| BMWはアイコニックなモデルを数多く持つだけにもったいない |
さて、一部で流行の「レトロデザイン」を採用した新型車。
直近だと新型フェアレディZは初代フェアレディZ(S30Z)風デザインを用いて話題となっています。
ちょっと前にまで視点を動かすと、やはり(映画「トランスフォーマー」で話題となった)カマロのネオレトロ路線、さらにマスタング、ダッジ・チャージャー/チャレンジャー、そしてポルシェ911では992世代での「先祖返り」も記憶に残るところです。
BMWにとって「レトロ路線は無い」
ただ、こういったレトロ路線については各自動車メーカーともに方向性が分かれていて、ドイツの自動車メーカーだと、メルセデス・ベンツが「パナメリカーナ・グリル」の復活など一部レトロなデザインを強調しているのに対し、フォルクスワーゲンやアウディ(の現行モデル)はほぼ過去を感じさせないデザインを持っているもが面白いところ。※アウディについては、アイコニックなデザイン/クルマが少ないためかもしれない
そしてBMWについて、キドニーグリルこそ継続しているものの、全体的には過去との決別を感じさせるデザインを用いており、長年採用してきたホフマイスターキンクのデザイン変更、そしてとうとうイカリングとは呼べなくなってしまったデイタイムランニングランプといった事例も。
これについて、BMWのデザイン部門を管理するエイドリアン・ファン・ホーイドンク氏は「我々は過去の車のリメイクはしない」と語っており、レトロなデザインを採用することはその将来の方向性を見失うことだ、とも。
なお、レトロ路線が流行り始めた頃にも(どこかは失念しましたが)カーデザイナーが「過去を研究し、未来に進むためにそのディティールを取り込むことはブランドにとって重要だが、過去にすがることは未来を閉ざしてしまうことに他ならない。過去と現在、未来とではまったくクルマを取り巻く環境が異なり、それを無視して過去を再現することは危険だ」とも語っており、これにはナルホドな、とも思わされます。
ただしBMWはいくつかオマージュ作品も
ちなみにBMWは「リバイバルはない」と語っている割にはいくつかの「オマージュ」シリーズを発表しており、328オマージュ、3.0CSLオマージュ、M1オマージュ、2002オマージュなど。
これらについてもエイドリアン・ファン・ホーイドンク氏は「発売はない」と明言しており、これらについては単にブランドのヘリテージを広く紹介するためのデザインスタディだと捉えたほうが良さそうですね。
ただ、BMWは「2002」「3.0CSL」「M1」といったアイコニックなクルマを持っており、しかしそれらが現代に復活することはないとBMWのデザイナー自身から明言されたのはちょっと悲しくもありますね(もちろん、部分的には今後のモデルにそのデザインや思想が反映されることになるのだとは思われる)。
BMWはデザインに対しては「保守」よりも「革新」を貫くという印象も強く、近年のキドニーグリル巨大化についても「前に進むためのチャレンジ」だと表現。
レトロデザインについては、たしかに往年のファンは喜ぶかもしれず、しかしそれが購買に結びつくのか、新しいファンの獲得に役立つのかどうかは不透明でもあり、こういったBMWの考え方については「一つのあり方(信念)」として支持したいと思います。
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一方、BMWのバイク部門は「レトロ」路線
なお、BMWは「クルマとバイク」両方を手掛ける数少ないメーカーの一つですが、クルマ(4輪)のほうでは「レトロはない」とする一方、バイク部門「モトラッド」では考え方がやや異なっており、つい最近も1936年に発売したバイク「R5」を意識した「R18」を発売したばかり。
もちろんBMWモトラッドとて「過去一辺倒」ではないものの、4輪部門と異なる戦略を採用しているのは興味深い一面でもありますね。
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参照: Top Gear