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| シャオミはBMWの「破壊的なデザイン」を好み、それを取り入れたいと願っているようだ |
中国の自動車メーカーはデザインによって「未来」を作ってゆこうという考え方を持っている
さて、BMWのデザインを大きく変革し、その後の(現在にまで続く)成功に導いたことでも知られるデザイナー、クリス・バングル氏。
同氏はBMWを離れた後に自身のデザインオフィスを構え、自動車以外にも様々な分野にて活躍を見せていますが、今回シャオミが公開した動画にも登場し、シャオミの車両デザインにも関わっていることが明らかに。
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シャオミの市販第一号、SU7のデザインを担当したのはBMW出身のデザイナー
なお、シャオミはつい先日、3年の開発期間を経て市販車第一号「SU7」を発表していますが、このチーフデザイナーはBMW出身の李天元氏(iヴィジョン・サーキュラーコンセプト、iX、新型7シリーズなどを担当している)。
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新型BMW iX正式発表!500馬力を発生するテクノロジー志向のEV。もうグリルが大きくないとBMWとは感じなくなった自分が怖い
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つまりシャオミはBMWのデザイナーを招き入れて最初のクルマをデザインしたということになり、BMWの中でもとりわけ個性的な車両をデザインした李天元氏を獲得したこと、そしてさらには今回クリス・バングル氏を起用したところを見ると、シャオミのCEO、レイ・ジュン氏はBMWの中でも「奇抜な」部類のデザインに魅力を感じているのかもしれません。
We strive to create designs that are timeless. To achieve this, our design team goes back to the basics of design, seeking beauty that is intuitive and natural. pic.twitter.com/UcKYm7zN8g
— Lei Jun (@leijun) January 1, 2024
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中国スマホメーカー「シャオミ」が計画から3年、ついにEV第一号を発売。クルマを制御するのはスマホと同じハイパーOS、運動性能はポルシェ・タイカンを上回る
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そして今回、レイ・ジュンCEOは「クリス・バングルがシャオミに加わる」という驚きの発表を行っているわけですが、クリス・バングル氏は今後、自身のデザインカンパニーを通じてシャオミへと様々な協力を行うことになりそうですね。
クリス・バングル氏は1980年代にオペルとフィアットにてデザイナーとして働いた後の1992年にBMWのチーフデザイナーへと就任し、7シリーズ(E65)や6シリーズ(E63)に代表される「バングルバット(バングル・アス)」を導入したことでも知られます。
The second echo of BMW in Xiaomi's car design team has just been revealed.
— Tom van Dillen (@vandillenpek) December 29, 2023
Look who entered the stage: Mr. Chris Bangle! Although it was already clear that Mr. Sawyer Li, also ex-BMW, was heading up the EV design department at Xiaomi Technology, we now have a second clear echo… pic.twitter.com/ubXLJuph8o
「非常に」個性的なデザインを取り入れるために賛否両論が分かれた人物ではありますが、実際に販売が伸びたことは間違いなく、そしてこの路線が現在のBMWの「議論を呼ぶデザインを行う」という方針に繋がっているのだとも考えられます。
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BMWの巨大グリルは話題作りのための炎上商法だった!「発売されて、論争の対象にならないようであれば我々の負けです。議論によって新しい顧客を呼び込めるのです」
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なぜ多くのデザイナーは中国を目指すのか?
なお、シャオミに限らず、中国の自動車メーカー、そしてヒョンデやキアなど韓国の自動車メーカーは多数の(欧州州自動車メーカーで活躍する)デザイナーを引き抜いており、ミニのマーティン・ヒルデブランド、ロールス・ロイスのジャイルズ・テイラー、アウディのペーター・シュライヤー、ベントレー / ランボルギーニのルク・ドンカーヴォルケ、BMW / メルセデス・ベンツ / インフィニティのカリム・ハビブなどその名をあげると枚挙にいとまがないほど。
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韓国キアが元BMW / ベントレーのデザイナー、ジョン・バッキンガムを獲得!なぜ著名デザイナーは韓国や中国の自動車メーカーへと移るのか?
| ヒョンデとキアの「フォルクスワーゲングループとBMW出身者比率」はハンパない | それだけフォルクスワーゲングループとBMWでは「活躍の場が少ない」のかも さて、韓国の自動車メーカー、ヒョンデとキ ...
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こういった背景にはもちろん「中国や韓国の自動車メーカーが(デザイナーに)お金を積む」といった理由もあるかとは思いますが、なによりもデザイナーにとっては「制約なく自由にデザインができる」という事情があるからだと思われます。
たとえば欧州の自動車メーカーに在籍していると、その伝統を重視する必要があるために「こうでなくてはならない」「この要素を盛り込むように」「これはダメ」といった”縛り”が多いものと思われ、しかし韓国や中国の自動車メーカーはそういった伝統にとらわれず「これから歴史を作ってゆく」ためにデザイナーとして制約なく自身のクリエイティビティを発揮することができ、”仕事に対するダイナミズム””やりがい”が大きいのかもしれませんね。
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これまたスゴいの出てきたな・・・。ボルボ/ロータスの親会社、吉利汽車が4枚ガルウイングのハイブリッドGT「ザ・ネクスト・デイ・コンセプト」を発表
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参照:Tom van Dillen(X), Motor1