ドメスティックブランドの品質は果たして高いのか
アパレルにおいて、いわゆる「ドメスティックブランド」というものがありますよね。
いわゆる日本のブランドで、コムデギャルソンとかヘッドポーターとかそういったものです。
これらドメスティックブランドなのですが、「日本製」をウリにしているブランドが多い割に、それらの品質はイマイチだなあ、と感じることがあります。
たとえばお店で試着して、その場ではそれがけっこう格好良く見えて購入したとして。
一回洗濯すると、まったくシルエットや雰囲気が変わってしまっている、ということがあるのですね。
日本人の潔癖さのためかコストのためかわかりませんが、ドメスティックブランドの衣類は洗いをかけていないものが多く(あくまでも洗えるものですが)、欧州の衣服は洗いをかけてから販売している場合が多いように思います(日本人は、洗いをかけた衣服=中古、とヒステリックにがなりたてる人が一部にいる。電化製品でも開封済み=中古だと文句を言う人も多い)。
なので、日本の衣類は工場から出てきてピシっとした状態で販売されることが多く、はじめて着たときはキマっていても、洗うと襟もとや裾がとたんにだらしなくなってしまう、ということがあるのですね。
さらに洗うと生地が詰まって柔らかさが失われたりということもあって、購入前と、購入して実際に着用し始めてからのイメージがずいぶん違うようにも思うわけです。
また、日本産の生地にこだわったというブランドも結構ありますが、そういったブランドの衣類でも結構シワになりやすかったりして、なんだかなあ、と思うこともあります。
日本製品は衣類でも車でも考え方がよく似ている
たしかに縫製や、糸がはみ出ていないという「製造」面の品質についてドメスティックブランドは「ピカイチ」ではあるものの、実際に自分のものとして長年着てみたり、着たときの雰囲気という点では欧州産の製品、とくにイタリアの製品には劣るのかもしれません。
イタリアのアパレル製品は、なんとなく生地がヨレていたり、同じサイズでも微妙に大きさが異なったり、ちょっと糸が出ているということがあるかもしれませんが(よって見た目には品質が高いと感じられないものもある)、着てみるとなぜか妙にしっくり来る、ということも多いのですね。
要は、日本の製品は「服を単体で見ると出来やデザインに優れるが、着てみるとそのデザインが再現されるとは限らない」のかもしれません。
これは「数字や品質に優れる」日本車が、「乗って楽しいとは限らない」のと似ているのかもしれませんね。
以前、あるコラムニスト(女性)が一緒に電車に乗った男性に、「(席が空いているのに)なんで座らないの?」と尋ねたところ、男性が「座るとスーツがシワになるから」と答え、その男性の返答にダンディズムを感じた、という記載を見たことがあります。
それを見たとき、「良い生地を使用したスーツはシワになりにくいし、シワがついてもすぐにシワが落ちるのに。たぶんこの人はドメスティックブランドのスーツしか着たことがないんだろうな」と思ったことがありますが、見た目や縫製といった部分の「品質」と、実際に着たときに格好良く見えるのかどうか、着て動いたり生活したときにその美しさを保てるのかどうか、はまったく別の問題だとも言えそうです。
日本の製品は「見た目や数値で表される品質」の高さが重視されていて、欧州の製品は「実際に使ったときの使い心地や見た目」が重視されている、と言いかえることが出来るのかもしれません。