2013年の「コンセプトクーペ」がようやく市販に
ボルボが「ポールスター1」を公式に発表。
公開された場は「上海」ですが、これは親会社である吉利汽車の意向が強いのかもしれませんね。
パッケージングとしては2ドアクーペボディに2+2、4WDとハイブリッドシステム採用にて600馬力を発生するグランドツアラー。
プラットフォームはボルボの「Scalable Platform Architecture=SPA」だとアナウンスされています。
ポールスターって何?
「ポールスター」はボルボがあたらしく始動させるエレクトリックブランドですが、その第一弾がこの「ポールスター1」。
別ブランドといえどもボルボとひと目で分かるルックス、そして「トールハンマー」と採用したヘッドライトがボルボらしさを主張していますね(ほか自動車メーカーのEVブランドは既存ラインアップと異なるデザインを採用しているなかでは珍しい)。
なおフロントバンパーの「ハの字」は最近における一つの流行で、ランボルギーニ・アヴェンタドールS、トヨタC-HR、ホンダ・フィットなどに見られるデザイン。
ボルボは「これから(ポールスター1以降)ポールスターブランドにて発売される車はフルエレクトリック」としており、各車こぞって参入するこのカテゴリにひとまず足を踏み入れたということになりそうです。
ただ今回のポールスター1はフルエレクトリックではなく「プラグインハイブリッド」で、前輪を駆動するのは2リッター4気筒のDrive-Eエンジン。
後輪は2つのエレクトリックモーターで駆動され、もちろんトルクベクタリングを備え、モーターのみで150キロの走行が可能(現時点ではもっとも長距離をバッテリーのみで走れるPHEV)。
ポールスター1について重量配分は前後48:52となっており、運動性能を重視しているであろうこともわかります。
サスペンションはオーリンズ製の「Continuously Controlled Electronic Suspension =CESi」で、これは名称からするとアクティブサスのようですね。
なおブレーキキャリパーとローターは曙ブレーキ製。
ポールスター1の生産は中国
生産については2019年、製造は中国・成都にあるポールスター専用の新工場。
すでに公開された通り、今後ボルボの生産は本当に「中国」へと集約されるのかもしれません。
関連投稿
中国の吉利汽車とボルボがベンチャー設立。お互いの技術を共有しLynk&Coにも技術提供
ボルボはS90全てを中国産にシフト。ジャーマンスリーもいよいよ中国製車両を世界に輸出か
大丈夫?ボルボ「最初のEVは中国生産」。その意図するところを考える
中国製ボルボがついに世界へ。中華ボルボがアメリカやヨーロッパへ輸出か
なお生産が2019年からとなると納車は2020年からということになりますが、各社ともエレクトリックモデル/エレクトリックブランドについては「我先に」と数年以上待たねばならない新型車を発表しており、さらには予約を受け付けるブランドも。
新ブランド、そしてそのメーカー初のエレクトリックモデルということで「先が読めず」、従って少しでも需要を確保しておこう(もしくはその予測を行おう)という狙いがあるのかもしれません。
ポールスター1の受注はすべてオンライン経由
ポールスター1について、受注は100%「オンライン」。
加えて2-3年契約の「リース」のような販売形式を取るとされており、毎月の支払いにはメンテナンスや保険など「すべての費用」が含まれる予定とされています(EVは売却時の値下がりが大きな懸念なので、これをボルボが払拭しようということなのかも。EVには向いている販売形態だと言える)。
今後はこれに続く「ポールスター2」の発売も予定しており、これは公約通り「オールエレクトリック」。
こちらは2019年からの生産、とされています。
さらには「ポールスター3」の発売も計画されているそうですが、このあたりのネーミングは親会社である吉利汽車の新しく展開する「Lynk&Co.」ブランドの新型車、「01」「02」「03」と似ていますね。
これに限らずですが、EVについて各社が採用するネーミングは非常にシンプルで、これはテスラの作った流行や、iPhoneにおける命名則(製品名+数字)になぞらえたものかもしれません。
ポールスター1は2013年にボルボが発表した「コンセプトクーペ」の市販モデル
なお、この「ポールスター1」は2013年にボルボが公開した「コンセプトクーペ」の市販モデルといえるものですが、コンセプト公開から市販までに7年を要する計算となり、新型車のリリースはとんでもなく長いタームの仕事になるということもわかります。
こちらがその「コンセプトクーペ」。
ポールスター1はこのデザインを忠実に再現していることがわかりますね(というかコンセプトクーペの完成度が異常に高かったともいえる)。
なお各社とも最初に発売するEVは街なかで乗りやすいコンパクトハッチバック、もしくはガソリン車ではメインストリームとなりつつあるSUVですが、ボルボがあえて「クーペ」を選んだ理由は謎(ポールスター1はPHEVではありますが)。
ボルボはコンパクトクラス、SUVともに強みを持っており、逆に「弱い」クーペで勝負に挑むのはかなり意外。
加えて中国はクーペがあまり売れない国でもあるものの、もちろんなんらかの勝算があるものと思われます。