| ドライブシャフトという重要部品が破損する例は珍しい |
さて、日産、マツダ、そしてフォルクスワーゲンがリコール届け出。
ここでそれぞれ内容を見てみたいと思いますが、日産は「フーガ」「シーマ」「ディグニティ」というプレミアムセダンに対してリコールを実施しています。
内容としては「プロペラシャフトの強度が足りずに折れる」というもので、実際にこれが2件発生したものの、幸いなことに事故はゼロ。
日産には「日産タイマー」が仕込まれている
なお、よく冗談交じりで「保証期限が切れた途端に壊れる」というタイマーが工業製品には仕込まれており、そのタイマーが発動することによって消費者が製品の買い替えを余儀なくされると言われますが、日産においては文字通りの「日産タイマー」が仕込まれていると報じられており、具体的にはエンジンパーツで「テンショナー」や「タイミングチェーン」の耐久性を落としているほか、重要部品であるトランスミッション(CVT)も6万キロで寿命を迎える設定に。
ちなみにこの「6万キロ設定」について、保証が6万キロだからだったと言われますが、6万キロを超えると壊れることで該当日産車のユーザーは修理もしくは日産車への買い替えといった形で日産に利益を落とすことになりるわけですね(次のクルマは日産車以外をと考えていても、ディーラーから破格の条件を提示されると日産車を選んでしまう)。
これについては都市伝説ではなく実際に起きた話と手して(北米で)訴訟に発展しており、保証を10万キロに延長し、さらにリコールという対応が行われています。
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こういった傾向はカルロス・ゴーン以降
なお、日産タイマーが仕込まれたのはカルロス・ゴーン体制下になってからだとされ、同氏が着任して最初に手を付けたのがコストカット。
人(リストラ)はもちろん製品に対してもコストカットを断行し、その時期に多くのサプライヤーが(根切り交渉に)耐えきれずに日産との取引を停止しています(塗料メーカーもそのひとつで、そのため当時を境に日産のボディカラーが一部入れ変わっている)。
以前の日産車は品質に優れていた
その結果日産の業績は回復してカルロス・ゴーンは「救世主」として崇められることになるものの、ここで重要なのは、販売を伸ばして利益を得たのではなく、手を付けるべきではない部分のコストを削って利益を作り出したこと。
ここが「不健全」と言われた所以であり、しかし逆にそれまでの日産車は「それだけ削れる部分があった」ということですね(他メーカーに比較して、10~15%ほど多くのパーツを使用していたという)。
実際に今でもR32/R33/R34スカイラインGT-R、フェアレディZ、S13/S14/S15シルビアなどは高い人気を誇っているのは御存知の通りで、今も現役で走っているわけですが、当時(ゴーン以前)の車はそれだけ耐久性が高かったということを示す例でもあり、それが日産のファンを生み出した理由のひとつだとも考えられます。
今回のリコールは下記の通り
そこで今回のリコールについて、対象となるのは平成22年9月30日~令和元年8月26日の間(モデルによって異なる)に製造されたフーガ、シーマ、ディグニティで、合計すると12,828台が影響を受けます(おそらくは各モデル販売台数のうち、かなりの割合を占める)。
対策としてはプロペラシャフトを交換するという比較的大きな工事が必要で、不具合の内容と原因は下記の通り。
動力伝達装置において、プロペラシャフトの材料及び寸法が不適切なため、想定よりも疲労強度が不足しているものがある。そのため、プロペラシャフトに亀裂が発生する可能性があり、そのまま使用を続けると、最悪の場合、亀裂の進展によりプロペラシャフトが破損し、走行不能に至るおそれがある。
国土交通省
マツダはハイブリッドシステムの制御系でリコール
そしてマツダのリコールは「電気装置(パワーマネジメントコントロールコンピュータ)」。
これはハイブリッドシステムを制御するもので、問題が発生すれば走行できなくなる可能性がある、というもの。
実際に発見された不具合件数はゼロ、にもかかわらず不具合を発見した動機は「取引先からの情報による(つまりサプライヤーからの連絡)」。
近年の自動車はこれまでと異なり、電子制御部分がどんどん大きくなっていて、それらは「社外(サプライヤー)」へと開発を委託するケースが増えてくると思われますが、そうなるとますます「自動車メーカー側では予見できない」トラブルが増えてくることになるのかもしれません。
影響を受けるのは平成26年10月29日~平成31年2月9日に製造されたアクセラ5,000台で、不具合の内容は下記の通り。
ハイブリッドシステムにおいて、異常判定時の制御プログラムが不適切なため、極低速から急加速するような高負荷走行時等に昇圧回路の素子が損傷した場合、フェールセーフモードに移行できないことがある。そのため、警告灯が点灯し、ハイブリッドシステムが停止して、走行不能となるおそれがある。
国土交通省
フォルクスワーゲンは「リヤスポイラーが飛んでゆく」
最後はフォルクスワーゲンのリコールですが、これはティグアンのリヤスポイラーが飛んでゆく、というもの。
にわかには信じられないものの、意外や何かが「飛んでゆく」というリコールは少なくないようです。
影響を受けるのは平成28年11月15日~令和2年2月4日に輸入されたティグアン437台。
不具合の内容は下記のとおりです。
リヤスポイラーにおいて、接着作業時に使用する接着剤が不適切なため、当該リヤスポイラーとテールゲートの接着力が不足しているものがある。そのため、車両振動等により接着面が剥がれ、最悪の場合、リヤスポイラーが脱落し、他の交通の妨げとなるおそれがある。
国土交通省
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