| トヨタの「ベース車」があるぶん、レクサスはほかのプレミアムカーメーカーよりはピックアップトラックに参入しやすい |
しかしながら現段階では、その市場はあまりに小さいものと思われる
さて、つい昨日レクサスは「LEXUS SHOWCASE(レクサスショーケース)」なるイベントを開催し、そこではレクサス・インターナショナル・プレジデントである渡辺剛氏が今後のレクサスの方向性についていくつかのヒントを示しています。
その中で今後の展開に大きな影響を与えそうなのが「多様化」という要素で、これはライフスタイルや価値観の多様化に伴い、レクサスも多様なモデルを投入してゆくというもの。
実際のところ、レクサスは初のミニバン「LM」をワールドワイドに投入し(初代は中華圏のみの販売だったが、二代目は世界60カ国で提供される)、3列シートを持つファミリーSUV「TX」、高級スニーカーをイメージした「LBX」といった新しいラインアップを導入し、GXにおいてもモデルチェンジとともに大きくスタイリングを変えて「タフでワイルド」という今までのレクサスとは異なる様相を持つに至っています。
-
レクサスが「GXを2024年中に国内に導入する」と正式発表。加えて2026年発表の次世代EVコンセプトを来月のイベントにて公開するともコメント
| レクサスGXはもしかすると空前絶後の人気を誇ることになるかもしれない | さらにレクサスは今後も継続し魅力的なニューモデルを展開予定 さて、レクサスがメディア向けイベント「LEXUS SHOWCA ...
続きを見る
レクサスは可能性を否定しない
-
レクサスLBX正式発表!企画の起点はラグジュアリースニーカー、「高級感はサイズやフォーマット、ヒエラルキーに依存しないのです」。
| 新型レクサスLBXはレクサスにとって様々なチャレンジが詰まった”原点回帰” | さて、レクサスが新型コンパクトクロスオーバー「LBX」を公開。現在、メルセデス・ベンツやBMWなど、プレミアムカーブ ...
続きを見る
そしてレクサスショーケースにて渡辺剛氏が語ったのが「レクサスのピックアップトラック」。
これについては「もし消費者の強いニーズがあれば、レクサスがピックアップトラックを発売することもありうる」とし、「ただし今のところそういった話はないが、レクサスのピックアップトラックを否定しない」とも。
ちなみにトヨタではハイラックス、タンドラ、タコマといった人気ピックアップトラックを持っており、よってレクサスLM、レクサスTX、そして他のモデルのように「トヨタの既存モデルを活用し、レクサス版を作り上げる」ことは難しくないものと思われます。
-
レクサスLMが英国にて販売開始。グレードは3つ、邦貨換算だと1935/1690/2052万円。英国と日本のレクサス各モデルの価格差はおおよそ15〜25%だが
| レクサスLMがどれだけでも売れるのはほぼ確定しており、であれば日本国内価格はかなる「強気」で設定してくる可能性も | レクサスLMにはとんでもない数の法人需要があるものと思われる さて、今年4月に ...
続きを見る
レクサスがピックアップトラックを発売するかどうかは「需要による」
ただ、レクサスが強調する「ニーズ」がどれほどあるのか現時点ではわからず、アメリカやオーストラリアではある程度の需要があるものと思われ、しかし世界最大市場である中国においては「もともとピックアップトラックの人気がない」ことから需要を引き出すことは難しいかもしれません。
実際のところ、中国の自動車メーカーですら「高級ピックアップトラック」を発売してない(コンセプトとしては示されたことがある)事実を見るに、いかにレクサスであってもそのチャンスは薄いであろうと想像できます。
-
参考さすがは何でもありの中国!長城汽車がスーパーカーとトラックを合体させた、ズバリ「スーパーカーピックアップ」を発表
| さすがのアメリカ人でもこの発想はなかったのかもしれない | やっぱり中国の自動車メーカーの考え方は一味違う さて、広州モーターショーにてトラック大好きなアメリカ人もびっくりなトラックが展示されてい ...
続きを見る
参考までに、中国でピックアップトラックの人気がないのは「どうしても使役車を連想させる」からだとされ、同じ理由で箱バン、ワゴンを嫌うという話も。
一方、そういった「荷物運搬用」とは無縁であるセダンが好まれることからも中国のひとつの嗜好を汲み取ることができ、そしてSUVの人気が高いものの「クーペSUV」に人気が集中しがちであることからも「荷物を運ぶ」イメージが強いクルマを敬遠するという傾向を読み取ることが可能です(荷室と同じ空間に自分が存在するのが嫌だという理由でワンボックスや2ボックスを嫌う人も少なくはないようだ。こういった理由から、中国人は乗用車に対し、商用車とは異なる、洗練された未来的なデザインを求めるのかもしれない)。
ただし一部中国メーカーは「アメリカでピックアップトラックが大人気」ということから中国でも同様のブームが起きるのではと見る向きがあり、SUVに特化した長城汽車などは積極的にピックアップトラックを発表しているという現実も。
ただしこちらもヒットにはなりえず、「普通に乗る」ために購入する層は現れないとも報じられているので、やはり「中国でピックアップトラック(とくにプレミアムクラス)を乗用車と同じように売る」のは難しいのかも。
-
中国でトラックが流行の兆し?もし人気化すれば日米欧各自動車メーカーはその戦略の転換を迫られるのかも
| 意外なことだが、中国とアメリカの自動車市場はその嗜好に共通性がある | 中国でいつトラックブームが起きても不思議はないと思う さて、中国の自動車メーカーは現在「数百」あるといい、当然ながら淘汰の時 ...
続きを見る
もう一つ参考までに、ぼくがドバイを訪れて驚いたのは「けっこうトラックが多い」こと。
これらトラックについては、ラクダを乗せて運んだり、ジェットスキーやバイク、バギーを運んだりといった実用的な使い方がなされており、いかにお金持ちが多いドバイだとしても、レクサスのピックアップトラックよりは、フォードF-150やトヨタ・タンドラのような、”より実用的な”トラックを選ぶのかもしれません。
いずれにせよ、世界的に見て(メルセデス・ベンツXクラス含め)高級ピックアップトラックが成功した例はなく、そしてプレミアムカーメーカーからトラックが発売されないところを見ると、そのチャンスは少ないと考えるのが妥当である、と考えられます(ただし需要はゼロではないと思われ、そのニッチについて狙うべき価値があるかどうかの判断は自動車メーカーによる)。
合わせて読みたい、関連投稿
-
新型トヨタ・タコマ正式発表!キャンプ向けの「トレイルハンター」追加、現在の自動車業界で最も進んだサスペンション / ダンパー内蔵シートも公開
| このセグメントは北米でも人気があり、そのぶん競争が厳しいが、新型タコマは十分に勝ち抜くことができるだろう | 新型タコマはグレードを細分化し、あらゆる需要へと対応 さて、新型トヨタ・タコマがついに ...
続きを見る
-
トヨタがピックアップトラック「タンドラ」に最高級モデル「キャップストーン」追加!レクサスばりのセミアニリンレザーシートに加え、至るところにメッキが施される
| 「ピックアップトラック」と「高級」とは相容れないような気もするが、アメリカでは人気のあるセグメントであるようだ | そしておそらく、相当な人気を博するのは間違いなさそう さて、トヨタは新型タンドラ ...
続きを見る
-
JDパワー・ジャパンによる自動車初期品質調査だと「プレミアム部門」でもっとも品質が高いと評されるのはレクサス、「普及車部門」だとダイハツとホンダ
| レクサスの評価が高いことは認識していたが、ダイハツの評価がここまで高いとは | 一般的に「高価なクルマほど期待値が高くクレームが出やすい」と言われるが さて、JDパワー・ジャパンが日本にて販売され ...
続きを見る
参照:Drive