911GT2RSは速くなりすぎ、もはや危険な領域に
ワルター・ロール氏(ポルシェ・ジャパンでは”ヴァルター・レアル”と表記)がポルシェ911GT2 RSについて、「ニュルブルクリンクを走るには、速くなりすぎた」とメディアのインタビューに対して語った、と報じられています。
これは911GT2 RSがニュルブルクリンクにて「市販車最速」タイムを記録した事に関するインタビュー中でのコメントとされ、つまりは「速すぎて危険」だというもの。
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ここ数年のタイム向上スピードは速すぎる
ポルシェ911GT2RSはそれまでランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテの持っていた記録(6:52,01)を大幅に短縮したタイム(6:47,3)で「ニュルブルクリンク最速王座」についていますが、これは2013年にポルシェ918スパイダーが「前人未到の量産市販車7分切り」となった6:56.08から10秒近くも縮めた数字。
なおポルシェ918スパイダーに次ぐ「7分切り」はランボルギーニ・アヴェンタドールSV(6:59.73)ですが、このタイムを出すまでに「2年」の間が空いており、それでも918スパイダーの記録は破れないまま。
つまりは「とんでもなく破るのが難しい」7分の壁をアッサリと破ったのがウラカン・ペルフォルマンテと911GT2RSで、さらに911GT2はウラカン・ペルフォルマンテの記録をさらに5秒も縮めており、これは「異次元の速さ」とも言えるレベル。
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911GT2RSの速度はもはや耐久性にも影響か
ワルター・ロール氏は「ニュルブルクリンクを20年走ってきて、様々な事故を見てきた」としており、Schwedenkreuz(ニュルブルクリンク内のセクションの一つ)を時速295キロで走り、Fuchsrohreを時速275キロで走り抜けるポルシェ911GT2について、「その速度でミスが招く結果を考えると、たったひとつのミスも許されない」と語っています。
加えてパーツの耐久性についても述べ、ホイールなど車の構成部品が耐えることができる限界を超えている、とも。
さらにはダウンフォースの重要性についても語っており、(911GT2RSの416キロは)レースカーの発生するダウンフォースに比べて高くはなく、危険な要素のひとつだとも指摘。
数々のレースを制したワルター・ロール氏の言葉だけに重みがあるものですが、ニュルブルクリンクのタイムアタックで大事故となった例もあり、その他でも「最高速」など記録が重視される最近の傾向はちょっと危ない、とも言えそうですね。
なお、ポルシェGT部門のボスはこういった危険性の指摘にもかかわらず、さらなるタイム向上を目指すようで、「人類はいつも、より速く走ろうとしてきた。なぜチャレンジをやめる必要がある?挑戦しない理由は何一つない」と語っており、今後のタイムアタックがどうなるのかは気になるところ。
あまりに高い速度域で走ること、そこでのミスが死に直結することが先代ポルシェ911GT2RSをして”未亡人製造機”と言わしめた理由ではありますが、もちろんポルシェとしては最新の911GT2RSについて安全性に最大限の配慮を払っていると思われます(たしかに最近目撃された911GT2RSのプロトタイプはリアウイングが巨大化している)。