| 映画には「走行用」「クラッシュ用」二台のミウラP400が使用されていた |
1969年に公開された映画「ミニミニ大作戦(原題:イタリアンジョブ/The Italian Job)」。
この冒頭にランボルギーニ・ミウラP400が登場したのはよく知られるところですが、そのミウラは長いこと(50年近く)行方不明になっていたというのもまた、コレクターたちにとっては有名な話です。
映画に登場したミウラのボディカラーは「アランチョ・ミウラ(ミウラ・オレンジ)」で、映画のオープニングにていきなり崖から落ちることに。
なお、この「崖から落ちた」ミウラはクラッシュシーンのために用意した、「すでにクラッシュ経験のある」別のミウラで(レプリカという説もあったが今回ランボルギーニによって否定された)、冒頭で走行していたミウラは無傷のまま。
クラシックカーハンターですら探せなかった「幻のミウラ」
そしてクラシックカー業界には「依頼のあったクルマを探す」”ハンター”が存在するそうですが、そのプロのハンターですら見つけられなかったのがこの「ミニミニ大作戦に登場したミウラ」。
そういった状況の中で出てくるのが様々なガセネタですが、何人かのオーナーが「映画に登場したミウラ」だと主張する中、ランボルギーニのクラシックカー担当部門、ポロストリコがその中の一台を鑑定した結果、ついに「本物」を発見したと発表。
このミウラはシャシーナンバー3586で、現在の所有者はカイザー・コレクション。※ここは以前から、このミウラは「ミニミニ大作戦に登場した個体そのもの」と主張していた
ランボルギーニによれば、このオレンジのミウラはパラマウント・ピクチャーズが用意し、劇中にて俳優のロッサノ・ブラッツィがドライブした個体そのものだとされ、50年にわたる「捜査」についに終止符が打たれることになったわけですね。
なお、ランボルギーニは2016年の「ミウラ50周年」の折に、自ら(別の)ミウラを劇中と同じ場所にて走行させる(もちろんクラッシュは無し)というイベントを開催しているところを見るに、ランボルギーニにとっても「ミニミニ大作戦」は重要な映画だと言えそうです。
しかし当のランボルギーニですら、このミウラの「身元」を調べるのは困難を極め、元従業員(当時ミウラをパラマウントに納車したり、スタントドライバーを務めた)に話を聞いたり、書類を探したりという地道な作業となったようですね。
オレンジのボディカラーが選ばれた経緯としては、パラマウントのスタッフが「クルマを使わせてくれ」とランボルギーニを訪れた際、まず目にしたのがクラッシュ済みのオレンジのミウラ。
そのミウラはクラッシュシーンに使用するのにピッタリだということになり、「クラッシュ前の走行シーン」を撮影するのに、そのクラッシュ済みミウラに合わせて、オレンジの(別の)走行可能なミウラを選んだ、とのこと。
そして今回の鑑定により、ついに50年にわたる「ミニミニ大作戦ミウラ探し」が終結したことになりますが、今回ランボルギーニから「認定」を受けたこのミウラの価値は「計り知れない」ものとなりそうです。
VIA:Lamborghini