| フェラーリは「クルマ以外の売上」を14%強持っている |
フェラーリが2019年の業績につき、フェラーリ史上はじめて1万台の壁を超え、10,131台を販売したと発表。
これは2018年の9,251台に比較して9.5%増となっており、大変に好調な業績です。
ただ、フェラーリの株主たちは「台数」が増えることについては快く思っておらず、それは「希少性が損なわれるから」。
よって、毎年のごとく「販売台数が増えたと発表された日にはフェラーリの株価が下がる」という他の会社では考えられないような現象が発生しており、今年もやはり1%強(1.72ドル)株価を下げています。
常識的には「販売台数が増える=業績好調」ということなので株価は上がるはずですが、「売れた」ということに対してネガティブな反応をなされるのは世界中に様々な企業があれど、フェラーリくらいのものかもしれません。
直近5年のフェラーリの販売はこうなっている
そこでざっと直近5年のフェラーリの販売台数につき、かんたんにまとめるとこんな感じ。
順調に販売を伸ばしているものの、2017年辺りに「将来的に販売台数を1万台へ持ってゆく」と発表した際には大変な反発と懸念が巻き起こったのは記憶に新しところですね。
2015年:7664
2016年:8014
2017年:8398
2018年:9251
フェラーリが増産決定。2018年には9000台、数年後には1万台へ。なお株式市場はこれに懸念
そして2019年にフェラーリは10,131台を販売したということになりますが、地域別に見るとEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)が最大となり4,895台(前年比+16%)、アメリカ市場が2,900台(-3%)、中国と香港/台湾には836台(+20%)、これらを除くアジアパシフィック地域は1,500台(+13%)。
ちなみに日本は870台だと発表されているので、中国を超えて「かなり多い」国だと考えてよいのかもしれません。
なおエンジン別だとV12エンジン搭載モデル(812スーパーファスト、GTC4ルッソ)が+4.6%、V8エンジン搭載モデル(488系、ポルトフィーノ、GTC4ルッソV8)が+11.2%。
フェラーリの売上はこれだけ増えた
そして台数に続いて「売上」だと、これは前年比10.1%増の37億6600万ユーロ。
この中にはフェラーリストアでの販売やフェラーリ・ワールドなどのライセンス販売などが含まれていて、「クルマを売っての」売上だけだと29億2600万ユーロ、ライセンス関連のみだと5億3800万ユーロ(前年比+4%)。
つまり、フェラーリ全体の売上における車両販売の占める比率は78.6%(思ったよりも多い)、スポンサー/ライセンス関連は14.3%ということになりますね。※ただし、”利益”になるとこの数字は大きく変わることになりそう
なお、この「クルマだけ」の売上高である29億2600万ユーロを販売台数である10,131台で割ると、「1台あたり288,816ユーロ」ということになり、これを日本円にすると34,893,464円。
つまりフェラーリ一台の平均販売金額は3490万円ということになりますが、これはもちろんフェラーリ本社が「出荷」する金額であって「ユーザーが購入する平均金額」ではないことは要注意。
つまりこの上にディーラーの利益が乗せられた金額が「平均”購入”金額」ということになります。
フェラーリは2019年に「5つもの(F8トリブート、SF90ストラダーレ、812GTS、F8スパイダー、ローマ)」ニューモデルを発売していて、しかし2020年にはこれほど多くの新型車を発表しないともコメントしており、その理由としては「2019年に発表したクルマの販売と市場浸透度を高めることに集中する」ため。
ただ、今後も「SUV」などニューモデルが控えているので、投資家がなんと言おうがフェラーリは販売台数を伸ばしてゆくこと、そしてそれ以上に「クルマ以外の」収益を追求してゆくことになりそうですね。
過去最大規模の新車を追加したフェラーリ。それでも「台数を追求するわけではない」と語るナゾ。株価は812GTS、F8スパイダー発表後に大きく下げる