| 上から見ると各社の考え方がよくわかる |
さて、最近ミニカーを見ていてふと思ったのが、「同じような出力、加速性能、最高速を持つスーパーカーでも、けっこうデザインが違う」ということ。
もちろんデザインもブランドアイデンテティのひとつなので「違うのが当然」「違って当たり前」なのですが、空力性能や冷却といった、スポーツカーに重要な要素を追求したとしても、必ずしも同じ形に行き着くわけではない、と感じた次第です。
もっとも効率的なデザインを持つのはマクラーレン?
最も効率的に見えるのはマクラーレン。
とくに720S、765LTが顕著だと思います。
こちらは765LTですが、フロントから見ると、車体中央から放射線状に広がるラインを持つことがわかります。
おそらく雨の中を走ったら、この形どおりに綺麗に、そして放射線状に水が流れるんだろうなあ、という感じですね。
そしてこちらは720Sを上から見たところ。
キャビンがバブル状になっていて、これまた風の流れが目に見えるようで、まったく無駄なく風が車体を通り抜けるといったイメージです。
吸気やエアの取り入れも風の流れを損なわない形で行われ、エアを排出するのにも、圧力差を用いた「吸い出し効果」によって行われ、とにかく高い効率性を持っているという印象です。
こちらは570S。
720Sほどではありませんが、キャビンがバブル形状を持ち、それを囲むようにエアが流れてゆくであろうことがわかります。
なお、フロントウインドウ形状が左右に広いように思われ、これはおそらく視界の確保を狙ったものだと思われます。
570Sはマクラーレン内で「スポーツシリーズ」に属しますが、720Sは「スーパーシリーズ」に内包されていて、つまり720Sのほうが(何かを犠牲にしてでも)パフォーマンス志向であり、よりピュアなのだとも考えられます。
そして「ピュア」さということであれば、「最高速」のために多くを切り捨てたスピードテールが一番ということになりそう。
各ブランドのスーパーカーを上から見てみよう
そこで他ブランドのスーパーカーを見てみたいと思いますが、まずはランボルギーニ・ウラカン。
マクラーレンとは異なってグラスエリアが広く、フロントグラスは平坦で、リアサイドは大きなエアインテークとともにCピラーとリアフェンダーが張り出しており、ティアドロップ型のキャビンを持つマクラーレンとはまさに対照的。
なお、このフロントグラスの広さが優れた前方視界をもたらしていることはいうまでもなく、意外やランボルギーニは日常性を重視しているということもわかりますね。※むろん、カウンタックを意識してこういったデザインを採用しているとも考えられ、ブランアイデンテティを追求した結果であるとも考えられる
ちなみにこういった「幅広いキャビン」を見るに、ウラカンの前面投影面積はかなり広く、空気抵抗を受けることになりそうですが、そこは「1165ミリ」という、720Sの1196ミリはもちろん、スピードテールの1182ミリよりも低い全高によって相殺しているのかもしれませんね。
フェラーリとマセラティは意外や(やっぱり?)近かった
こちらはフェラーリ488ピスタ。
マクラーレンの「バブル形状」、ランボルギーニの「広い視界」を重視した形状との「中間」といった感じ。
なお、全高は1205ミリ、と意外や高い数字です。
そして最新スポーツカーたるマセラティMC20。
こちらもフェラーリ に近いデザインをもっているようで、エアロダイナミクスと快適性との両立を図っていると思われます。
なお、全高はちょっと高めの1224ミリ。
以上、ざっと各社のスーパーカーを「上から見た図」ですが、これだけ異なるデザインを持ちながらもパフォーマンスがよく似ていること、そして効率性を追求したスーパーカーといえども、その行き着く先はひとつではない、ということも見て取ることができ、なかなかに面白いと思います。