Image:Bell & Ross
| もはや一端のブランドの機械式腕時計は「初任給やボーナスで」買える金額を大幅に超えている |
それでも売れ続けているのは恐ろしいところではあるが
さて、ベル&ロス(Bell & Ross)が「BR S」なる新シリーズを発売。
この「S」とは「スモール」「スリーク」「スマート」を示しており、その名の通りやや小ぶりで薄いケースサイズ(39ミリ)を持ち、しかし最大の特徴は「クオーツ」ムーブメントを採用していることだと思われます(今後BR Sに機械式ムーブメントが追加される可能性はあるが、現時点ではクオーツのみのラインアップである)。
ぼくはデジタル式腕時計やスマートウォッチ、ファッションウォッチが大好きなのでクオーツ式腕時計に抵抗はありませんが、現在多くの高級機械式腕時計メーカーがクォーツウォッチを発売しており、これが今後ひとつのトレンドになるんじゃないかとも考えているわけですね。
ベル&ロス BR Sシリーズはこんな腕時計
そこでこのBR Sシリーズを見てみると、これまでのBR 01やBR 03で人気のあったデザインをよりシンプルに、そしてより洗練されたイメージへと昇華させており、ベル&ロスのエッセンスを見事に体現している、といった印象です。
それに加えて「小さく薄い」エレガントなサイズにマッチするホワイト文字盤を用意するなど、このシリーズを積極的に購入するだけの理由があるように思います。※しかもモデルによって面取り含むフィニッシュ、針の仕上げ、文字盤の仕様などを細かく調整している
そのほかにもブライトリング、タグ・ホイヤーからも「クオーツ」式腕時計が多数登場
そしてベル&ロスのほかにもクォーツ式腕時計に力を入れるメーカーもあり、その代表価格はブライトリングとタグ・ホイヤー。
両者とも以前からクォーツを投入していたものの、ここへ来てそのラインアップを拡大していて、ブライトリングだと「エンデュランス プロ」シリーズ(462,000円)の選択肢を大きく広げています。
Our new Endurance Pro 38 and 44 are here. Worn by elite triathletes, they’re ready for your toughest workouts, too.
— Breitling (@Breitling) July 2, 2024
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そしてタグ・ホイヤーだと「フォーミュラ1(242,000円~)」や・・・。
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アクアレーサー(302,500円~)、リンク(280,500円~)もクォーツですね。
なお、こういった傾向は「機械式腕時計があまりに高くなったからじゃないか」とも考えており、というのもブライトリングやタグ・ホイヤーはかつて「新社会人が欲しい腕時計ブランド」の筆頭であったはずですが、現在ブライトリングだとナビタイマーオートマティックが715,000円~、スーパーオーシャンオートマティックが649,000円~、クラシックアヴィだと693,000円~、クロノマットB01では1,221,000円~、トップタイムでは1,039,500円~という価格設定を持ち、つまりひところよりは「かなり高く」なっていて、ナビタイマーであっても「(3針ではなく)クロノグラフ」を選ぼうとなると1,166,000円から。※トップタイムはほんの数年前は60万円台であった
A lightweight sensation: the new Super Chronomat B01 44. It’s crafted from titanium—a metal stronger and six times lighter than steel, making sure this supercharged watch won't weigh you down.
— Breitling (@Breitling) April 3, 2024
Now available: https://t.co/HO5B2MJhhk#breitling #chronomat #superchronomat… pic.twitter.com/CjJXzdGYSJ
タグ・ホイヤーだとオータヴィア(3針)が643,500円~、オータヴィア・クロノグラフが935,000円~、モナコでは1,072,500円~、カレラ・クロノグラフだと731,500円~という設定です。
つまり、機械式ムーブメントを積むラインアップは「(普通の)新社会人だと手が届きにくいレベル」に達しており、ブライトリングやタグ・ホイヤーのクロノグラフを購入しようとなると「100万円」は必要となり、となると新社会人でなくともおいそれと手が出ないんじゃないかとも考えています。
よってブライトリングやベル&ロス、タグ・ホイヤーは「高くなってしまった機械式腕時計の品揃えを補完するため」、数年前の機械式腕時計の価格帯に位置するクオーツ式腕時計を投入することにより、全体の販売本数を確保しようという戦略を採用しているのだと思われます。
Dive into the charming touches and diversified size options of the new TAG Heuer Aquaracer Professional 200 Solargraph collection on A Blog to Watch. Check out the detailed review at: https://t.co/ZzBCwOWi9f#TAGHeuer #TAGHeuerAquaracer pic.twitter.com/4Q6KSxeY8y
— TAG Heuer (@TAGHeuer) August 2, 2024
一方、クォーツ式腕時計を投入しない腕時計メーカーも
その反面、クォーツ式腕時計を投入しないメーカーもあり、IWCやパネライはその代表例。
現在は両者とも(おそらく)クォーツムーブメントのラインアップはないと認識しており、IWCだと最安はポートフィノ・オートマティックとパイロット・ウォッチ・クロノグラフ ”プティ・プランス”の742,500円で、インヂュニアは1,776,500円から、アクアタイマーは1,083,500円から、ポルトギーゼは1,072,500円からに設定され、こちらのラインアップもつまり「100万円が一つの基準」だと考えて良さそうです。
Engineered for performance.
— IWC Watches (@IWC) November 16, 2023
The Pilot's Watch Performance Chronograph 41 @MercedesAMG (Ref. IW388305) worn by @LewisHamilton
Discover more: https://t.co/Ah41xEWnUH #PerformanceChronograph I #AMGxIWC I #TheReference I #LewisHamilton pic.twitter.com/lMJ7T3qYnp
そしてパネライも同様で、ラジオミールだと693,000円から、ルミノール ドゥエでは968,000円から、サブマーシブルでは1,342,000円から、ルミノールでは792,000円からという価格設定を持ち、やはり「相当な」域に達しているわけですが、IWCそしてパネライもかつては「若手サラリーマン」がこぞって購入する腕時計ブランドであったものの、もはやかつての客層にとっては手が届きにくいレベルにまで価格が上がってしまし、しかし「安価なラインアップ」の投入を拒否しているということに。
そのためパネライ、そしてIWCの客層は年々変化していて年齢層が必然的に高くなっていると言われますが、こうやって見ると各腕時計ブランドごとに戦略が大きく異なり、その行方には興味が尽きないところですね。
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参照:Bell & Ross, Breitling, TAG Heuer