Image:Ferrari
| NARTはフェラーリの名をアメリカ市場に浸透させるべく設立されたレーシングチームである |
実際にフェラーリはこの「NARTカラー」でF1マシンを走らせたことも
さて、少し前には(フェラーリ創業者、エンツォ・フェラーリのただひとりの息子である)ピエロ・フェラーリにプロサングエが納車され、その仕様がかつて「父、エンツォが乗っていた」フェラーリをイメージしたボディカラーを持つということが公式にアナウンスされていますが、今回は「新たにデイトナSP3がピエロ・フェラーリに納車された」というコンテンツが「ザ・オフィシャル・フェラーリ・マガジン」へと公開。
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ピエロ・フェラーリに納車されたデイトナSP3はこういった仕様を持っている
そして今回ピエロ・フェラーリに納車されたデイトナSP3の内外装は「NART(ノースアメリカンレーシングチーム)をイメージ」。
このNART(N.A.R.T.)は1958年にフェラーリのインポーターにしてビジネスマン、ルイジ・キネッティによって設立されたレーシングチームで、設立の目的は「耐久レースでの成功を通じフェラーリブランドの北米でのプロモーションを推進する」というもの。
つまりはフェラーリの名をアメリカ市場に浸透させることを目的に設立されたという背景があり、フェラーリ公式チームではないものの、フェラーリとの関係性が非常に深く、フェラーリから車両およびスタッフほか様々なサポートを受けて活動していたわけですね。
そしてこのNARTのイメージカラーは「ホワイト、レッド、ブルー」というアメリカ国旗カラーであり、このカラーコンビネーションは様々な場面でフェラーリのレーシングカーや市販車に反映されていますが、過去にはFIAとのイザコザによって「フェラーリが公式に、1964年に2戦だけロッソコルサではなく(ブルーにホワイトの)NARTカラーのレーシングカーを走らせた」ことも。
これは長いフェラーリのモータースポーツにかかわる歴史においても唯一の(ロッソコルサを用いなかった)例となっています。※エントリー名義はNARTではあったが、実質的にエントリーさせたのはエンツォ・フェラーリで、特殊な事情によってフェラーリの代理として走っているため、フェラーリ公式のエントリーだと考えていい
「私がデイトナSP3をカスタマイズする際、スーパーカーと同じようにレッドにするか、過去の思い出に繋がるようなものにするかを考えました。最終的には後者を選びました。1965年11月、私は会社(フェラーリ)で働き始めたばかりでした。前年、フェラーリはジョン・サーテースと共にフォーミュラ1世界選手権を制覇していました。そのシングルシーターは、ルイジ・キネッティのNARTチームの青い塗装が施された白いクルマでした。この成功はもう一台の車にも繋がっていました。ピニンファリーナは実際、ホワイトとブルーのNARTカラーと赤いインテリアを持つ250LMを1台だけ製作していたのです。これが私のデイトナSP3のインスピレーションになりました。非常にモダンでスポーティなデザインを持ち、スリリングな12気筒エンジンを搭載したこのモデルに対する過去へのオマージュです。」
ピエロ・フェラーリ
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ちなみに当時の「NARTカラー」はそれぞれのカラー配分や比率、組み合わせには決まりがなかったようで、「2戦だけ」ロッソコルサ以外のカラーで走った125 F1はブルー地にホワイトのストライプ、その後ル・マンを走った250LM(こちらは完全にNART単独のエントリー)では「ホワイト地にブルーのストライプ」。
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そしてピエロ・フェラーリが今回のデイトナSP3のモチーフとして選んだのは250LMで、これは同氏のオフィスの壁に掲げられる(アーティストであるエンリコ・ギナートによって描かれた)250LMの”肖像画”からも影響を受けているのだそう。
かくしてピエロ・フェラーリのデイトナSP3は「ホワイトにブルー(ネイビー)のストライプ、レッドのシート」というNARTカラーとなったわけですね。
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参照:Ferrari