| 新型フェアレディZが登場した今、日産としてはGT-Rを無理に販売し続ける理由はないだろう |
R35 GT-Rはすでに性能的・価格的競争力も失っている
さて、オーストラリアでは「新しい衝突安全基準に対応できないから」という理由にてR35 GT-Rの販売が終了されていますが、今回欧州市場の「多くの国で」受注が終了した、とのこと。
なお、同じ欧州といえども国によって対応は異なるようで、ドイツやベルギーではまだ受注が可能であり、しかしオランダ、スペイン、イタリアではすでに受注ができず、現地の日産公式サイトからも姿を消しているといいます。
そしてこの販売終了の理由としては「環境規制のため」だと言われるものの、現地メディアによると「価格があまりに高価なので、日産ディーラーが販売に困っていた」という報道もなされていて、「あまりに高い価格設定」も販売終了の一因だったのかもしれません。
日産GT-Rの価格は大きく高騰
日産GT-R(R35)発売当時、ベースモデルの(日本市場での)価格は777万円に設定されており、しかし現在(といっても日本では受注が停止されていますが)のベースモデル価格は1082万円。
欧州だと、現在のベースモデルの価格は183000ユーロ(日本円だと約2380万円)、そしてGT-R NISMOだと303000ユーロ(同3933万円。日本だと新車価格2420万円)という高額設定となっており、この価格であれば、正直「ポルシェ911ターボやランボルギーニ・ウラカン、フェラーリ296GTBやマクラーレン・アルトゥーラを買うわ・・・」となるのかもしれません。
そう考えると欧州からの撤退については環境規制の他にも「セールス上の問題」があったのだと考えられ、環境規制はひとつのきっかけ(言い訳)に過ぎないのかも。
いずれにせよ、GT-Rは日本でも受注が停止されており、世界中の多くの市場で「もう購入ができない」ということになったのは紛れもない事実でもありますね(ただ、アメリカ市場では販売が継続されていて、ベースモデルだと113,540ドル、GT-R Nismoだと210,740ドルにて販売中。ただし2021年モデルなので在庫車なのかも)。
R35 GT-Rは今後どうなる?
そして気になるのがR35 GT-Rの「今後」。
オーストラリアでは衝突安全性、欧州では環境性能といった理由(おそらく価格に起因するセールス上の理由も)で販売が終了していますが、上述の通り日本でも受注停止中。
なお、R35 GT-Rは「今後もう手に入らない」という観測が根強く、よって日産は2021年9月に発売した特別仕様限定モデル「Tスペック」も初回100台、追加100台ともに「一瞬で」完売しています(2021年はGT-R全体的にて、前年比30%増くらいの販売台数だったらしい)。
このTスペックはGT-Rの最終限定モデルという意味合いが強かったものの、その後もベースモデルについては「(半導体不足の影響で)生産は停まっているが、受注は可能」な状態ではあり、しかし最近になって日本での受注もいよいよ停止されてしまい、この状況と世界的な「販売終了」を考慮すると、もうGT-Rそのものの存在が根本から危ぶまれているという気もしてきます。
もちろん衝突安全性、環境性能を高めることで再度オーストラリアや欧州での販売が可能となるかもしれませんが、全世界でも2000台くらいとされる小さな生産規模、そしてそれに比較して大きな改修コスト、さらに「上乗せ」されるであろう改良のための費用(さらに高くなるので売れなくなる)を考慮するに、日産が「もうR35 GT-Rの販売や改良は無理」と判断しても責めることはできなさそう。
実際のところ、日産の「スポーツカー」代表としては新型フェアレディZが務めることになるものと思われ、SUPER GT参戦用マシンもフェアレディZにスイッチしており、R35 GT-Rはこのままフェードアウトする形で幕を下ろすことになるのかもしれません。
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気になるR36 GT-Rは?
なお、R35 GT-Rが販売・生産終了になるとして、やはり気になるのはその後継モデル(R36)。
これについては様々な噂が出ており、ハイブリッド説、ピュアエレクトリック説様々ですが、今のところ実際は「未定」なのだと思われます。
ちなみに、日産が開催したエレクトリックモデルの将来に関するカンファレンスでは、次期GT-Rらしきモデルへの言及はなく、よって「直近でGT-Rがピュアエレクトリックカーとなる」可能性は低そうで、となると新型フェアレディZのように(形式をZ34のままとしたように)最小限のコストにて改良を行い、見た目はフルモデルチェンジ、しかし形式は同じままに「新型」GT-Rを投入してくるということもありそうですね(ただ、その可能性も高くはない。すでに現行プラットフォーム、パワートレインやドライブトレーンの性能、そして価格も競争力を失っており、マイナーチェンジ程度では輝きを取り戻せそうにない)。
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参照:Autoblog.nl