| ブガッティ、リマックともに究極のパフォーマンスを標榜するブランドではあるが、構成される要素はそれぞれ異なる |
いずれも重要なのは「ほかのクルマとは異なる、完全オーダーメイドであること」
さて、昨年のハイパーカー業界における大きな話題が「ブガッティの経営体制が変わったこと」。
直近のブガッティ・オトモビルはフォルクスワーゲンが1998年に(ブガッティの商標権を得て)設立した会社であり、今までフォルクスワーゲンの管理下にあったわけですが、昨年11月にリマックとの共同出資にて「ブガッティ・リマック」社を設立し、その経営権が(リマックCEOの)メイト・リマック氏へ移っています。
ブガッティとリマックは両方とも「世界最高クラスの性能を誇るハイパーカー」ではあるものの、ブガッティは8リッターW16クワッドターボという、現代の自動車業界では最大とも言えるガソリンエンジンを積んでおり、一方のリマックは「完全なるピュアエレクトリックカー」。
この両極端とも言える、しかしそれぞれの方面において最高の技術を持つ両者のマリアージュが大きな注目を集めたわけですね。
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メイト・リマックは「好き嫌いがはっきりしている」
そして今回、メイト・リマック氏は「やりたくないこと」を明確にしており、ひとつは「リマック・ネヴェーラにブガッティのロゴを貼り付ける」こと。
いわゆるバッジエンジニアリングであり近年の自動車業界ではごく当たり前、そしてコスト削減のためには常識となった手法ではありますが、これを真っ向から否定しています。
これについては、リマックそのものが「自身の最高傑作」であり、いかにブガッティといえどもそれを他の名前で売りたくないのだと考えられますが、同時にブガッティに対する冒涜だと捉えているのかもしれません。
実際のところ、メイト・リマック氏は「リマック・ネヴェーラはすべてゼロから作られており、このクルマには他車に使用されるようなパーツはひとつもない。つまりは市場にあるほかのクルマとは一切比較対象にならない製品なのです」とコメント。
同時にブガッティについても「ブガッティにおいて最も重要なのは、そのすべてがいかにオーダーメイドであるか」だとも語っていて、つまりはリマック、ネヴェーラともに排他性という点において一致していると考えているようですね。
そうなると、やはり「ネヴェーラにブガッティのロゴを貼り付ける」ということがいかに双方の魅力を損なうことになるかということもわかり、よってこれからも両方のブランドのクルマは排他性を維持しながら「特別なクルマ」を作ってゆくことになりそうです。
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リマックの新社屋には壁を設けない
そしてもうひとつの「やりたくないこと」がリマックの新社屋をフェンスで囲むこと。
現在多くの自動車メーカーが機密保持の観点から社屋を高い壁にて囲んでいますが、メイト・リマック氏は「若い人たちがスーパーカーに親しむ機会を創出する」ためにフェンスを設けないといい、近隣の子どもたちがスーパーカーやハイパーカーに興味を持ち、そのファンとなるべく「オープン」にしたいと考えているようですね。
ブガッティはフォルクスワーゲンブランドにはなじまなくなった
さらにメイト・リマック氏が語ったのが「ブガッティは、フォルクスワーゲンブランドになじまなくなった」ということ。
ブガッティをフォルクスワーゲングループに引き入れたのはすでに亡くなったポルシェ一族のフェルディナント・ピエヒ氏ですが、同氏は大排気量、大パワーを何よりも好んでいたと見え、同時期にランボルギーニも買収しています。
そしてブガッティを復活させた後には「1001馬力」という途方も無い出力を持つヴェイロンを発売することになり、そしてこのヴェイロンは「1台売るごとに6億円の赤字が出ていた」といい、それでもブガッティブランドを存続させたのは、フォルクスワーゲングループが「究極のクルマを作ることができる」と誇示するためだったのだと思われ、その威光をほかブランドの上にも降り注がせるためだったのかもしれません。
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ただ、その後に大きく時代が変わって「ガソリンエンジン」「パワーやスピード」の時代が終焉を迎え、そこでブガッティブランドは単なるお荷物に成り下がった可能性が高く、実際に何度か「(VWが)ブガッティを売却」という報道も出ているわけですね。
こういった事実もあり、メイト・リマック氏は「フォルクスワーゲングループとブガッティとのマッチングが崩れ始めている」と捉えていると考えてよく、そしてここからはフォルクスワーゲンの呪縛からは解き放たれ、自身の考え方によってブガッティを運営してゆくことになりそうです。
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参照:Automotive News Europe