>ランボルギーニ

ランボルギーニ、「ミウラ」を復活させないと明言。デザイン責任者が語る「未来志向のデザイン哲学」とは

ランボルギーニ

| ランボルギーニ、「ミウラ」を復活させないと明言 |

現在のランボルギーニは「リバイバル」ではなく「未来」を見据える

ランボルギーニは「世界初のスーパーカー」と言われるミウラを世に送り出したブランドではありますが、その「ミウラ」を再び製作するつもりはない、と改めて明言。

これはデザイン部門を率いるミッチャ・ボルカート氏が Auto Express のインタビューにて語ったもので、「我々は未来を見据えるのであって、過去を振り返ることはない」と語り、ミウラの復活を完全に否定しています。

さらにミッチャ・ボルカート氏は「需要があることは理解しているが、それでも我々はやりません」と述べ、これは「復活」を望む声が少なくない中であっても、あくまでランボルギーニの姿勢は“前進”であることを強調する発言だと捉えることが可能です。

DSC03917

ランボルギーニ・カウンタック
ランボルギーニ「カウンタックLPI800-4のようなレトロモデルを二度と発売しない」。各社がリバイバルを行う中であえてやらないその理由とは?

| ランボルギーニは過去を再現することで”歴史上の聖域”には踏み込みたくない | そしてこれは「ミウラのリバイバル」の道が絶たれことを意味する さて、ランボルギーニは伝説の「カウンタック」後継モデルで ...

続きを見る


「カウンタック」復活との違い

ここで思い出されるのが、2021年に登場した「カウンタックLPI 800-4」。これはクラシックモデルの復刻と思われがちですが、ミッチャ・ボルカート氏は次のように説明します。

「カウンタックは未来的な解釈だった。1990年を最後に生産が終了し、2021年に登場したモデルは“継続モデル”として想像したものだった」

つまり単なるレトロ回帰ではなく、「当時のカウンタックがもし現代まで続いていたら」という未来志向のアプローチがあったということですね。

ただ、これには補足が必要で、このカウンタックLPI800-4を企画したのは前ランボルギーニCEOのステファノ・ドメニカリ氏。

DSC04053

同氏はスクーデリア・フェラーリCEOからランボルギーニCEOへと転身し、ランボルギーニでは「モータースポーツ」「リバイバル」という新しい方向性を打ち出すこととなるのですが、後者の一環が「カウンタックLPI800-4」。

ただ、後任そして現CEOであるステファン・ヴィンケルマン氏は未来志向の人物であり、かねてより「レトロ、リバイバル路線は追求しない」「我々に必要なのは小さなバックミラーと、大きなフロントウインドウであり、過去よりも前を見る」と主張していて、ミッチャ・ボルカート氏もこれに賛同しているというのが現在の状況です(カウンタックLPI800-4はステファン・ヴィンケルマン氏時代に発売されているが、それはもう同氏が着任したとき、プロジェクトを停止できる段階になかったからである)。

DSC04256

ランボルギーニ・カウンタック
ランボルギーニCEO「過去を振り返ることが、未来をつくるとはどうしても思えない」。そのため今後は二度とレトロ志向のスーパーカーは登場しない可能性

| その意味において、カウンタックLPI800-4は非常に大きな意味を持つクルマとなってくる | そのほうがランボルギーニらしくて方向性が明確だと思う さて、ランボルギーニCEO、ステファン・ヴィンケ ...

続きを見る


2006年には「ミウラ・コンセプト」も存在

実はランボルギーニは過去に一度だけ「ミウラ」を現代に蘇らせていて、2006年、初代ミウラ誕生40周年を記念して製作された「ミウラ・コンセプト」がそのクルマ。

このモデルはムルシエラゴのプラットフォームをベースに6.5リッターV12エンジンを搭載しており、見ての通りデザインはオリジナルのミウラを色濃く反映したものです。

DSC04642

ただ、このクルマは当時ランボルギーニ属するフォルクスワーゲングループのデザイン統括責任者として着任したワルター・デ・シルヴァ氏が「個人的なプロジェクト」として実現させたものであり、当初から発売する計画はなかったようですね。


現行ランボルギーニに息づく「ミウラ」のDNA

よって直接的なミウラ復活は「ない」ものの、ミウラの影響は現代のランボルギーニに確かに存在しており、ミッチャ・ボルカート氏は次のように語ります。

「新型フェノーメノをミウラの隣に置いてみると、フロントの2つのエアアウトレットなど、共通する要素がある。また、Y字型の“Sダクト”にもその影響を見ることができる」

世界初の市販ミドシップ・スーパーカーとして登場したミウラは、後のスーパーカーの基本フォーマットを確立したと言ってよく、その革新性と美しさは今なお評価され、デザイン言語としてランボルギーニの血脈に生き続けているというわけですね。

3

Image:Lamborghini

ランボルギーニ、V12史上最強の限定車「フェノメノ」を発表。生産わずか29台、1,080馬力、新技術も搭載へ。そのデザインはエクストリームからエレガントへ
ランボルギーニ、V12史上最強の限定車「フェノーメノ」を発表。生産わずか29台、1,080馬力、新技術も搭載へ。そのデザインはエクストリームからエレガントへ

Image:Lamborghini | ランボルギーニブランドのDNAを体現する29台の「現象」 | ランボルギーニ・フェノーメノは同社デザインサンターによる「マニフェスト」 アウトモビリ・ランボルギ ...

続きを見る


まとめ:ミウラは蘇らない、しかし生きている

ランボルギーニは「ミウラ」をそのまま復活させることはせず、しかし、そのDNAは確実に受け継がれ、未来志向のデザイン哲学の中で新しい形へと昇華されています。

伝説は過去に置いたまま、未来に向けて進む。これこそがランボルギーニらしさといえるでしょう。

ランボルギーニ・シアンFKP37
ランボルギーニCEO「二度とカウンタックLPI800-4のようなレトロカーを発売することはない」。「我々に必要なのは過去ではなく、過去を破壊しながら未来に進むことだ」

| 一本筋が通っているように見えるランボルギーニの展開も、CEOによってはずいぶん方向性が違っていたようだ | ランボルギーニが今後「レトロモデル」を発表しないことにも「納得」 さて、2022年には4 ...

続きを見る

合わせて読みたい、関連投稿

メルセデス・ベンツは「復刻」ビジネスには手を出さない。「復刻とレストアは異なります。希少車のオーナーはその希少性に誇りを持っており、それを裏切るような行為は絶対にしません」
メルセデス・ベンツは「復刻」ビジネスには手を出さない。「復刻とレストアは異なります。希少車のオーナーはその希少性に誇りを持っており、それを裏切るような行為は絶対にしません」

Image:Mercedes-Benz | さらにメルセデス・ベンツは1886年以降に製造された車両のパーツ供給を行う準備ができている | そしてなによりも重要視するのは「オリジナルの仕様の維持」であ ...

続きを見る

ランボルギーニ
ランボルギーニはジャガーやベントレーのように「アイコニックなクラシックカー」の再生産を行うことはない。ミウラやカウンタックの復元モデルであれば欲しい人はいくらでもいそうだが

| さらにそういった「復元モデル」は1台あたり数億円という価格で販売が可能 | ランボルギーニに大きな売上高と莫大な利益をもたらすことは間違いない さて、現在「ひとつの主流」となりつつあるのが「過去の ...

続きを見る

ランボルギーニが同社史上最高額、183億円にてワンオフモデル「エゴイスタ」をコレクターに販売したもよう。戦闘機とスーパーカーとのハイブリッド構造を持ち「永久所蔵品」だと言われていたが
ランボルギーニが同社史上最高額、183億円にてワンオフモデル「エゴイスタ」をコレクターに販売したもよう。戦闘機とスーパーカーとのハイブリッド構造を持ち「永久所蔵品」だと言われていたが

Image:Lamborghini | 販売先は明かされていないものの、カウンタックLP500の復刻を依頼したスイスのコレクターのもとへ納入されたと言われている | ランボルギーニやフェラーリが試作車 ...

続きを見る

参照:Auto Express

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->ランボルギーニ
-, , , , , ,