| ポルシェは自社のDNAを守りつつ、しかし多様化への方向を探っているようだ |
ただし、さすがにマレーシアでの生産開始にはショックを覚えざるをえない
さて、ポルシェは、アジアでの存在感を高めるために、中国に常設の研究開発施設を設立する計画を発表。
この新しい研究開発センターは上海に設置され、ポルシェにとって最大の市場である中国市場の顧客のニーズをより深く理解することに重点を置くといい、昨年設立されたポルシェデジタルチャイナ、そして20年以上前から中国に進出しているポルシェエンジニアリングチャイナに加わることになる、とのこと。
実際のところ中国はポルシェにとって「ずば抜けて」大きな市場でもあり、よって中国市場の嗜好を組み上げ、中国の環境や法令に適応することは「マスト」なのだと思われます。
参考までに、これまでにも中国の「あまり品質が良くない」ガソリンに対応するエンジンの開発を試みたり、中国の(荒れたところが多い)路面に配慮して「911サファリ」を投入するなどの話も出ていますね。
なお、高級ブランドの中国における躍進はいまにはじまったことではありませんが、高級腕時計メーカーのパテックフィリップは、かつて「中国人とアラブ人には腕時計を売らない」と言っていたものの、中国での販売量が圧倒的に大きくなり、アッサリ翻意して中国(上海)へ、本社以外のはじめての拠点を設立することとなっているようです(あれだけ嫌っていた中国と中東に販売が依存するようになったのは皮肉としかいいようがない)。
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ポルシェの開発拠点は世界各地に
ただ、ポルシェの場合は世界各地に開発拠点を持っていて、ポルシェは、ドイツのヴァイザッハにあるエンジニアリング拠点に直結した研究開発施設を世界各地に展開していますが、これらの施設は、極寒地でのテストが行われるスウェーデン北部の施設から、南アフリカのヨハネスブルグ、カリフォルニアまで多岐にわたっています。
ポルシェの取締役会長であるオリバー・ブルーメ氏によれば「私たちは好奇心に駆られ、常に学び続け、車を微調整しています。特に、中国のお客様のニーズを反映し、予測する上で、中国に常設の拠点を持つことは明らかなメリットがあります。中国は、ポルシェを心から歓迎し、6年連続で最大の販売市場となるほど、私たちの車を大切にしてくれている国です」。
今回の中国の拠点に加え、ポルシェはマレーシアに小規模な現地組立拠点を設立し、現地市場専用モデルの生産を行うことも発表。
これは現地にて「輸入された」ポルシェにかかる税金が、車両購入価格の105%(つまりこれだけで2倍以上になる)に相当するため、関税回避という意味ではかなり重要なアクションです。
マレーシアの新しい施設では、2022年から特定のモデルの最終組み立てを担当するとのことですが、つまり「ドイツ以外にて、しかも東南アジアにて組み立てが行われるはじめてのポルシェ」が誕生するということになり、これはけっこう大きなニュースかもしれません。
ポルシェのアルブレヒト・ライモルト氏によると、「マレーシアの新しい組み立て拠点は、特定の市場ニーズに対応する、独立したプロジェクトであり、規模や容量はそれほど大きくありませんが、現地の特定の市場条件を学び、それに適応しようとする当社の意思を示すものです」と述べており、今後も一部の「関税が非常に高い」国や地域向けには同様の対応を取る可能性もありそうですね。
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ただ、中国も関税が非常に高い国であり、よってポルシェが中国生産を行うのかという問に対しては明確に「NO」と返答されていて、それは「中国人は好むのはドイツ製のクルマ」だから。
たしかにこれは納得の回答でもあり、実際に中国では「見栄」を張るためにあえて高価な製品を購入して財力を見せつける場合が多く、「中国製で安価になったポルシェ」は彼ら/彼女らにとって魅力的ではないのかもしれません。
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参照:Porsche