| 時間はかかったものの、これだけの性能を実現できたのはさすがシャオミである |
おそらくは相当に競争力のある価格に設定されると考えてよく、中国の新興EVメーカーにとっても大きな脅威だと思われる
さて、中国スマートフォン大手のシャオミがその第一号となるEV「SU7」を発表。
875Vの充電システムとCATL製のセルを使用した101kWhのバッテリーを搭載し、一回の満充電あたり最大航続距離は800km、AWDバージョンのパワーは475kW(646馬力)、0-100km/h加速は2.78秒、最高速度は265km/hという非常に優れた性能を誇ります。
シャオミSU7はこんなクルマ
上述のとおりシャオミはスマートフォンはじめとする「家電メーカー」で、自動車産業においては「門外漢」ではありますが、EVのみに事業展開を絞ることにより低いハードルをもって参入しており、その計画が発表されたのは約3年前の2021年3月30日。
これはシャオミCEOで創業者でもありレイ・ジュン(雷軍)氏によってアナウンスがなされ、自動車製造事業に100億元(日本円だと1900億円くらい)を投資すると発表するしたわけですが、今回晴れて「(計画の発表から)1,003日後」に第一号の発売を宣言したわけですね。
当初用意されるのは「SU7」と「SU7 MAX」の2モデルで、SU7は後輪駆動、SU7 MAXは全輪駆動という仕様です。
SU7に搭載されるのは300馬力を発生させる自社開発のエレクトリックモーター、しかし面白いのはシャオミがこのモーターを「V6」と呼んでいること。
もちろんガソリンエンジンを積んでいないので「V6」という表現はすぐに腑に落ちるものではありませんが、これはポルシェがタイカンに与えている「ターボ」と同じようなものかもしれません(V6エンジンを積むクルマくらいのパフォーマンスを発揮する、ということなのだと思われる)。
ちなみに最大トルクは400Nm、0-100km/h加速性能は5.28秒、バッテリーサイズは73.6kWh、航続距離は668km(CLTCサイクルでの計測)。
一方のSU7 MAXはデュアルモーターを搭載して646馬力/838Nmを発生させ、上述の通り0-100km/h加速は2.78秒、最高速は265km/hというスペックを誇ります(バッテリーサイズは101kWh)。※運動性能はどの領域においてもポルシェ・タイカン・ターボに勝っている
両者とも5分の充電で220kmぶんの走行距離を充電でき、10分だと390km、15分では510kmぶんをチャージできるというので、実用性も非常に高いということになりそうですね。
スタイリングについてはすでにリークがなされていたものの、今回の明るいブルーは「はじめて」公開されることになっており非常に新鮮。
中国市場で好まれる「ツルっとした」、そして丸いボディ形状を持ち、なかなかにスタイリッシュだと思います。
なお、Cd値は0.195と非常に低く、ただしこれはルーフ上のLiDARを装着していない場合の数字なのだそう。※この0.195というのは、BYDのU9と並んで世界で最も低い部類の数字である
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シャオミにてSU7のデザイン責任者を務めるのはBMWから移ってきた李天元氏(iヴィジョン・サーキュラーコンセプト、iX、新型7シリーズなどを担当している)、そしてエクステリアデザイナーはメルセデス・ベンツからやってきたジェームズ・チュウ氏(ビジョンEQXXのデザインを担当した人物であり、たしかにヴィジョンEQXXとの共通点も見られる)。
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シャオミSU7のボディサイズは全長4,997ミリ、全幅1,963ミリ、全高1,455ミリ、ホイールベースは3,000ミリなのでポルシェ・タイカンとほぼ同じ(少しだけ長い)、そしてフロントトランク容量は105リットル(ポルシェ・タイカン、テスラ・モデルSよりも大きい)、リアトランクだと517リットルという大きな収納スペースを確保しています。
シャオミSU7はこんなインテリアを持っている
そしてこのシャオミSU7のインテリアを見てみると、3K解像度を持つ16.1インチのコントロールスクリーンを中央に持ち、ドライバー用としては7.1インチのインストルメントパネル、そして前席背面には後部座席用のスクリーン(Mi Padと呼ばれるシャオミのタブレット)が配置されています。
なお、ヘッドアップディスプレイは56インチという巨大なサイズを誇り、コックピット・オペレーション・システム(HyperOSは)はクアルコムのSnapdragon 8295にて駆動されること、そしてXiaomi Pilotと名付けられた自動運転システム(ADAS)は、508TOPsの演算能力を持つ2つのNvidia Orin-Xチップが担当することも明かされています。
そしてXiaomi Pilotは、1台のLiDAR、3台のミリ波レーダー、11台のHDカメラ、12台の超音波レーダーをもってコントロールされ、この自律走行システムには、高速道路走行、セルフパーキング機能、サモンモード(呼び出し)が含まれるほか、2024年末までに中国の100以上の都市で市街地での利用が可能になるようですね。
なお、シャオミが現在のように「家電最大手のうちの1社」となる前には、MIUIと呼ばれる改良型アンドロイドROMを開発するソフトウェア開発会社であったわけですが、現在採用されるHyperOSはMIUIに取って代わる新世代オペレーションシステムで、これはSU7のみではなく、シャオミのデバイスのほとんどを制御するもの(よってクルマと端末とをシームレスに統合できる)。
よってシャオミは多くの自動車メーカーが苦戦している「ソフトウエア」分野において圧倒的な優位性を持つと考えてよく、後発ながらも多くの先行するEVメーカーを追い抜く可能性も考えられ、実際のところレイ・ジュンCEOは「今後15〜20年で世界のトップ5の自動車会社になりたいと考えている」と今回の発表の場で力強くコメント。
ただしまだこのSU7の価格については公表がなされておらず、しかし現地メディアでは(ベースモデルで)30万元くらいになるのでは、と見られているようですね(約590万円くらいなので、かなり安価だと言っていい)。
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