| 意外なことだが、中国とアメリカの自動車市場はその嗜好に共通性がある |
中国でいつトラックブームが起きても不思議はないと思う
さて、中国の自動車メーカーは現在「数百」あるといい、当然ながら淘汰の時代に入っていますが、そんな中で「個性を出さねば」生き残れないのが現在の群雄割拠な状態です。
あるメーカーは欧州カーブランドの著名デザイナーを引き抜いたり有名デザイン事務所にデザインを依頼したり「デザイン」に特化し、またある自動車メーカーは自身のバックボーンを生かしてEVに特化し、さらにほかの自動車メーカーは既存欧米自動車ブランドを買収しそのリブートに注力したり、といったところ。
そして今回紹介する長城汽車は「SUVに特化」するという方針を持っている自動車メーカーですが、かつてはハマーやジープの買収を行おうとしたり、日本でも高額の求人を行ったことでも知られています(そして傘下にあるほかブランドではコピー車を作っていることもよく知られる)。
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そこで長城汽車は「トラック」にも注力
そしてこの長城汽車はこれまでにも数多くのトラックやSUVを発表していますが、今回登場したのは「シャンハイ(山海)キャノン」という、環境を選ばずに走破できそうな名を持つピックアップトラック。
山海キャノンには、3種類のパワートレインが用意され、2.0リッターターボチャージャー付きガソリンハイブリッド、2.4リッターターボディーゼル4気筒、そして3.0リッターターボチャージャー付きガソリンV6の3種類があり、2.0リッターハイブリッドと2.4リッターターボディーゼルの馬力とトルクはまだわかっていないものの、3.0リッターV6だと9速オートマチックトランスミッションとの組み合わせで、348馬力と500 Nmのトルクを発生することが分かっています。
シャンハイ・キャノンのボディサイズは全長5,440ミリ、全幅1,991ミリ、全高1,924ミリというかなり大きなもので、ホイールベースは3,350ミリ(二台全長1,500ミリ、全幅1,520ミリ、奥行き500ミリ)。
ルックスとしては同社のSUV「タンク500」に近く、巨大なグリル、そして力強いフェンダーが特徴です。
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ちなみにテールゲートは「下に向かって開く」ピックアップトラックの定番ではなく「両開き」。
なお、最新のクルマだけあってインテリアは豪華仕様、そして装備も充実しており、大型タッチスクリーン、デジタルメーター、木目調アクセント、ブルーとホワイトのツートンカラーのレザー仕上げ、さらには電動調節が可能な2列目シートといった爽美も。
中国でトラックは売れるのか?
なお、ここで気になるのが「中国でトラックの人気が出るのか」。
中国で現在人気があるのは「セダン」SUV」そして「ミニバン」。
とくにシェアが高まりつつあるのがミニバンですが、逆に人気がないのが「コンパクトハッチ」「スポーツカー」。
さらに(一般向けとして)人気がないのは商用車のたぐいであり、ハイエースのような箱バン、トラックなどは「労働者の乗るもの」として一般の人やお金持ちには敬遠される傾向があるもよう。
そういった中でトラックの人気が出るのかどうかということに疑問がないわけではないですが、中国のモーターショーを見る限りではけっこうトラックが(一般向けに)出展されており、中にはけっこうカスタムされたものも。
つまりは「もしかすると中国でもトラックの人気が出るかもしれない」下地も感じられ、その下地ができつつあるのはやはりSUV人気、そしてテスラ・サイバートラックの影響かもしれません。※中国のクルマの嗜好はアメリカとよく似ているので、その意味でもトラックの人気が出る可能性がある
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これからどうなるかはわからないものの、もし中国でトラック人気がブレイクするようなことがあれば、現在の「中国向けにミニバンを作る」という欧米自動車メーカーのトレンドが「中国向けにトラックを」といったように大きく変わってゆく可能性があり、中国の動向しだいでは今後の自動車メーカー各社の動きにも変化が出てきそうですね。
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