| コスト等色々な問題はあるようだが、様々な使いみちが考えられ、人々の暮らしを一変させる可能性も |
こうやって世界では様々な技術革新がなされてゆく
さて、ちょっと前には「黒すぎる」塗料であるバンタブラックや無双ブラックが話題となっていますが、今回は「白すぎる」塗料が誕生しています。
この塗料の特徴としては、白という特性を利用して熱を反射することにあり、97.9%という高い反射率を活用して「クルマが熱くなるのを防いでエアコンの負荷を低減することができる」ほか、「熱を宇宙空間に向けて反射するので、地球上の熱を放出する効果がある」のだそう。
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意外とちゃんとした塗料だった
そういった効果を聞くと「電波系」のように聞こえるのですが、実際にはちゃんとした効能を持つ塗料であるようで、これを開発したのはパデュー大学。
同大学の研究チームは2021年にこの塗料を開発していますが、その初期の段階では400ミクロン程度の厚さにペイントする必要があったといい、これは一般的な自動車の塗膜が持つ「100〜180ミクロン」に比較してかなり厚く、重量もかさむために実用化が難しかったのだそう(とくにコンパクトカーに塗るとかなりな重量増となるようだ)。
ただ、この塗料を発表した後には各業界からの問い合わせが殺到し、その内容はただ2点、「どこで手に入るのか」「もっと薄くできないのか」。
この塗料はまだ市販されていないので、研究チームは2つ目の課題「もっと薄く」に取り組むことになりますが、結果として150ミクロンの塗膜にて、初期の塗料よりも更に高い反射率を持つ塗料が完成した、と今回自信を持って発表しています。
より薄く、より軽く
なお、開発初期の塗料は(400ミクロンの厚さで)98.1%の反射率を持ち、これを塗ったクルマの室内温度を平均で4.5度低下させることが可能であったそうですが、最新のバージョンでは上述のとおり150ミクロンの厚さで塗装するだけでよく、しかしその反射率は99.79%へと向上し、重量は80%軽量となっています。
もちろんこの厚さだと自動車はもちろん航空機や電車、そのほかの様々な工業製品にペイントすることが可能であり、放射冷却によって物体をクールダウンさせることができるそうですが、原理としては「ホウ素の六花右傾の形状が光を拡散させる」とだけ簡単に紹介されています。
これによって自動車だとエアコンを稼働させるためのエネルギーが最小限で済むことになり、そしてエアコンの稼働によって温室効果ガスを排出せず、地球にとって非常に優しいということになりますが、クルマの車内が暑くなるのはボディパネル経由だけではなく窓ガラス経由の熱もあるものと思われ、予期したほどの効果を得ることは難しいんじゃないかと思ったり。
ただ、それでも熱を宇宙空間へと反射して地球の温度を下げたり、航空機や列車など窓の少ない乗り物では有用な可能性が高かったりということも考えられるので(クルマ以外にも、まちなかで使用し、電灯の光をうまく反射させることができれば電力使用量を減らすことができそうだ)、実用化には期待のかかる技術であることは間違いないと思います。
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