたりはかなり「人の感覚に近い(速度、回転数に関係なく、加速したい時に勇ましいサウンドを奏でる)」セッティングのようですね。

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なお視界についてはかなり良く、とくにこのドアミラーは秀逸。
ステーが細く、かなり外側に出ているので「広い範囲を」見渡すことができ、かつステーが視界を遮ることもないため。
おまけにデザイン性も高く、ポルトフィーノにおいて「かなり」気に入っている部分でもあります。

さらに「快適性」というところに触れておくと、停車して車を降りる際には「ギア入りっぱなしで」エンジンスタート/ストップボタンを押してエンジンを停止させれば自動的にパーキングブレキーがかかって駐車モードに。
ギアをNに入れたり、個別にパーキングブレーキを作動させる必要がないということですが、とにかく気を使わなくてもいいように設計されているようです。

正直どうなのフェラーリ・ポルトフィーノ?

ズバリ言って「買い」。
今年はすでに40台以上の試乗を行なっていますが、上半期ナンバーワンだったポルシェ718ケイマンを超えて「今年の暫定一位」。

その評価のポイントとしては「様々な新機軸の装備によって、フェラーリらしくないフェラーリ」となったことですが、ぼくは「ポルシェは水冷になってから」、ランボルギーニは「アウディ傘下になってから」を高く評価しており、いずれも「乗り心地が良いが高い運動性能を持っており、快適性とパフォーマンスとを両立している」といったところがポイント。

今回のフェラーリ・ポルトフィーノについても「スーパーカーの常識を超えた快適さ(たぶんランボルギーニ、マクラーレン、ポルシェ、アストンマーティンを含めても最も快適)を持ちながらも気分を高めるための演出もピカイチで(上述のバルブ開閉や、エンジンスタート時の音など)、とにかくぼくにとっては非の打ち所がないクルマ。

ぼくはランボルギーニの次期V12モデルと購入しようと決めていますが、フェラーリ・ポルトフィーノはおそらく相当にリセールが高く、「それまで」の間に一度”初フェラーリとして”乗ってみるのもいいかもしれない、と思った次第。

もちろん、試乗を終えてすぐに銀行の預金残高を確認したのは言うまでもありません。

なお、試乗会にはGTC4ルッソ、488スパイダー(外装ブルー、内装ホワイトで格好良い)、812スーパファストも結集。

さらには美味しいお茶菓子も。
今回試乗に呼んでいただいたのはコーンズさん(いつもありがとうございます)。
ぼくは基本的に「ランボルギーニとポルシェ」派ですが、フェラーリだけは人生において一度は保有しておかねばならないと考えており、もしかすると今回のポルトフィーノが「その時」なのかもしれない、と考えたりします。

 

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