| 年々、犯罪の凶悪化が進んでいるらしい。高まる防弾防爆仕様車需要 |
日本ではまず需要がなさそうですが、欧米はじめ海外ではけっこうな要望があるという「防弾防爆車両」。
BMW、メルセデス・ベンツ、アウディ各社はそれぞれ用途に応じた防弾防爆車両を発売しており、アフターマーケットにて防弾防爆仕様へとコンバートする会社も多数存在しているようです。
とくに南米、ロシア、アフリカでは重火器を使用した凶悪犯罪が増加傾向にあって、メルセデス・ベンツは「ガード」、BMWは「プロテクション」、アウディは「セキュリティ」ブランドにてこういった車両を提供。
なお、これらのカタログには脅威別、つまりどういった銃弾や武器に対応したいのか、であればどういった仕様を選ぶべきかを仔細に示しており、それだけ事態は日々深刻になりつつある、ということなのでしょうね。
そして今回BMWが発表したのが、最高レベルの防弾性能を誇るBMW X5 プロテクションVR6(BMW X5 Pretection VR6)。
狙撃用ライフルの弾丸にも耐えられる
この防弾レベル「VR6」がどれくらいかというと、AK-47の発射する7.62×39mm弾の貫通も防ぐというもので、さらには4メートルの至近距離にて15キロのTNT爆弾が炸裂したとしても耐えうるレベル。
ただ、外観については「通常モデルと同じ」。
これは一般に、「VIPが乗っていると知られないように」という配慮のようですね。
この防弾防爆性能を実現するためにBMWは高張力鋼をドアやサイドフレーム、ルーフ、ファイヤーウォールに使用したといい、アンダーフロアやラゲッジコンパートメントと室内との境界にはアルミ製部材を使用しています。
なお、その境界はこんな感じで、後ろからの狙撃にも対応(ガラスは二重になっている)。
反面、ラゲッジスペースの犠牲は最小限に抑えられているようです。
なお、サイドウインドウの厚みはなんと30ミリで、斧やハンマーなどによる襲撃にも対応。
当然ながら相当に重く、よって一般的に防弾防爆車は専用のレギュレーターや油圧を使用しているようですね。
内装においても防弾防爆仕様車ならではの設備があり、襲撃者とコンタクトを取るためのスピーカー(窓を開けるわけにはゆかない)、パニックアラーム、フラッシュ等が標準装備。
このBMW X5 プロテクションVR6は、有事には素早く逃げることができるように,BMWではもっともスペックの高い4.4リッターV8ツインターボ(523馬力)エンジンを搭載し、0-100キロ加速は5.7秒(重量がかさんでいるぶん、標準のX5よりちょっと遅い)、そして最高速度は時速210km/h(やはり重量のためか、電気的に最高速が制限されている)。
そのほか、タイヤがパンクしては走れないので、タイヤには空気が抜けても走行できるようにサイドウォールを強化したスペックが与えられ、空いた穴を自動修復する機能も持っている、とのこと。
さらにはオプションにてグレネードにも対応するアンダーボディアーマー、C4爆弾にも耐えうるアーマールーフなども揃うようですね。
なお、BMWではこういったハイセキュリティ車両を販売するだけではなく、それを運転する人向けにトレーニングも行っています。
その内容はかなり充実しており、「テロリストはこういった手段を使ってくる」ということも教えてくれるようですね。
VIA: BMW
他にはこんな防弾防爆仕様車が存在する
こちらは世界一安全な「メルセデス・マイバッハS600プルマン”ガード”。
今回のBMW X5プロテクションの「VR6」を上回り、「VR9」までの安全性を備えます。
こちらはドイツ首相も愛用するアウディのセキュリティ車両。
ちょっと珍しい、走り系チューナーの手掛ける防弾車両。
走行性能を犠牲にしないように配慮されています。
ハイセキュリティで知られる「レズバニ・タンク」に実際に銃弾をブチ込んでみた動画。
防弾仕様アフターマーケットでは有名な「クラッセン」の手掛けロールスロイス・カリナン。
こちらはスポーツカー、アストンマーティンDB11の防弾車両。
防弾仕様車製作の過程を収めた動画。
長者番付で順位をあげた、ルイ・ヴィトン・モエ・シャンドン(LVMH)グループ会長、ベルナール・アルノー氏が乗っていたプジョー205GTI。
あえてコンパクトカーを防弾仕様に改造したという珍しいクルマです。
実際にヨルダン国王が乗っていた防弾メルセデス・ベンツ。