| トヨタは水素パワートレーンに強い興味をいだいており、「燃焼」には特に強いこだわりを見せる |
ここへ来てカーボンニュートラル達成の手段は「合成燃料」「水素」など多様化してきた
さて、トヨタは「水素」を推し進める数少ない自動車メーカーの一つであり、これまでにも(水素に関する)数々の技術やコンセプトカーを発表していますが、今回はル・マン24時間レース開催にあわせて「GR H2 レーシングコンセプト(GR H2 Racing Concept)」なるレーシングカーを発表。
注目すべきは豊田章男会長自らがこのクルマを公開したということで、現時点ではこの水素エンジンのプロトタイプの技術仕様を公表しておらず、明かされているのは全長5,100mm、全幅2,050mmというサイズ、「水素エンジン+ハイブリッドシステム」パワートレーンを積むということのみ。
トヨタは2026年のル・マン24時間レースに水素レーシングカーを投入
この「全長5,100mm、全幅2,050mm」というのはトヨタの現行ル・マン・レーサー(全長4,650mm、全幅1,900mm)よりもわずかに長く、広いサイズとなるものの、スタイリングそのものに大きな差異があり、とくにフロントだとGR010ハイブリッドの大きな縦型ヘッドライトとは異なる「横型の細長い」ヘッドライトを持っています。
これはもちろんクラウンやプリウスはじめとする「ハンマーヘッド」ルックスを採用しているためで、市販車とのつながりを色濃く感じさせる部分ですね(つまり、水素を市販車にも拡大しようというトヨタの意思表示だと思われる)。
なお、ル・マン24時間レースの開催元であるACOは「水素燃焼と水素燃料電池」両方をパワーソースとするレーシングカーの投入を承認しており、よってトヨタは(実際にレギュレーションが改定されるであろう)2026年に「水素レーシングカー」を走らせることになるかと思われ、そして今回のGR H2 レーシングコンセプトはその予告ということになりそうです。
なお、ACOの「水素を用いて走るカテゴリーを創設する」という発表、そしてこのGR H2 レーシングコンセプトの発表とはさほど間が空いておらず、そしてトヨタのプレスリリースにはACO会長、ピエール・フィヨン氏のコメントも添えられているので、ル・マンでの水素カテゴリー創設にはトヨタの意思も大きく関与したものと考えていいのかも。
豊田章男会長はこう語る
豊田章男会長は「ル・マンは、私たちが限界を超え、未来を実現できる場所です。私の目標は、レースのスピードや興奮を損なうことなく、カーボンニュートラルに到達することです。この技術で勝てると思わなければ、私はこの技術に投資しません。水素は、単にゼロエミッションというだけでなく、音、トルク、ダイナミクスを実現する、真にエキサイティングなテクノロジーです」。
なお、このコメントを見ると、水素といえどフューエルセルではなく、水素を使用した燃料を「燃焼させる」エンジンを搭載するものだと考えてよく、これまでにトヨタが推し進めてきたプロジェクトの集大成がこのGR H2 レーシングコンセプトであり、そしてその実力を(2026年以降の)ル・マンで示すのがこのクルマということになりそうですね。
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参照:TOYOTA