| アウディTTに半年、14000キロ乗った感想 |
さて、アウディTTも早いもので納車から半年が経過。
このあたりで半年乗ってみた感想を述べてみたいと思います。
なお、この半年で乗った距離は14000キロ、平均燃費は12.39キロ。
燃費については以前に乗っていた先代アウディTT(8J)の23.56キロ/リッターに比べると良くはなく、これは(ぼくの乗っていた)先代8J TTはFF、現在の8S TTは4WDというところに原因がありそうです。※使用や走行環境は変わっていない
アウディTT(8S)の満足度は非常に高い
全般的な満足度からいえば、これまでに”日常の足”として乗ってきた車の中では非常に高いものがあり、思い浮かぶ範囲では「レンジローバー・イヴォークの次」くらい(イヴォークは非常に満足度が高かった)。
今のところまったく「乗り換えよう」という気は起きず、これは飽き性のぼくとしてはかなり珍しい、と考えています。
スタイルはTTにとって重要な部分
どういったところに満足感を感じるかというと、まずはスタイリング。
こればかりは好みが入るので客観的な判断基準とはなり得ず、しかしそのシャープなエッジとTTならではのシルエット、そして何より「イエロー」を選んで本当に良かった、と思います。
もともと今回イエローを選んだのは「暗いボディカラーの車に乗っているとなんとなく気分も沈むように感じたため」で、イエローであれば運転中の気分も明るくなるだろう、というもの。
実際にイエローのTTは見た目が華やかで目立つので、何度見ても非常に新鮮だと感じています。
多くの車はデザイン的にも「もうちょっとこうだったら(フロントウインドウが寝ていたら、とかドアがサッシュレスだったら、とかドアミラーがダサいとか)」という部分があるものの、TTはそれがほぼ無いといっていい車で、ぼくの経験上、これは非常に珍しいことだと考えています(スタイルに関してだけだと、イヴォークは”もうちょっとこうだったら”という点が多かった)。
乗り心地にはやや不満も
ただ、全く不満がないかと言うとそうではなく、運転してみるとちょっとした不満も。
まず、ノイズやバイブレーションがけっこう大きい、ということ。
アウディはTTを「スポーツカー」だと位置づけており、重量と静粛性・快適性とを天秤にかけた結果「軽量性」を重視したようで、ロードノイズ、アイドリングストップからの復帰時などの振動はけっこう気になる部分(同じアウディのA5と比較してもけっこう気になる)。
トランスミッションの特性上、変速ショックは仕方ないとして(これは先代の8J TTに比べると大きく改善しており、不満の出るレベルではない)、ヒルスタートアシストが作動して車をスタートさせる時の唐突さ(パーキングブレーキが外れるのが急すぎる)、完全停止する前のブレーキの急激な効き、そして低温時かつ低速時でのカックンブレーキはちょっと気になるところ。
ヒルスタートアシストは仕方がないとして、ブレーキフィールについてはそのうち対策を考えており、社外品のブレーキパッドに交換でもしてみるか、とは考えています(フィーリングが悪化しないよう、十分な調査が必要)。※同時にブレーキキャリパーの塗装も行いたいところ
なお、サスペンションは「硬すぎない」レベルですが、もうちょっと柔らかくても良いかと考えており(ぼくのTTはSラインなのでスポーツサスペンションが入っている)、その意味ではもっと柔らかいところから、もっと硬いところにまで幅広く調整ができる「マグネライド」をオプション装着したほうが良かったと思えるところ。
エンジン性能は「ほぼ」満足
エンジンは2リッターターボながらも230馬力を発生し、車体重量も1370キロと軽量なので、まずまず不満の無いレベル。
燃費重視の「エフィシェンシー」で走ってもそれは同じであり、けっこうパワフルな印象がありますね。
ただしこのモードだと追い越しのための加速時などターボラグが気になることがあって、シフトダウンするか、追い越しが想定されるときはドライブモードを「エフィシェンシ」よりも上に上げておくのが良さそうです(ステアリングホイールのファンクションキーにドライブモード変更を割り当てておくと良い)。
なお、ドライブモードをスポーツ走行対応の「ダイナミック」に変更するとスロットルレスポンスやエキゾーストサウンドが大きく変わり、かなり楽しく走れます。
ただ、シャシー性能が高いために「もっとパワーが」欲しくなる時があるのもまた事実ではありますね。
ハンドリング、ブレーキングは?
ハンドリングに関しては基本的に「ニュートラル」ですが、けっこう速度を上げてゆくと、そしてタイトなカーブになるとTT特有のクセが出ることも。
TTはFFベースの4WDで、その4WDシステムにはハルデックス5を採用しています。
ぼくの腕が未熟なせいもありますが、カーブ手前ではしっかり減速しないと「アンダーステア」が顔を出すことになり、FFベースの4WDなのでFF特有のタックインも使えず、そしてFRならではの「後輪の駆動力で曲げる」のも不可能。
つまりは「とにかく減速するしか無い」ということになりますが、これはアウディの横置きエンジン構造を持つ4WDならではの特性と言えるかもしれません(トルクスプリット4WDではあるものの、外輪の駆動力を絶対的に増すのではなく、内輪にブレーキをかけて相対的に外輪の駆動力を強めるもので、この辺りおなじトルクベクタリング型でもホンダのSH-AWDとは異なる制御を行う)。
そしてその性質が顕著に出るのは「S字カーブ」で、これは最初のカーブの進入速度を誤ると「もうどうしようもない」事態に。
これなニュルブルクリンクの特定コーナーで「RS3だけ」がコースアウトしてしまうという事例が示す通り、やはり構造上の問題なのかもしれません。
要は「しっかり減速しないと」いけないということになりますが、TTのブレーキは「あまり効かない(これもブレーキパッドを交換したい理由の一つ)」という問題点も。※法定速度内であれば問題はなく、しかしサーキットに持ち込むと問題となりそう
ただし「TTS」だと容量の大きなブレーキシステムを持っており、「真剣に走るなら」TTではなくTTSを選ぶ必要がありそうです。
総合的に考えてどうなのTT?
なんだかんだ言っても上述の通り満足度が高いのがアウディTT。
スポーツ走行での弱点は露呈しますが、スポーツ走行を行う機会はごく稀で通常走行の範囲では運動性能に不満を感じることはないと思われ、逆にスポーツ走行メインであればTTSもしくはTTRSを選択すれば問題はなさそう。
さらにTTSでは「マグネライド」も装備されており、車両本体価格は高くなるものの、そのぶんのリターンも大きい、と考えられそうですね。
かつ売却時の価格もTTよりはもちろん有利で、その意味ではも「TTではなくTTSを選んでおけば良かった」というのが半年間TTを乗った正直な印象です(ポテンシャルが高いからこそ上のグレードが欲しくなるのであって、ポテンシャルが低いから上のグレードを欲しているわけではない)。