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アウディCEO「チップ不足はパーフェクトストームのようだ」。しかしそれを乗り切ることに自信を見せ「3年以内にEVをガソリン車よりも利益が出るようにする」

2021/10/10

アウディのステアリングホイール

| 現在の自動車会社の経営は今までにはない方面への配慮が要求されそうだ |

EVの製造コストが下がる一方、今後ガソリン車の製造コストはどんどん上がりそう

さて、現在自動車業界では深刻な「チップ不足」が続いており、すべての自動車メーカーがその影響を受けている状況です。

中にはテスラのようにその影響を最小限にとどめている場合もあり、メルセデス・ベンツのように「とうてい顧客の要望を満たすレベルに到達せず、もしかすると1年以上の納車待ちが生じるかも」というメーカーも。

日本の自動車メーカーにおいても、スバルのように公式コメントとして「チップ不足」を生産減速の理由に掲げるケースも増えており、実際に2021年9月の日本国内における登録台数は前年同期比で61%という低水準です。

アウディはチップ不足の影響を「深刻」と表現

そして今回アウディCEO、マーカス・デュースマン氏もチップ不足について言及しており、「我が社の経営に深刻な影響を与えている」とも。

アウディはフォルクスワーゲングループにおいて最大の利益を稼ぎ出すブランドですが(利益率が10.1%に達し、VWグループのリア期の1/4を占める)、その傘下にはランボルギーニ、ドゥカティ、ベントレーも含まれます(おそらくはイタルデザインも)。

同氏は現在の状況を「パーフェクトストーム」と表現していて、しかしその一方では自社のチップ調達能力にも自信を見せており、フォルクスワーゲン・グループ全体として適切な方法で状況に対処していることを強調しているほか、具体的にはチップメーカーとの関係を強化していることについても言及しています。

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ガソリン車と電気自動車の収益性は3年以内に反転

さらにマーカス・デュースマン氏は同社の電気自動車についても意見を述べ、「今後3年で、電気自動車とガソリン車との収益性は逆転するだろう」とも。

つまり現時点では「利益総額」は当然のこととして「利益率」という面においてもとうていガソリン車に及ばないということになりますが、実際のところフォルクスワーゲンは「現時点ではEVとしての利益が出ていない」と語っており、これは今後の大きな課題なのでしょうね。

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アウディのキー

そして今回、マーカス・デュースマンCEOは「3年後にはEVのほうがガソリン車よりも儲かるようになる」と言及しているわけですが、もちろんこれには「EVの製造コストが今後下がってゆく」ということを意図した発言なのだと思われます。

ただ、その裏には「今後ガソリン車の製造コストが極端に上昇するだろう」ということもあると考えてよく、これについては以前にルノーがコメントを出しており、簡単にいうと「ガソリン車に対する環境規制が厳しくなるため、それにマッチするように触媒を大きくしたり各種デバイスを詰め込むと、とんでもなくコストが高くなる」ため。

とくに触媒については大量の貴金属を使用しているためにそのコストが非常に高く、よって現在は「触媒泥棒」が横行するほど。

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アウディに話を戻すと、オールエレクトリック化に向けた取り組みを今回改めて示し、2033年には内燃機関が生産されなくなることを確信していると述べ、「電気自動車と内燃機関の車が同じくらいの収益を上げることができるのは、今か、あるいは2023年です。今のところ、両者の価格は非常に拮抗しています」。

フォルクスワーゲン・グループ全体だと、エレクトリック時代におけるVWグループ最大のライバルは「テスラになる」と確信しており、すでに打倒テスラ計画とも言える「アルテミス」プロジェクトを発足させていて、VWグループのCEOであるヘルベルト・ディースは、制御ソフトウェアによって業界の「ゲームチェンジャー」になるというイメージを抱いている模様。

そしてマーカス・デュースマン氏もまた、ソフトウェア開発に向けた社内の取り組みは極めて重要であると考えており、ソフトウェアプラットフォームを他の自動車会社と共有つまり「販売」してゆくことも検討しているようですね。

EV開発は非常にコストがかかり、よって一部自動車メーカーはなかなかこれに手を出せず、よって「他から技術を買う」ことになるかと思いますが、また別の一部の自動車メーカーにとっては、これが貴重な収入源となるのかもしれません。

参照:Reuters

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