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トヨタが株主総会にて改めて「EV一辺倒にはならず、ガソリン車も残す」と明示。なぜトヨタはエレクトリック化に躊躇するのか?

投稿日:2021/06/18 更新日:

トヨタが株主総会にて改めて「EV一辺倒にはならず、ガソリン車も残す」と明示

| トヨタは「出遅れている」のではなく、そもそもEVレースに参加する気がないようだ |

メジャーメーカーの中で唯一「電動化一辺倒」ではないトヨタ、その勝算は?

トヨタが株主総会にて、改めて「EVは時期尚早」とコメントした模様。

トヨタ自動車はかねてより「EV化への対応が遅れている」と指摘されており、しかし豊田章男社長は自ら「業界はEV化を急ぎすぎ」と”何でもかんでも電動化”というトレンドに苦言を呈したことも。

ただ、この発言については、トヨタ自動車の代表取締役社長として発言したのではなく、「日本自動車工業会(JAMA)の会長として」発言しており、トヨタ自動車単体のことよりも、協会に属する多くの企業の中には”急速な電動化に対応できず、企業としての強みを失い、存続ができなくなる”という意図にて、協会所属企業を擁護する立場にて発言したと考えるのが妥当です(加えて、一部の国でガソリンエンジンが禁止されたとしても、ほか多くの国ではガソリンエンジンが存続し、それらの国向けに部品を作る必要があり、すべての会社が電動化への対応を迫られるべきではない)。

そうなると、この発言の真意というのも自ずと捉え方が変わるということになり、「より大きな」視野にて、個人の好みやトヨタ自動車単独ではなく、日本の自動車産業全体の存続を考えての言葉であったと考えるのが妥当なのかもしれません。

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現時点でもトヨタはエレクトリック化への遅れを挽回できていない

なお、トヨタはピュアエレクトリックカーとしては初の世界戦略車となる「bZ4x」を発表したところですが、フォルクスワーゲンはすでにID.3やID.4を、フォードはマスタング・マッハEを、そしてBMWやメルセデス・ベンツもピュアエレクトリックカーを市場に投入しており、これらに比較すると、トヨタは世界で1、2を争う自動車メーカーとしては「かなりスロー」な展開です。

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よってトヨタがこれらメジャーメーカーの行動に追いつくことは簡単ではないと考えていますが、上記の豊田章男社長の発言然り、そもそもトヨタは電動化にはさほど力を入れるつもりはないと考えて良さそう。

EV市場は不確実性が大きい

その理由はいくつかあると思われ、しかしもっとも大きなものは「EV市場はまだはじまったばかりで、市場の不確実性が大きい」ため。

トヨタの最高技術責任者である前田正彦氏は、自動車では世界二番目の市場となる米国ですら「EVの市場シェアが2%に満たない」ことを例に出しており、この小さな市場でのパイの奪い合いをすることは得策ではない、とも。

そして重要なのは「消費者が何を選ぶか」であり、それは今のところEVではない、と考えているようです。

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よってトヨタは「今後30年、ガソリン車、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車と、さまざまなパワートレインの選択肢を用意し、それぞれの時代にあわせ、それぞれの優位性を競い合いながら、最良のものを残してゆく」という方針を採用しており、ここが他メーカーのように「EV一辺倒」ではないということですね。

なお、他メーカーとトヨタとの方針の大きな違いには「ラインアップの差」があるとも考えていて、つまりメルセデス・ベンツ、アウディなどプレミアムカーメーカーのクルマは比較的高価格帯に属し、購入する人も「リッチ」な人が多いと思われます。

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そしてそういった人々は、環境のための出費を惜しまない傾向にあり、「プレミアムカーメーカーとEV」とのマッチングは高いかもしれません。

一方、トヨタの場合は「実用車」を多く揃えていて、そういった性格を持つクルマを購入する人は「高価なEV」よりも「安価なガソリン車」を選ぶ傾向が強いとも考えられ、これはトヨタとEVとのマッチングが「他メーカーほど」高くないとぼくが考える部分でもあります。

そして、平均所得の低い地域、つまり東欧や南米、アフリカ等では「環境よりも今日の生活」という意識が強く、こういった地域では当面EVよりもガソリン車の方が価格的優位性を保つと見られ、トヨタはこういった事情も考慮しているのかもしれませんね。

一定の時点でEVは価格が安くなると言われるが

なお、EVの価格は2024-2025年にはガソリン車と逆転して安くなるという報道もあり、もしこれが実現すれば「トヨタの目論見が外れる」ということにもなりかねませんが、現時点ではEVの価格が下がる気配はほぼ見られず、よってトヨタの予測のほうが「現実に即している」可能性が高そう。

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加えて、ポルシェやベントレー、ケーニグセグ等が開発を進めている、「ガソリンエンジンに使用できる代替燃料」についても実現の可能性があり、もしこれが実現すれば、「走行することで空気をきれいにすることができる」ため、EVよりも(ガソリンエンジン搭載車のほうが)環境に優しいということになり、EVはその存在意義をまったく失ってしまう可能性もゼロではないわけですね(そうなると、EV関連に投資した金額が無駄になる)。

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トヨタがこういった「代替燃料」までを考慮に入れているのかどうかはわかりませんが、他の自動車メーカーのように「ラインアップの全部をEVに」という方向ではなく、「ガソリン車も残しつつ、世の中の流れを見ながら最適な選択を行う」という方針は非常に興味深いもので、どこかで明暗が分かれることになるものと思われます。

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