なお新型ハイパーカーの価格は7500万円~1億円
ケーニグセグCEO、クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏が「エントリーレベル」のハイパーカーについて追加情報を公開。
これは「元」サーブ親元であるNEVS(ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン)との提携によって生産設備と資金を手にし、大量のハイパーカーを生産するという計画の「第一号車」となりそうです。
ほかのモデルほどエクストリームではない
そして今回クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏が言うには「新型ハイパーカーは、ほかのケーニグセグほどエクストリームじゃない。サーキット志向ではなくロードカー寄りだ」。
現在スペックについて語ることは避けたものの、このエントリーレベルハイパーカーは「フリーバルブシステムを持つV8自然吸気エンジンを搭載し、ハイブリッドシステムと組み合わせられる」パワーユニットを持つとのこと。
ケーニグセグは変速機を持たない「ダイレクトドライブ」のほか「カムレスエンジン」といった独自の技術を保有していますが、この”フリーバルブ(FreeValve)”はカムレスエンジンに搭載される技術の一つで、通常のガソリンエンジンに装備される「カムシャフト(とカム)」がないことが特徴。
普通のエンジンには「カム」がある
そんなこと言われてもわかんねえよということになると思いますので、簡単にカムとカムシャフトについて触れてみましょう。
まず、カムとカムシャフトはエンジンのバルブを閉じたり開いたりするもので、「吸気バルブ」はガソリンとエンジンの混合気をシリンダー内に送り込むために、「排気バルブ」は燃焼ガスを排出するために開閉を行います。
そして、この開閉については、エンジンの出力軸からベルトやチェーンで取り出した「回転力」をもってカムシャフトを回転させ、カムシャフトに設けられた卵型の「カム」をバルブに押し付けることによりバルブをシリンダー内に押し込む(開く)ことで行います。
ですがケーニグセグの「カムレスエンジン」にはカムやカムシャフトがなく、ケーニグセグはこのカムの代わりに「油圧で」バルブを開閉させる(閉じるにはスプリングの力も借りる)わけですが、このメリットはエンジン出力軸からカムシャフト駆動用のパワーを取らなくてもいいのでロスが少ない、カムシャフトがないのでエンジンの天地を低く設計できる(重心が下る)、駆動用のプーリーやカムシャフトがないので重量が抑えられる、バルブのリフト量を自由に変更できる(パワー、燃焼効率がともに上がる)という利点も。※ホンダのVTECはこのバルブのリフト量を低回転と高回転で切り替えるものですが、フリーバルブだと物理的に切り替えなくてもソフトの制御だけでこれを行える
ただし問題もあって「制御が複雑になりすぎる」ことや「エラーが出たらちゃんと機能しない」といった問題も。
従来のカムシャフトやカムは「物理的に」エンジンの出力軸と連動しており、チェーンやベルトが切れない限りは問題なく動作しますが(言うなればアナログ)、フリーバルブの場合(言うなればデジタル)はバグが出たりするとアウト、ということになるワケですね(フライバイ技術のようなもの)。
ただ、ケーニグセグはそのあたり絶対の自信そして技術を持っているということになり、カムレスエンジンは「ケーニグセグだからこそ」実用化できた、とも言えそうです。
新型ハイパーカーは年間200台位の生産量
さらにケーニグセグは新型ハイパーカーについて、年間200台程度の生産量になるだろうということ、その価格が「割安な」7500万円~1億円に設定されるであろうこと(それでも現在のケーニグセグの車両に比較すると半分以下~1/3以下の価格)についても触れていて、さらには別会社を作り、そちらでは他社向けにハイブリッドシステムやカーボンホイールの開発を請け負ったりパーツを提供することも計画中だそう。