| システム合計出力は1,015馬力、V12エンジンはアヴェンタドールと180度向きを変えて搭載 |
横置きトランスミッションを採用するランボルギーニV12モデルはミウラとエッセンツァSCV12のみ
さて、ランボルギーニがアヴェンタドール後継V12モデルに搭載されるパワートレイン概要を公開。
これは新開発の6.5リッターV12エンジンと3つのエレクトリックモーターとを核としたもので、システム合計出力は1,015馬力にも達します。
そしてV12エンジンに取り付けられるトランスミッションは新開発の8速デュアルクラッチ、さらに今までの「エンジンの前」ではな「エンジンの後ろ」へと移動していることがトピックです。
ランボルギーニの新型V12スーパーカーは「HPEV」
この新型V12エンジン搭載モデルはコードネーム「LB744」にて開発されており、ランボルギーニはこれをHPEV(ハイパフォーマンスEV=高性能電気自動車)と呼称しています。
ランボルギーニによると、この新型スーパーカーは新しいパワートレインにまったく新しいアーキテクチャ、真新しいV12、新開発の画期的なダブルクラッチギアボックスを持ち、「パフォーマンスとドライビングプレジャーの面で新しいベンチマークを確立することになるだろう」。
さらにはランボルギーニのV12モデルとしては前例のないレイアウトを持ち、自然吸気6.5リッターV12エンジンはミッドマウント、そしてこのエンジンにはエレクトリックモーターと8速デュアルクラッチが組み合わされますが、トランスミッションはなんと「横置き」、そして上述のとおり(ランボルギーニの縦置きV12市販モデルとしてははじめて)エンジン後方へと配置されています。
そしてカウンタックからアヴェンタドールに至るまで”トランスミッションが占めていた空間”、つまりトランスミッショントンネルにはリチウムイオンバッテリーが埋め込まれ、残る2つのモーターはフロントアクスルへと取り付けられて前輪を駆動することに。
これらモーターは主にガソリンエンジンの回転数が低い状況においてアシストを強め、エレクトリックモーターのみでの走行が可能だといい、アヴェンタドールの最終モデルであるLP780-4ウルティメに比較して30%ものCO2削減が可能となっています。
このレイアウトを見るに、ガソリンエンジンが前方へと移動したことで重量配分が改善し、バッテリーをフロアではなく車体の中心線上に配置したことでロールセンターの適正化が可能になっているものと思われ、運動性能が飛躍的に向上しているであろうことも推測可能。
加えて、リアからフロントへと動力を送るトルクチューブも廃止されているので構造がシンプルになり、軽量化ほか様々なメリットが生み出されているものと思われます(今回、車体重量については公開されていない)。
ちなみにですが、この構造はポルシェ918スパイダー、そしてそのハイブリッドシステムを活用したランボルギーニLPI910-4アステリオン(下の画像)に非常に近いもので、しかしそこからは(年月の経過とともに)格段の進歩を遂げているものと思われます。
新型V12エンジンは17kgの軽量化に成功
ランボルギーニにとってV12エンジンはブランドのDNAそのものであり、今回そのV12エンジン(L545)は新しく設計し直され、重量はわずか218kgにとどまり、これはアヴェンタドールに使用された(同じ6.5リッターの排気量を持つ)エンジンと比較して17kg軽量に収まっています。
ただしそのエンジンレイアウトはアヴェンタドールと「前後180度」して搭載されることになり、最高出力は9,500回転にて825馬力を発生し(ランボルギーニのV12エンジン史上最強)、最大トルクは725Nm/6750rpm。
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この出力アップは圧縮比の向上(11.8:1から12.6:1)、エキゾーストの流体力学改善等によってもたらされているそうですが、そのサウンドも比類なく、L545では低回転域からメロディアスに、そして自然なハーモニーを奏でるクレッシェンドまで、エンジンの音色を強調するために特別な配慮がなされている、とのこと。
ランボルギーニ新型V12モデルの駆動方式は4WDを継続
この新型V12スーパーカーの駆動方式はアヴェンタドール同様に4WDを継続し、しかしフロントホイールを駆動するのは350Nmのトルクを発生するエレクトリックモーター。
これら2つのエレクトリックモーターは油冷式のアキシャルフラックス構造を持ち、1つあたりの出力は150馬力(110kW)、重量はそれぞれ18.5kgという非常に高い重量対出力比を実現していますが、トルクベクタリング機能も備えることでドライビングダイナミクスを最適化し、もちろんブレーキング時に発生するエネルギーを回収することが可能です。
なお、LB744のエレクトリックモードでは、エネルギー消費を最適化するために前輪駆動のみとなるそうなので、コルベットE-Ray同様、エレクトリックモーターのみで走行するときは「FWD」となるわけですね。※ただし必要があればリアのエレクトリックモーターも駆動力を発生するようだ
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エレクトリックモーターにパワーを送るのはリチウムイオン高比重(4500W/kg)バッテリーで、これは中央トンネル内に配置され、重心を可能な限り低く保ち、最適な重量配分を確保していますが、バッテリーは下部構造層で保護されたうえで統合充電ユニットに接続されている、とのこと。
バッテリーは長さ1550mm、高さ301mm、幅240mm、全体容量3.8kWhだとアナウンスされており、充電量がゼロになった場合は、家庭用の一般的な交流電流と最大7kWの急速充電器両方から充電することが可能で、急速充電器を使用した場合はわずか30分で充電が完了します(前輪からの回生ブレーキやV12エンジンから直接充電しても、わずか6分で充電が完了する、とのこと)。
リアに搭載されるモーターはトランスミッションに統合されることになりますが、このトランスミッション(デュアルクラッチ)はランボルギーニによって開発・設計されたもので、今回のプレスリリースでは、ウラカン後継モデルに搭載されることも明らかになっています。
新しい8速トランスミッションは縦置きV12エンジンの後ろに”横向き”に配置され、(多くのスーパースポーツではトランスミッションを縦置きとしているので)ハイパフォーマンスカーの世界ではユニークな技術的ソリューションだと言ってよく、このレイアウトによって短いホイールベースを維持し、最高のドライビングダイナミクスを実現するための効果的な重量配分をサポートすることが可能となったわけですね。
参考までに、ランボルギーニの60年の歴史の中で、リア横型のギアボックスを搭載したV12車は、1966年に発売されたミウラ、縦置きエンジンと負荷分散型の横型ギアボックスを搭載したサーキット専用ハイパーカー、エッセンツァSCV12のみとなっています。
なお、(これまでの7速から1段多い)「8速」を採用したことについては高速巡航時の燃費向上を狙ったためだそうですが、1速増えた以上に大きなトピックが「ブレーキング時に左のパドルを握るだけで複数のギアが下がるコンティニュアスダウンシフト」。
これまでの多くのデュアルクラッチ、ロボットクラッチではこういった「段飛び」シフトダウンが行えず、しかしBWMは「ZF製の8速(トルコン)ATではこれができるので、デュアルクラッチよりも有利」だと語ったこともあるほどです。
さらにこの新しいデュアルクラッチはウラカンシリーズに採用される7速ダブルクラッチユニットに比べ軽量で変速スピードが速く、横置きレイアウトの採用によって、広々としたキャビンを実現し、ドライバーとパッセンジャーの後方に広いスペースを設けて快適性を向上させることも可能になった、とのこと。
ダブルクラッチギアボックスのサイズは全長560mm、全幅750mm、全高580mmと非常にコンパクトで、しかもこの中には、ハイブリッド・アーキテクチャーの根幹をなす最大出力110kW(150馬力)、最大トルク150Nmのエレクトリックモーターが含まれています。
このエレクトリックモーターは、スターターモーターとジェネレーターを兼ねるほか、フルエレクトリックモードでは”状況に応じ”駆動力を発生させることに。
ちなみにリバース(バック)はフロントのエレクトリックモーターのみで行うというユニークなロジックを持ち、ただしこちらも状況に応じてリアのエレクトリックモーターによるアシストを得ることができるのだそう。
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参照:Lamborghini