Image:NISSAN
| やはり今の技術ではどうやっても「軽いEV」を作ることは(ワンオフプロジェクトであっても)難しいのか |
このR32EVの技術は将来的にR36 GT-Rに活かされることになるのかも
さて、日産が約2年の作業を終え、完全に電動化されたスカイラインGT-R(R32)を発表。
このR32EVには「見た目には変わらず、しかしその中身には大きな変化」が潜んでいて、電動化に伴い伝説的なRB26DETTエンジンが姿を消し、代わりに2基の電動モーターが搭載されています。
一方の操作系だと、従来の5速マニュアルトランスミッションもなくなり、ギアシフトを模倣するパドルシフトが採用されるといった変更がアナウンスされています。
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「電動化」されたR32 スカイラインGT-Rはこんなクルマ
この”エレクトリックコンバージョン”R32 GT-Rには218馬力(約160kW)と340Nmのトルクを発生させるエレクトリックモーターが組み込まれていますが、日産いわく、この「電動GT-Rが元々のRB26DETTエンジンを搭載した標準車両と同等のパフォーマンスを発揮することを目指した」。
1989年に発表されたR32 スカイラインGT-Rは280馬力、353Nmという性能を持っていましたが、今回の「電動」GT-Rは合計で436馬力を発生しており、しかしこれは「370kg増加した」重量を相殺するために必要な出力であったのかもしれません。
総重量は1,797kgに達し、これは現行のR35 GT-Rとほぼ同じ重さとなっていますが、主な重量増加の原因は(リーフNismo RC02レースカーから移植された)62kWhのバッテリーパックで、このバッテリーパックは後部座席に搭載されています。
前後に1基ずつ配置された電エレクトリックモーターにより、R32EVはオールホイールドライブ(AWD)仕様となり、先代のGT-Rの伝統を受け継いでいるものの、増加した重量とパワー、トルクを受け止めるため、(もともとの)16インチのホイールと225/50 R16サイズのタイヤは「18インチ、235/45 R18」へとアップグレードされ(もちろんホイールのデザインはオリジナルを維持)、やはり重量とパワーを吸収することを目的にブレーキシステムも(R35 GT-Rと同じコンポーネントへと)アップグレード。
なお、サスペンションにはニスモチューンによるオーリンズ製が組み込まれている、とのこと。
R32EVのインテリアも一見して「当時のまま」
エクステリアが当時の仕様を踏襲しているのと同様、インテアリアにおいてもR32 スカイラインGT-Rそのままの雰囲気を保っていますが、デジタル計器が高解像度のものに置き換えられるなど一部の変更も見られます(タコメーターはそのまま残されているが、エレクトリックモーターの回転数を示すものと思われる)。
なお、当時としても非常に優れていたフロントシートは、レカロ製のレース用シートに交換され、ハーネスも装備されています。※ヘッドレストには「SKYLINE」のロゴ入り
このEV化は、純粋主義者にとっては神聖なGT-Rを冒涜していると感じられるかもしれませんが、日産は2基のエレクトリックモーターが「前後の車軸間でトルクをより精密に分配し、従来の機械式システム(アテーサ E-TS)よりも速く反応する」と述べおり、目標はオリジナルのR32 GT-Rと同じトルク対重量比を達成すること。
実際のとのろ「同じデザインのまま拡大したホイール」を見ても分かる通り、日産のエンジニアはR32 GT-Rに大いなる敬意を払っていることを見て取ることができ、しかしスピーカーからは、ガソリンエンジンの音を模倣した「フェイクエンジンサウンド」が流れるという物議を醸す仕様も採用されています。
残念ながら、R32EVの生産モデルは予定されておらず、コンバージョンキットも販売されることはないといい、このため、R32EVはワンオフのプロジェクトとして限定的な存在となりますが、しかし、2023年のハイパーフォースコンセプトが示唆するように、日産は完全電動化されたGT-R R36を将来的に登場させる意向を持っており、そのためのひとつの試金石となるのかもしれません。
日産「R32EV」プロジェクトを紹介する動画はこちら
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