| ランボルギーニからの情報を見るに、どうやらとんでもないスーパーカーとなりそうだ |
見たところ、ステアリングホイール上のスイッチは「タッチ」ではなく「物理式」
さて、ランボルギーニは3月末の新型V12スーパーカーの発表に向け積極的にティーザー画像や動画を公開していますが、今回はそのドライビングダイナミクスに関する解説動画を公開しています(メーターの動作についても確認できる)。
この新型スーパーカーはLB744のコードネームにて開発が進められていますが、ランボルギーニによると「あらゆる状況、あらゆるグリップコンディションで絶対的な興奮とコントロールを提供し、ドライバーにこれまでに経験したことのないレベルの自信とクルマとのつながりを与えるために設計、開発されている」。
その核となるのは新しい走行モード
ランボルギーニLB744をこのカテゴリーの頂点に位置づける革新的な技術として挙げられているのが「車体構造とバランス、シャシーと空力設計への最先端のアプローチ、そしてエレクトリックモーターのサポートを最大限に活用し、ゼロエミッション4WDを含む新しい走行モード」。※この走行モードは全部で13パターンの組み合わせが実現可能だと紹介されている
このLB744は6.5リッター自然吸気V12エンジン、3つのエレクトリックモーター(うち2つはフロントのe-axleに、1つは新しい8速デュアルクラッチトランスミッションに組み込まれ、初めて内燃機関の後ろ、V12に対して横向きに配置)という前例のないレイアウトを持ち、カウンタック時代からギアボックスのために用意されていたトンネルは今回はじめて(エンジンが前後逆の向きとなるので)モーターを駆動するための比電力の高いリチウムイオンバッテリーに専有されることとなります。
この新しいアーキテクチャは最適な重量配分(フロント44%、リア56%)を可能とするうえ、重心を最適化し、加えてホイールベースを最適化することで完璧なバランスを実現するとされていますが、アンチロールバーの剛性を高め(フロント11%増、リア50%増)、ステアリングレシオを小さくする(Aventador Ultimae比10%減)ことによって俊敏性が担保されており、さらには4輪ステアリングシステムと専用に開発されたブリヂストン「ポテンザ・スポーツ」タイヤによってさらにその能力が高められることに。
なお、ランボルギーニはウラカンSTO以降、ブリジストンとの関係性を深めていますが、プレスリリースを見る限りではオプションではなく、標準の選択肢としてブリジストン製タイヤが装着されるようですね。
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今回導入されるe-axleの恩恵によってランボルギーニはLB744で初めて電動トルクベクタリングを導入することになり、これによって可能となったのが新しい車両制御システム「ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ2.0」。
この電動トルクベクタリングは各ホイールに最適なトルクを配分し、4輪ステアリングシステムとの相乗効果にて狭いカーブでの俊敏性と高速コーナリングでの高い安定性を両立させることが可能となり、従来のシステムとは異なって必要なときだけブレーキを介入させることで(相対的に外輪側のトルクを増加させ)効率を最大限に高め、かつ自然なドライビングスタイルと、より高いレベルのパフォーマンスを両立させることが可能となっています。
さらにブレーキング時には、e-axleとリアに積まれるエレクトリックモーターが減速に寄与し、ブレーキへの負担を軽減しながらバッテリーを充電することになるそうですが、回生ブレーキによる強力なブレーキングも期待できそうですね。
ランボルギーニ「LB744」はアクティブアロも装備
なお、前回のプレスリリースでは、「ランボルギーニで初めて航空工学に着想を得た新しいモノフソラージュ(カーボン製のキャビン)を搭載していることに触れていますが、これは超軽量の一体型カーボンファイバー構造(アヴェンタドール比で10%軽量化)を主骨格とし、高いエネルギー吸収性とねじり剛性の向上(アヴェンタドール比25%増)を両立させるという優れモノ。
そして今回明かされたのはこのカーボン製キャビンと相互に採用するアクティブ・エアロダイナミクスの存在で、「新しいレベルの効率とダウンフォースを達成した」といい、特に新しいフロントスプリッターとルーフのデザインによって空気の流れがリアウィングに流れ込むため、高負荷時にはアヴェンタドール・ウルティメと比較してフロントで+61%、リアでは+66%というダウンフォースを実現しています。
これらエアロダイナミクスは、LB744のために特別に設計されたランボルギーニ・バーティカル・コントロール・システムによって制御されるセミアクティブ・ウィッシュボーン・サスペンションと相乗効果を発揮し、サーキット走行中における急激な荷重移動など垂直方向の応力を電子制御にて緩和しつつ、サスペンションとリアウィングの動作をリアルタイムでマッチさせると説明されているので、ゼンヴォTSR-1ほどではないにせよ、今までにないリアウイングの動きを見せてくれるのかもしれません。
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ランボルギーニ「LB744」は足回りも強化
上記のような最高の性能に対応するため、ランボルギーニLB744ではブレーキシステムやブレーキ冷却システムも再設計されており、最新世代のCCBプラス(カーボンセラミックブレーキプラス)を採用し、なんとフロントは6ピストンから前代未聞の10ピストンキャリパー+410x38mmディスク(アヴェンタドール・ウルティメの400x38mmからさらに巨大化)、リアは4ピストンキャリパー+390x32mmディスク(従来の380x38mmから容量アップ)を組み合わせます。
なお、この新しいブレーキディスクは摩擦層で覆われており、ブレーキング時の性能、熱管理、音響の快適性を向上させているというので、「鳴き」が少ないのかもしれません。
フロントサスペンションのディフレクター、そしてホイールアーチ内のグリルは、フロントブレーキの冷却性能を向上させるだけでなく、ホイールウェル内の抵抗を減らしてフロントの荷重を増加させるような形状を持っており、後輪の前にある2本のNACAダクトは、アンダーボディの流れを集め、リアブレーキの冷却ダクトへと効率的にエアを導く、とのこと。
このランボルギーニLB744はプラグインハイブリッドとなりますが、ハイブリッド化に伴い、新たに3つの専用走行モードが追加され、この3つとは「リチャージ、ハイブリッド、パフォーマンス」。
この3つに対しシッタ(シティ)、ストラーダ、スポーツ、コルサの各モードが、ステアリングホイール上の2つのローターで選択できるようになることで合計13種類のダイナミックセッティングが可能となるもよう。
例えば「チッタ」は「都心部での日常的な走行を想定したドライビングモード」と定義づけられ、完全エレクトリックモードによるゼロエミッション走行。
エレクトリックモーターを駆動するリチウムイオン電池の充電が必要な場合、もし充電ステーションがなければ、V12エンジンが介入してわずか数分でフル充電(リチャージモード)されるそうですが、これにより、例えば排ガス規制のあるような歴史的な市街地をエレクトリックモードで走行することが可能となる場合も考えられます(EV以外の侵入が制限されている地域もある)。
ストラーダモードは、ダイナミックな日常走行やロングツーリングに最適なモードで、快適性とスポーティさを兼ね備え、最大886馬力のパワーを発揮しますが、V12エンジンは常にアクティブで、リチャージモードではバッテリーの充電を最適化し、最大限の力を発揮することができます。
フロントのEアクスルはトルクベクタリングをサポートし、アクティブ・エアロダイナミクスは高速道路などの高速走行時に最大の安定性を提供することになるようですね。
スポーツモードを選択すると、LB744の個性が変わり、組み合わせ可能な3つのモードそれぞれをもって運転する楽しさと優れたレスポンスを提供し、”エキサイティングなドライビング体験を提供する挙動”へと設定されることに。
この3つのモードとは「リチャージ、ハイブリッド、パフォーマンス」となりますが、3つのいずれの状況においてもV12エンジンに火が入った状態が継続され、このモードでは最大907馬力を発生しします。
LB744のサーキットでのダイナミックな走りを際立たせるドライビングモード「コルサ」では、パフォーマンスとサウンドの両面で、ダイナミズムと出力の頂点に君臨しており、パフォーマンスモードでは、パワートレインのポテンシャルを最大限に引き出す1,015馬力を発揮し、ハイブリッドシステムの制御は、トルクベクタリングと全輪駆動の両方でEアクセルの性能を最大限に引き出すように調整され、リチャージモードでは、バッテリーを優先的に充電し、その充電量を最大化することが可能となるほか、エキスパートドライバーのためにESCを無効にしてアクティブな制御なしに最大限のパワーを発生させたり、左ローター中央にあるボタンを長押しして起動する「ローンチコントロール」機能によって、フルパワーでのスタンディングスタートを行うこともできる、とアナウンスされています。
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参照:Lamborghini