| BMWは諸事情によってタオルを投げざるを得なかった |
BMWは2023年までV12エンジンを作り続けるという報道が以前になされたものの、今回は「秋にはV12エンジンの製造を停止する」というウワサ。
なお、欧州や北米では「高級車=V12エンジン」という認識が強く、もはや外すことができない巨大高級車市場となった中国でもそれは同じです。
参考までに、中国では4リッターを超えると多額の税金を支払う必要があるものの、中国人は「そういったお金を払えるだけの余裕」があることを示すためにわざわざお金を要する行動を取ることも。
実際に、「一人っ子政策」が実施されていた際には「二人目を生むと」年収と同じくらいの罰金を取られたといいますが、それでも富裕層は「お金があることを示すため」にあえて二人目の子供を持ち、それを周囲にアピールするといった(一見すると奇怪な)傾向も強かったようです。
さらに中国では「押し出しの強いクルマ」が好まれるため、BMW 7シリーズのV12エンジン搭載モデル(760Li)はけっこうな人気があると言われていたものの、今回は時代に抗うことが難しかったのか、ついにBMWがタオルを投げたということになりそうですね。
最後に残ったV12にはもっとも高い価値が就く?
ただ、今回の「V12モデル終了」という話については、「欧州のみ」とも言われていて、しかし他の市場ではどうなるのか不透明(同時に販売終了となるのかもしれないし、そうでないのかもしれない)。
そして同ソースでは「V12モデルの後継はない」とも述べており、これが正しければ、BMW製V12エンジンはついにここでその生涯を閉じるということになりそう。
BMWは次期7シリーズの開発にかかっていると報じられているので、7シリーズ自体が消滅するということは無いと思われ、しかし新型7シリーズにはV12が積まれないということになり、となるとメルセデス・ベンツが「サルーンにV12を積む唯一の自動車メーカー」となるのかもしれません(ロールスロイスは別格として)。※W12エンジンだとベントレー(フライングスパー、ベンテイガ、コンチネンタルGT)が採用
なお、メルセデス・ベンツは今年秋にも新型Sクラスを登場させる見込みですが、AMG版、マイバッハともにV12エンジンを搭載すると見られており、もし新型7シリーズにV12が搭載されないのであれば、相対的にV12エンジン搭載Sクラスの価値がぐっと増すのかもしれません(加えて、最後のV12搭載Sクラスになるのも間違いない)。
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それはともかくとして、BMW 760Liはなかなかの性能を持っていて、6.6リッターV12エンジンは609馬力を発生し、0-100km/h加速を3.6秒で駆け抜けます(世界最速SUV、ランボルギーニ・ウルスといっしょ)。
トランスミッションは8速AT、駆動方式には4WD(xDrive)を採用し、最高時速はリミッターによって制限される250km/h、日本だとその価格は2582万円。
こういった「怒涛のパワーを見せる」サルーンがまた一台消えてゆくのは寂しい限りですが、地球の環境を考えると、これもまた「やむなし」なのでしょうね。
一方で大排気量エンジンを捨てないメーカーも
現在、大排気量/マルチシリンダーエンジンに対する考え方はメーカーまちまちで、V12エンジンを採用するスポーツカーメーカーだとランボルギーニ、フェラーリ、アストンマーティンが存在し、さらに大きな「W16」だとブガッティが健在。
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これらについては大排気量エンジンの価値を十分に認識していて、「ほかがやめるからこそ、生き残ったものには価値が生じる」ということを考えているように見えますが、いずれも”行けるとことまでは大排気量マルチシリンダーエンジンで行く”という意思表明を行っていますね。
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VIA:Bimmer Today