| ル・マンでは実際にポルシェ919ハイブリッドを抑えただけに、この話には信憑性がある |
トヨタのLMP1(TS050が参戦するカテゴリ)プログラムのボス、ロブ・ルーペン氏によると、TS050ハイブリッドは、ポルシェ919ハイブリッドEVOがニュルブルクリンクにて更新したコースレコードをさらに”上書き可能”とのこと。
なお、ポルシェは「919ハイブリッド」をル・マンから撤退させた後、これを改造して919ハイブリッド”EVO”へと進化させています。
これは「もうレースに参戦しないので、レギュレーションに縛られない」モディファイを施したクルマ(レーシングカー)となり、つまりは「改造無制限」。
そしてポルシェはこの919ハイブリッドEVOにてニュルブルクリンクでのアタックを行い、5:19.55という異次元の記録を達成していますが、これまでの「レーシングカーにおけるニュルブルクリンク最速記録」を持っていたのもやはりポルシェで、それは1983年にニュルブルクリンク1000kmレース開催中(予選)にポルシェ956が記録した6:11.13。
トヨタTS050ハイブリッドはこういった歴史を持っている
つまり1983年の記録が長い間破られず、しかしポルシェは自らこの記録を過去のものとしたわけですが、今回トヨタが「さらにこの記録を更新可能」と主張した、ということになりますね。
ちなみにトヨタTS050は2014年よりWEC(世界耐久選手権)に投入され、2016年にはレース終了間際までポルシェを抑えるも、例の「ノーパワー」によって最終ラップのストレートにてポルシェに逆転負けを喫するという悲劇の過去を持っています。
翌2017年も健闘むなしくポルシェに勝てず、そして2018年にはポルシェがル・マンから離脱したこともあって、ル・マンではマツダ787B以来の日本車総合優勝、そしてトヨタにとってはル・マン参戦開始33年めでようやく優勝を手にすることとなっていますが、トヨタとしては「最大のライバルがいない状況で得た勝利」には釈然としない気持ちもあったのでしょうね。
その後2019年にも安定感を見せて二連覇を成し遂げるものの、LMP1クラスは今年かぎりで消滅し、2020年以降はこのTS050ハイブリッドをベースにしたハイパーカー「GRスーパースポーツ」にて、新設される”ハイパーカークラス”を戦うとされています。
なお、TS050ハイブリッドは2019/2020シーズン用最新バージョンがちょうど公開されたところで、これはカラーリングやフロントエンドが変更に(画像は2018シーズン用)。
ただ、今シーズンをもって参戦できるカテゴリが無くなるために今後は「行き場がなくなる」ことになり、ポルシェと同じように「もう規則に縛られない」とばかりに引退した車両に大幅アップデートを加えてニュルブルクリンクにアタックしようという希望を持っているのかもしれません。
しかしながらロブ・ルーペン氏いわく、「現時点では、トヨタ内でそういった具体的な計画もなく、予算もおりていない」としており、実際にニュルブルクリンクへ挑戦できるかどうかは不明。
それでも、トヨタは今後「GRスーパースポーツ」を販売してゆく計画を持っているため、このベースとなるTS050ハイブリッドにてニュルブルクリンクのラップタイムを更新するというのは「プロモーションとしては悪くない」とも考えています。