| NASCARが公式に「合法」とコメント、めでたくチームは次のラウンドへ |
理論上はだれもが可能だとは考えていたが、かつてだれも挑戦しなかった架空のスキルがいま現実に
さて、10月31日に開催されたNASCARのXfinity 500で登場した「壁走り」。
これはゲームの世界だけで可能だとされていた走法ですが、なんとロス・チャスティン選手がイチかバチかでこの走法に意図的にトライし、なんと1つのコーナーで5台をごぼう抜きにしたというものです。
このニュースはまたたく間に世界を駆け巡り、モータースポーツに関心のない人々の注目をも集めることになったわけですが、「たった一人で、そして一瞬でNASCARに新しい関心と興味を生み出した」と高く評価され、かつNASCAR側もこれを「ルールの範囲内」だと認めることに。
その「壁走り」はこうやって誕生した
そして今回の壁走りについて触れておくと、これが起きたのは上述のとおりNASCARのXfinity 500にて。
この1号車のドライバー、ロス・チャスティン選手は10番手を走行しており、しかし次のプレーオフラウンドに進むには5位に入る必要があります。
ただ、レースは最終ラップに入っており残すコーナーはあと一つ。
しかし常識ではどう考えてもひとつのコーナーで5台を抜くのは不可能です。
そこでロス・チャスティン選手が試みたのが一瞬にして伝説となった「壁走り」。
「子供の頃、ゲームキューブでNASCAR 2005をプレイしたとき、はじめてこの技でオーバーテイクを試みたんだ。現実のレースで通用するかどうかはわからなかったけど、ぼくはギアを5速(トップギア)に入れ、ステアリングホイールから手を話し、床が抜けるほどアクセルを踏み込んだ」
果たしてロス・チャスティン選手はタイヤのグリップの限界を越え、ほかのクルマとは次元の異なるスピードにてコーナーを一瞬にして駆け抜けることに成功します。
そしてまさかの「5位でゴール」
そしてなんと5台を抜いてゴール!
そしてクルーは大喜び。
この映像はツイッターはじめ多くのSNSで幅広く拡散されたので、スポンサーも大いに喜んでいるかもしれませんね。
NASCARはこの壁走りを禁止しない
この壁走りについて、NASCARの副社長であるスティーブ・オドネル氏は、「彼がやったことはルールの範囲内であり、それを実行することができたのだ」とコメントしており、続けて「初めて見るものは何でもそうだが、見てみなければならない。その動きについて社内で何度も議論し、もしものことも考えたが、これはルールの範囲内という認識だ」。
つまり公式にこの壁走りが認められ、ロス・チャスティン選手は次のラウンドに進むことができたわけですが、おそらくは他の選手もこの技を使うことになることは想像に難くなく、それを見ようと多くの人がNASCARのレースを見に訪れ、またオンラインで視聴する可能性も。
そうなるとNASCARにとっても「棚からボタモチ」のようなもので、思わぬ増収に繋がりそうです。
ただ、度が過ぎると大事故に繋がることになり、どこかのタイミングでこの壁走りが禁止になるのは間違いなく、ロス・チャスティン選手は開けてはならぬ「パンドラの箱」を開いてしまったのかもしれませんね。
UNBELIEVABLE!@RossChastain floors it along the wall to go from 10th to 5th and advance to the CHAMPIONSHIP! #NASCARPlayoffs pic.twitter.com/9qX3eq7T6h
— NASCAR on NBC (@NASCARonNBC) October 30, 2022