| 「積まれるとしてもA100スープラ。それは次世代エンジニアの仕事だ」 |
カーメディア、Motoringが新型スープラの開発主任、多田哲哉氏に「新型スープラにハイブリッドモデルはあるか?」と訪ねたところ、即座に「NO」という回答が戻ってきた模様。
この質問については、以前にトヨタが「2025年までに、全車種にハイブリッドモデルを設定する」としたコミットを受け、新型スープラも、あと5年すればハイブリッドモデルが登場するのでは?という疑問から出てきたようですね(この回答が、スープラが2025年以降”生き残れない”という意味ではないことを願う)。
ハイブリッドシステムは大きく重すぎ、設置場所がない
この「NO」の理由として最大のものは、「現時点でのハイブリッドユニット(モーター+バッテリー)が重すぎるというもので、これについては新型スープラに押し込むだけのスペースはなく、実現するとなると多くのものを犠牲にせねばならない、ということ。
ちなみにフェラーリ初のハイブリッドモデル、SF90ストラダーレに搭載されるハイブリッドシステムの重量は250kg、そして得られた出力は220PS。
フェラーリ「SF90ストラダーレのハイブリッドは妥協策ではない。パフォーマンス向上のために採用し、重量増加分の250kgも回収できるほどの効果を得た」
一方、発表されたばかりのランボルギーニ・シアンに積まれるハイブリッドシステムは34kgしかなく、しかし出力も控えめな34PS。
これがランボルギーニの未来!63台限定、2億7000万円の「Sián(シアン)」発表。V12+HVで819PSを発生するランボルギーニ初の「ハイブリッド」
そう考えるとハイブリッドシステムによって得られる1馬力は「最低でも1kgの重量増加を覚悟する必要がある」ということになりそうです。
新型スープラはBMW製の3リッター直6ツインターボエンジンを搭載して340馬力を発生しますが、このエンジンは相当なポテンシャルを持っており、比較的簡単に「400馬力くらいは」達成できそう。
ただ、馬力をアップすると環境規制に対応するのが難しくなり、その対策としての重量が多少増えることにはなりそうではあるものの、ハイブリッドシステムを搭載してプラス60馬力分=60キロを増やすよりはずいぶん軽く仕上がり、コストもずっと安い、と言えそうです。
そのためスープラは「パワーアップ」のためにハイブリッドシステムを積む必要はなく、理由があるとすれば「環境規制のため」。
よって、エンジンとトランスミッションとの間にスターター兼モーターを装着する「マイルドハイブリッド」くらいは(BMW Z4がフェイスリフトを受け構造変更を行った場合などに)あるかもしれませんが、大掛かりなハイブリッドシステムの搭載は無いも考えられます。
ちなみにトヨタは高いハイブリッド技術を持つ会社ですが、そのハイブリッド技術は「燃費向上」に注がれており、ポルシェやメルセデスAMGのように「パフォーマンス向上」のためのハイブリッドではないのも特筆すべき点。
こういった状況を踏まえて多田哲哉氏が「NO」と答えたのは非常に納得性が高く、新型スープラには「ハイブリッドなし」と考えてよいのかもしれません。
スープラ+ハイブリッドは次期「A100」スープラにて?
そして多田哲也氏は「スープラにハイブリッドを積むのは、次世代エンジニアたちの課題」だとも語っており、自身の世代ではそれは実現できない、と感じさせるコメントも。
実際のところ「A100スープラ、つまりA90スープラの後継モデルが登場する頃には自分はもう退職しているだろう」とも語っており、在職中には「思うようなレベルにハイブリッド技術が進化する」とは考えられない、ということなのでしょうね。
VIA: Motoring