フェラーリはホイール軽量化のため、地球の裏側にまでその答えを求めに行った
フェラーリが、公式コンテンツTOFM(The Official Ferrari Magazine)にて、488ピスタに採用されるカーボンホイールを紹介。
これは純正ではなくオプションにて装着されるものですが、オーストラリアの「カーボン・レボリューション社」によって製造される、とのこと。
ちなみに、この「カーボン・レボリューション」社はフォードGT用のカーボンホイールも供給しており、ハイパフォーマンスカー向けのカーボンホイールメーカーとしては現在トップレベルにある、と言えそうですね。
フェラーリは「史上最速のV8モデル」のために新しい軽量化手法を模索
フェラーリ488ピスタは、ベースとなるフェラーリ488GTBよりも出力が高く、しかし90キロも軽量化されていることが特徴。
ただし単に出力向上や軽量化でパフォーマンスを向上させているだけではなく、ラジエターの向きを変更して冷却効率を向上させたり、回転系の重量を軽減してレスポンスを向上させるなど「根本的に」そのメカニズムを見直しています。
そしてフェラーリは、これまでの経験から「バネ下重量の軽量化が運動性能の向上には有効」と判断してカーボンホイールの採用を検討したとのことですが、そのためにイタリアからは「地球の反対側」に存在することになるオーストラリアにまで足を運び、ホイールの開発を行うことに。
開発パートナーは上述の「カーボン・レボリューション」。
この会社は軽量レーシングカーの開発を目的に、現地のディーキン大学によるプロジェクトから誕生した企業で、2004年に設立され、2007年にはカーボン製ホイールの製造を開始することに。
カーボンファイバーは軽量で知られ、当然ながらこれを採用することで自動車の運動性能は飛躍的に向上することになるため、各社ともカーボンホイールについては研究を進めているものの、その製造難易度は非常に高く、実用化しているのはわずか数社というのが現状です。
このカーボン・レボリューションのほかだとBAC MONO(サプライヤー不明)、ケーニグセグ(自社にて製造)、ポルシェ(これも自社にて製造)がすでに実際に車両へ装備していると報じられているところで、そしてBMW、アウディもカーボンホイール開発中と伝えられるものの、今のところ製品としての実用化にはたどり着いていないようですね。
なおカーボン・レボリューション社によると、ホイールは1トン~2トンもある車に取り付けられ、何百馬力ものパワーを受け止め、何十万キロという走行による披露にも耐え、路上の段差等からの衝撃も吸収し、1000度もの高熱を発するブレーキディスクに隣接することになり、これを金属ではなく「カーボンファイバーで製造するのはとてもむずかしい」。
そしてフェラーリによると、もともとカーボン・レボリューション社製ホイールは、フェラーリ488GTBに標準装着されるホイールよりも40%軽量であったにもかかわらず、さらに軽くするために「ワンピース構造のバレル」を持つホイールを完成させ、そこからさらに1キロも軽くした、と述べています。
つまり、たとえこのホイールの製造元が他社と同じだとしても、ワンピース構造を持つカーボンホイールはフェラーリのみに装着される、ということになりますね。
加えてフェラーリは「見栄えのために重量増加を避けるべきだ」との考えから塗装すらも行わないこととし、わずか数十グラムの重量増加すらも嫌った、と主張。
まさに「フェラーリ恐るべし」ですが、なぜフェラーリが「さらに軽くできる」センターロック式ホイールを導入しないのかは謎で、しかしこれだけのこだわりを見せるフェラーリのことなので、センターロックを採用しないのにも「確固たる理由」があるのかもしれません。
なお、ぼくはホイールには比較的こだわる方ですが、ぼくの大好きなホイール「TE37(レイズ製)」にも塗装ではなくアルマイトで仕上げられた仕様があり、これも「塗料の重量すら削りたかった」ため。※ただし、TE37はそこまでして重量を削っているが、センターキャップは意外と重い
VIA:Ferrari