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まさに「新時代を切り開いたフェラーリ」、ローマに対してボクはこんな印象を持っている。数ヶ月内に売却せねばならないのが残念で仕方がない

まさに「新時代を切り開いたフェラーリ」、ローマに対してボクはこんな印象を持っている。数ヶ月内に売却せねばならないのが残念で仕方がない

| ローマはボクの想像をはるかに超える「優れたスポーツカー」である |

さらにローマは「スポーツカー」としてのみではなく「日常使い」のクルマとしても素晴らしい

さて、フェラーリ296GTBの納車が近づくとともにやってくるのが「ローマとのお別れ」。

つまりローマは296GTBの「下取り」へと出されてしまうわけですが、保管場所さえ確保できればずっと保有しておきたい、と考えるほど気に入っているクルマです(来年6月以降になれば環境の変化が訪れるため、またローマを買うかもしれない)。

納車されたのが昨年の9月、そしてお別れせねばならないのが3-5月あたりだと思われるので、非常に短い間の付き合いではあるものの、このローマについてはけっこう驚かされる事が多く、ここで現在ぼくがローマに対して抱いている印象を述べてみたいと思います。

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ボクはフェラーリ・ローマにこんな印象を抱いている

まず、ローマは「ドルチェ・ヴィータ(甘い生活)」というキーワードとともにデビューし、同名のフェデリコ・フェリーニの映画の劇中にて示された退廃的、そして甘美な生活を連想させるプロモーションを行っています。

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そしてこういったイメージはそれまでの(モータースポーツを中心としていた)フェラーリのブランディングとは大きくかけ離れたもので、この新しい戦略に沿ってフェラーリは(ピニンファリーナと決別した後の)自社のデザインハウス、チェントロ・スティーレによる「優美でクラシカルな」デザインを採用することに。

これは今までの「全モデルである程度共通するデザインを採用する」という方向性とは大きな差異が見られ、たとえばそれまでだと「スポーツ系であるミドシップモデル、ライフスタイル系であるカリフォルニアやFF、GTC4ルッソとの間にて、ある程度共通するヘッドライトのデザインを採用していた」のに比べ、新しい路線だと「スポーツ系とライフスタイル系のラインアップでは異なるデザインを採用」していて、つまりはモデルレンジ間におけるデザイン的差異が広がったわけですね。

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実際のところ、フェラーリはローマにつき「イブニングドレスをまとったF1マシン」だとも表現していますが、実際にローマを自分のものとして乗ってみると「まさにその通り」。

そしてフェラーリはこのローマにて「サルーンやミニバン」など、いわゆるファミリーユースに供されるクルマのオーナーをも獲得したいと述べており、果たしてローマを購入する顧客の70%は「はじめてフェラーリを購入する人々」であるというので、その戦略は大きく奏功したのだとも考えられます。

フェラーリ・ローマは「高級車」と言ってもいい

なお、フェラーリやランボルギーニ、ポルシェは世間一般だと「高級車」と評されることがあり、しかしぼくは常々この表現に疑問を抱いています。

というのも、ぼくの中での高級車というと、「高級なクルマを作ろうとし、そして一定以上の所得層をターゲットとし、それらの人々の資金力を考慮した”意図的な”価格設定を行い、その価格に見合うように作った」、つまりマーケティングが優先されたクルマ。

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一方、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニのスポーツカーに対する認識は「マーケティングメインではなく、自社の技術を示すため、そして自社が最高だと考えるパフォーマンスを実現すべく機能や性能を追求したところ”結果的に高くなってしまった”」クルマであり、つまり「価格ありき」「市場ありき」のクルマではないと考えているわけですね。

よって「高級車」というと「高級=高額」であることが絶対条件ではあるものの、スポーツカーの成立要件は「価格」ではなく、しかしそれでもポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニのスポーツカーは「高価」であることには違いがないため、ぼくはそれらについて「高額な車ではあるけれど高級車ではない」とも捉えています。

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ただ、ローマに関しては、フェラーリが別のラインアップとして「スポーツカー」を持つために「究極のパフォーマンス」を目指す必要はなく、かつ役割そのものが「フェラーリへと新しい顧客を連れてくること」であり、そしてその目的を果たすためには「高級車のオーナーに訴求できる」必要が出てきます。

そういった意味において、このローマは「かつてないほど」オシャレなデザイン的要素(それまでのフェラーリにはほとんど見られなかった、”装飾的”要素だと言っていい)を持つに至っており、さらには「乗車しイグニッションをONにすると自動で設定しておいた位置に電動でセットアップされるステアリングコラム」「シートバックの折りたたみ/展開時には電動でスライドするシート」「オートクローズ機構を持つリアトランク(開閉そのものが電動ではなく、最後の引き込みが電動)」「キーを身に着けておけば、キーの操作をしなくても自動でドアがアンロックされ、さらにキーを持ったままクルマから一定距離離れると勝手にロックされる」といった高級車におなじみの便利機能まで。※さらに言えば、操作系も静電式になったり、タッチパネルにて行うようになったりという先端機能も投入されている

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これらは今までにも一部のフェラーリには搭載されていたものの、ローマではさらに充実し、12チリンドリに至っては「リアハッチの開閉そのものが電動」となっているため、ローマは「今後のフェラーリの一つの方向性」を示唆する先駈けであり、フェラーリが「高級化」を目指すひとつの指標であったのだとも考えられます。

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実際のところ、このローマの後には「12チリンドリ」「プロサングエ」といったひとつのラインが出来上がり(V12フロントエンジンモデルはこれまでスポーツ系に属していたが、フェラーリはこれに対する考え方を少し変えたようだ)、このラインのおかげでスポーツ系を「よりスパルタンに」振ることができるようになったのかもしれません。

フェラーリ ローマはその走りにも手を抜いていない

そういった意味において、ぼくはローマについて「フェラーリが新しい時代を構築するための先駆的存在」「これまでのフェラーリにはない新種」だと捉えているわけですが、もちろんフェラーリを名乗るからには走りの面でも妥協はなく、多くのFRスポーツカーの中でもトップレベルにあるという印象。

もちろん旋回性能はミドシップカーには敵わないものの、FRならではのマイルドな挙動や安定性は特筆すべきレベルにあり、先代であるポルトフィーノ、そしてポルトフィーノMから大きな飛躍があったと捉えています。

ローマは基本的にポルトフィーノとポルトフィーノMの進化版で、基本的には同じエンジンと車体、足回りを使用しており、しかしそのドライブフィールは全く別モノ。

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ポルトフィーノから乗り換えた身だとローマの持つ安定感や接地感、コントロールのしやすさ、そして電制デフの自然な制御にひたすらおどろかされ、トレッドが広がりタイヤの直径や幅も大きくなってるんじゃないかと思えるほどですが、実際に数値を見るにそこはまったく変化がなく、しかしそういった錯覚を覚えるほど「ローマの制御は進化している」わけですね。

さらに言えば、フェラーリはポルトフィーノM、そしてローマではマフラー(タイコ)を廃止しているそうで、これによって重量を軽減できるのはもちろん、ディフューザー設計の自由度が増すというエアロダイナミクス上のメリットも。

これらを鑑みるに、「新しい市場に対応し、新しい顧客を獲得すべく進化する」という新しいフェラーリの一面を持ち、その一方で「より優れたエンジニアリング、より高いパフォーマンスを目指す」というフェラーリが創業当初から掲げる本質を引き継いだのがこのローマであるとも考えています。

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