| ただし現段階ではスズキ・ジムニー5ドアの生産能力は不明であり、納車待ち期間は予測に過ぎない |
いずれにせよ、当面は需要を満たすだけの納車を行うことは難しいだろう
さて、発表以来様々な方面で話題を振りまいているスズキ・ジムニー5ドア。
発表は1月上旬にデリーで開催されたイベント「Auto Expo 2023」にて行われ、実際の発売は6月7日に行われる予定ですが、すでに予約だけで3万台もの受注に膨れ上がっている、との報道がなされています。
なお、現在ジムニー5ドアはインド国内のみでの発売だとされているので、「インドのみ」でこの受注台数が集まったということになり、もし受注とデリバリーを世界中に拡大したとなると「恐ろしいこと」になるのかもしれません。※ゆくゆくは中南米や南アフリカへ輸出する計画があるとも報じられている
スズキ・ジムニー5ドアはこんなクルマ
インドにて発売されるスズキ・ジムニー5ドアは文字通り「ジムニー3ドアを延長」したクルマであり、ジムニーシエラの全長3,555ミリに対してジムニー5ドアでは全長3,985ミリ。
つまり43センチほど延長されているということになりますが、ジムニー5ドアの全長が4メートル以下となっているのは、インドでは「4メートルを超えると税金が高くなる」ためだと思われます。
搭載されるエンジンもジムニー3ドアと同じ1.5リッター自然吸気4気筒で、トランスミッションは5速マニュアルトランスミッションまたはトルクコンバーター付き4速オートマチックのいずれかを選択することが可能です。
現地でのジムニー5ドアには2つのグレードが用意され、ベースとなるのは「ゼータ」で、その上に位置するのが「アルファ」という構成。
まだ標準装備の詳細は公表されていないものの、報じられる範囲だと、アルファにはLEDオートヘッドライト、SmartPlay Pro+システム搭載9インチインフォテイメントスクリーン、クルーズコントロール、Arkamys製サウンドシステム、6エアバッグ、ヒルホールドアシスト付きESP、ヒルディセントコントロール、リアビューカメラ、ABSが装備されているようですね。
4WDシステム「オールグリッププロ」についてもジムニー3ドア同様で、2WD-High、4WD-High、4WD-Lowの3つのモードを備えたマニュアルトランスファーケースとローレンジギアボックスが標準装備され、もちろんラダーフレームシャシーを採用することで最低地上高210mmを確保し、アプローチアングルは36度、デパーチャーアングルは50度、ブレークオーバーアングルは24度という素晴らしい数値を誇る一方、現時点ではまだジムニー5ドアの価格は発表されておらず、100万ルピー(現在の為替レートで167万円)から120万ルピー(200万円)になるのでは、と見られています。
スズキ・ジムニーは日本にも輸入されるのか
なお、このジムニー5ドアはインド生産となっており、日本ではジムニー5ドアの生産を行う予定はないと報じられているので、ジムニー5ドアが日本で発売される可能性があるとすると、それは「インドからの輸入」という道しかなさそうです。※スズキは「バレーノ」をインドから輸入したことがあるので、その可能性もゼロではない
ちなみに生産を行うマルチ・スズキは日本からジムニー生産用の設備を輸入しノックダウン(CKD)生産を行っていましたが、ジムニー5ドアの生産については、新しい設備を導入したのか、それともこの3ドア用設備を改装したものなのか、それとも3ドアと5ドアとを同じラインで生産しているのかは一切不明。
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もちろんその生産能力についてもナゾではあるものの、上述の(インドでの)ノックダウン生産が開始された後、日本市場におけるジムニーの割当が600台/月ほど増えていて、つまりこれは「いままでは日本で生産し、他国に輸出していたジムニーについて、インドで生産しインドから輸出するようになったので、そのぶん日本で生産するジムニーを日本で販売できるようになった」とも考えられます。
そう考えると、マルチ・スズキのグジャラート州ハンサルプール工場のジムニーの(これまでの)生産能力は600台/月くらいと考えてよく、もしジムニー5ドアでも同じ数字をキープできたとしても、今回報じられる3万台を消化するには約40ヶ月、つまり4年超を要するという計算も成り立ちます。
加えて、もしこれまでの生産ラインをジムニー3ドアと(ジムニー5ドアとで)シェアするのであればもっと受注の消化に長い時間がかかり、反面、新しく専用のラインを設置し、この生産能力がこれまで以上であれば納期は短縮されることになりますが、実際には「そもそもスズキがワールドワイドにてどれくらいの販売台数を目論み、インドにどの程度の役割を負担させる計画であったのか」によっても変わってきそう。
ちなみにですが、スズキ含む日本の自動車メーカーの場合、「注文が増えたから」といって増産をすぐに行うことは非常に稀で、これはすでに存在する投資計画の変更を行うにはとんでもない数の稟議書やハンコが必要となるからなのかもしれません。
加えて、多くの偉い人の決裁を得て増産に踏み切ったとしても、その頃にはブームが沈静化している可能性もあり、その場合はコストを回収できずに責任を追求されることも考えられ、よってサラリーマン的見地からすると「ここはムダに動かないほうがいいだろう」と考える人が多いであろうことも予想できます。※反面、アメリカの自動車メーカーは人気車種の増産対応が素早いように思えるが、不人気車種もバッサリ切ることが多い
さらに今の状況では、「ガソリン車の増産を行う」よりも、「EVの開発や増産を行う」ほうが企業としてのプライオリティが高いはずで、スズキとしては「2024年に発表される」ジムニーEVの開発に全力を注ぎ、未来のための行動を優先する可能性が高いと考えており、よってジムニー5ドアの増産は無いと捉えています。※スズキが、ジムニー5ドアに対して極力コストを投じず、3ドア版との共通性を高めたことからもその姿勢が理解でき、スズキはジムニーの人気がいかに高いとしても、そこに大きな投資を行う決断を下さないようだ
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