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ランボルギーニCEO「テメラリオは正真正銘、規格外の存在であり独自の領域に存在します」。その核となるV8ハイブリッドパワートレーンに隠された秘密とは

ランボルギーニCEO「テメラリオは正真正銘、規格外の存在であり独自の領域に存在します」。その核となるV8ハイブリッドパワートレーンに隠された秘密とは

Image:Lamborghini

| ランボルギーニ・テメラリオの「エンジニアリング上の秘密」は今後徐々に明かされてゆくだろう |

それでも現時点ではこのV8について、ル・マン・ハイパーカーとの共通点には触れられていない

さて、ランボルギーニはつい先日、待望のウラカン後継モデル「テメラリオ」を発表したところですが、このスーパーカーに積まれるのはガヤルド、ウラカンと受け継がれてきたV10ではなく新開発のV8です。

加えて、レヴエルト同様にプラグインハイブリッドパワートレーンと組み合わせられていますが、システム合計にて920馬力という並外れたパワーを誇り、失った2気筒を補ってあまりあるだけの訴求力を持っています。

「テメラリオは正真正銘の『fuoriclasse(規格外の存在)』です。独自のリーグに属する車であり、技術的にもスタイル的にも並外れた革新的な車です。テメラリオによって、私たちはディレツィオーネ・コル・タウリ計画に含まれる電動化戦略の重要な章を完了しました。また、完全にハイブリッド化された製品ラインを提供する最初の高級自動車ブランドにもなりました。

このクルマの導入により、我々の高性能電動車 (HPEV) 製品ラインが完成し、電動化された未来にコミットします。これが我が社のすべての顧客に受け入れられるわけではないことは承知していますが、ハンドルを握り、このクルマが提供するすべてのパワーを体験すれば、彼らの考えが変わることは間違いありません。

アウトモビリ・ランボルギーニ会長兼 CEO ステファン・ヴィンケルマン

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ランボルギーニ・テメラリオに積まれるV8エンジンは「真のモンスター」である

このテメラリオに積まれるV8エンジンはコードネーム「L411」として知られ、ランボルギーニが慣れ親しんできたV10やV12とは大きく異なるもので、同社がスポーツカーにターボつきV8 を搭載したのはこれが初めて。

このエンジンだけで800馬力を発生させることができ、これは1リッターあたり200馬力に相当し、ランボルギーニがこれまでに製造した中で最もパワー密度の高いエンジンの1つとなっています。

    同社によれば、ピークパワーは9,000~9,750rpmの間で発生し、ピークトルクはさらに早 4,000~7,000rpmにて到達し、レブリミットはレヴエルトよりも500rpm 高い10,000rpm(ウラカンSTOに積まれる5.2リッター自然吸気V10は、8,000rpmで最大640馬力、レッドラインは 8,500rpm)。

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    このパフォーマンスを実現するためにランボルギーニが採用したのが「ホットV」レイアウトで、つまりV8エンジンのVバンクの間にエキゾーストマニホールド、そして2つのターボチャージャーが収まっており、これによって補機類含めたエンジンががコンパクトに収めることができ(エンジンの外側にエキゾーストマニホールドが取り付けられていない)、もちろんこれはさらに多くのパーツを配置しなければならないハイブリッドカーにとっては大きな利点。

    さらに(2.5psiのブースト圧力を生成する場合に重要な)熱管理が改善されてタービンは電子ウェイストゲートとホイールスピードセンサーによって制御され、エアフィルターボックスには管状カートリッジが採用されたために効率がさらに向上しています。

    ランボルギーニがウラカン後継スーパーカー「LB634/テメラリオ」のパワートレーンを公開。V8ツインターボは10,000回転/800馬力、さらには3モーターを追加するPHEV

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    加えてこのV8エンジンはフラットプレーンクランクを持ち、クランクシャフトのピンが互いに180度離れているため、回転時のバランスが取れており、クロスプレーンクランクエンジンのようなカウンターバランスが必要なく、これによってエンジンの回転速度が速くなりエンジンの性能も向上しますが、さらにこのエンジンではチタン製コンロッドとモータースポーツグレードのA357+Cuで作られたエンジン鋳造材料を使用することで強化がなされています(フラットプレーンクランク構造は一般に振動が大きく、よって強度の確保が課題となる)。

    ランボルギーニによると、このエンジンは技術的に11,000rpmまで回転でき、間違いなく史上最高回転数エンジンのリストに名を連ねることになりますが、これが可能となった一因は補助冷却システムをすべて片側に配置したためで、オイル ポンプとウォーターポンプはエンジンの右側に配置され、特定比率のポンプ速度である7,800rpmまで駆動されることに。

    オイルタンクは側面に取り付けられているものの、5段ギアを持つスカベンジポンプのおかげで、急カーブを曲がっているときにも(偏りによる)オイルレベルを心配する必要はなく、こういったレイアウトのおかげでりコンパクトなパッケージングが可能になり、エンジンを車両内のより低い位置へと配置でき、重心を改善することが可能となっています。

    このエンジン単体でも非常に素晴らしいものですが、(最も洗練された製造技術と最先端の設計を使用していたとしても)ターボチャージャで加給する以上、必ず残る問題が「ターボラグ」で、ランボルギーニはこれを改善するために3つのエレクトリックモーター、そして3.8kWhサイズのバッテリーを組み合わせたハイブリッドシステムを用いているわけですね。

    「高回転のV8ツインターボと軸流型エレクトリックモーター3基を組み合わせることで、これまでのクルマには見られなかった非常に洗練されたアプローチを採用し、その結果は世界中のランボルギーニ ファンを感動させるでしょう。このアドレナリン マシンによって、私たちはスーパー スポーツ カーの新たなパラダイムへと飛躍します。」

    アウトモビリ ランボルギーニ最高技術責任者 ルーベン モール

      3つの軸流型モーターのうち最初の1つは、エンジンと新しい8速DCTギアボックス(横置き)の間に挟まれてエンジンを補完し、エレクトリックモーターならではのリニアかつ強力なトルクをもって低速と高速とのパワーのギャップを埋めることができ、この恩恵によってレッドラインに至るまで直線的なパワーが感じられることに。

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      さらにフロントアクスルに積まれるエレクトリックモーターは295馬力の追加出力を提供し、しかし最も優れている点は、モーターがそれほど重量を追加しないことで、各モーターの重量はわずか15.5kg、そして(前輪を駆動するための)フロントアクスル全体で73kgしかないというので、この「電動フロントアクスル」は重量増加を軽く帳消しにしてしまう存在であると考えることが可能です。

      そしてこれらエレクトリックモーターを駆動するためのバッテリーはセンタートンネルに内蔵されており、可能な限り低く搭載されています。

      テメラリオに積まれるハイブリッドシステムは「燃費を伸長させるため」「エレクトリックモードでの航続距離を稼ぐため」のものではなく、あくまでも低速時のガソリンエンジンおよびターボチャージャーの動作を補完するためのものであり、その容量は3.8kWhとかなり小さく(つまり軽量)、エンジン、回生ブレーキ、または7kWの家庭用コンセントに接続すれば30分で充電が完了します。※フェラーリ296GTBのハイブリッドシステム用バッテリーの容量は7.45kWh、マクラーレン・アルトゥーラでは7.4kWhである

      このシステムによってテメラリオは0-100km/h加速2.7秒、最高速度343km/hという驚異的な数値を達成でき、はつCO2排出量を低く抑えることが可能となっているわけですね。

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      ランボルギーニは「V8ツインターボ」のサウンドにも細心の注意を払っている

      なお、気になるのはやはりその「サウンド」で、これまでの5.2リッターV10よりも物理的に排気量が小さくシリンダー数も少なく、かつ「ターボ」というビハインドが存在します(一般的に、ターボは排気をいったんタービンに送り込むため、純粋な爆発音が損なわれる)。

      しかしランボルギーニは「近代のクルマでは、レクサスLFAとならびもっとも素晴らしい聴覚体験を提供する」とされたV10エンジンに比肩するようにサウンドを調整しており、音響ルームを用いて徹底的なテストを行ったとも説明。

      そして素晴らしいサウンドを提供するための調整は、まずシリンダー バンク間に(サウンドのための)接続を作ることから始まり、排気システムは徹底的に検討され、結果として、特徴的な”喉の奥から響くような”ランボルギーニの唸り声を提供し、さらにエンジンマウントとボディは、エンジンからの振動をドライバーに直接伝えるよう意図的に調整されています。※これは軽量ボディパネルとキャビン内に配置されたサウンドシンポーザーを使用することで効果的に実現されている

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      なお、ドライブモードは「チッタ、ストラーダ、スポーツ、コルサ」の4つで、この聞き慣れない「チッタ」がエレクトリックモード。

      現段階ではこのチッタモードでの航続可能距離は明示されていませんが(燃費同様、まだ認証段階にあるのだと思われる)、ここはテメラリオの「本質」ではなく、ランボルギーニが目指したのはあくまでも「顧客の魂を揺さぶるもの、背中の毛が逆立つもの」。

      そしてこれを達成するためのコアがこのV8ハイブリッドパワートレーンであり、これによって途方も無いパワー、顧客が求める咆哮、そして社会が要求する低排出ガスの目標を高次元でバランスさせることができるわけですね。

      さらにこのテメラリオはスーパーカーのパフォーマンスに関する基準を引き上げたことは間違いなく、同社CEO、ステファン・ヴィンケルマン氏の言うとおり、「全く新しい独自のセグメントに属するクルマ」なのかもしれません。

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      参照:Lamborghini

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