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「レクサスが2年以内に中国にて生産を行う」との報道。すでに現地パートナーとは調整中

2018/10/16

| レクサスもついに中国で生産か。頼むから日本には輸出しないで |

レクサスが中国生産を検討中、との報道。
意図としては「中国で販売するレクサスの価格を下げ、より多くのレクサスを売りたい」ということになります。

なお、中国では輸入車に対して高額な関税がかかり、よって輸入車扱いとなるレクサスは中国だと関税がかかってしまうわけですね。
ただし現地で生産しているメルセデス・ベンツやBMWに対して「高い」値付けを行うことは難しく(メルセデス・ベンツより高い価格になると、誰もレクサスを買わない)、よって現在レクサスは中国では相当に利益を削った価格設定を行っています。

レクサスの中国での価格はぴったりメルセデス・ベンツの競合と同じ

実際の中国の価格だと、メルセデス・ベンツCクラスが31万元、Eクラスが44万元から。
対してレクサスの中国価格では、ISが30万元、GSが44万元。
まさに「ぴったり合わせたんじゃないか」という価格設定ではありますが、本来輸入車となるレクサスはこれよりもずっと高い価格となってしかるべきで、本来であればこの1.5倍くらいでもおかしくはないほど。

1元は現在16円くらいなので、中国での販売価格を日本円に換算すると、ISが485万円、GSが711万円。
日本での販売価格はISが471万円~、GSが616万円なので、中国の販売価格はこれにかなり近いということになるものの、上述の関税、日本から中国への輸送費用などを考えると、この価格はトヨタが(メルセデス・ベンツと価格を合わせるために)かなりの額を負担している、と考えて良さそう。

そして今回の報道では「2年以内に」レクサスの現地生産を行うと報じられており、これが実現すると製造原価が下がるほか、関税や輸送費を回避できるので全体的な原価が下がります。

そうなると「安く売って台数を稼ぎ、トータルでの利益を増やす」ことや、「値下げをしなくても、1台あたりの利益が向上」することが期待でき、収益は大幅に改善することに。
もちろん工場建設には相当な費用が必要なので、その初期投資を考えると「すぐに費用が改善する」わけではありませんが、長期的に見ると利益にかなう、と考えて良さそうですね。

今回の報道はロイター経由ですが、ロイターによると「トヨタは、すでに提携先の広州汽車、そしてFAWとこの件について話し合った」とされており、実際にレクサスが中国で生産を行う可能性は高いのかもしれません。

なお、中国は関税を高く設定することで今回のレクサスのように「中国生産」を誘致し、そして中国生産を行う場合は必ず中国企業との合弁で会社を設立する必要があります。

そしてその場合、中国企業は外国の自動車メーカーから技術を移転させる事が可能となるので、短期間で高品質なクルマを作ることが可能に。

その後のシナリオとしては、中国の自動車メーカーは技術を吸い取って「用済み」となった外国の合弁相手を切り捨てて自社ブランドのクルマを中心に中国のみならず世界で販売し、そこで利益を最大化するということになりそうですが、関税にせよ合弁にせよ「いいように中国に操られている」のが現在の自動車業界の状況。

それでもそのマーケットの大きさは魅力的で、中国の言いなりになるしかないというのもまた事実で、レクサスもまた中国事情に翻弄される一つのメーカーだと言えそうです。

 

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