
Image:Ford
| 現フォードCEO、ジム・ファーレイ氏は無類のクルマ好きである |
しかも「どんなクルマでも大好き」な人物であるようだ
さて、昨年「業界最大の」リコールを出し、今年もすでに130件ほどのリコールを届け出てしまったフォード。
そんなフォードのCEOを務めるのは生粋のカーガイ、ジム・ファーレイ氏ですが、同氏が指揮を取るようになったのち、F1やル・マン24時間への参戦が実現し、マスタングGTDのような過激なハイパフォーマンスモデルが登場するなど「フォードのイメージが大きく代わりつつ」あるのもまた事実。※トヨタ自動車における豊田章男氏のような存在である
-
-
フォードが2027年にル・マンへと復帰すると発表。「1960年代にフェラーリに挑み、勝利した場所に戻ります。私たちがレースをするとき、目指すのは勝利だけです」
Image:Ford | フォードは現体制となったのち、モータースポーツに対して強い関心を示している | その勢いはもはや「全てのカテゴリ」に参戦しそうなほどである さて、フォードが「2027年にFI ...
続きを見る
「オフロード界のポルシェ」は存在しない?
そこで今回同氏が公開した計画が「1,000馬力オーバーのオフロード・スーパーカー」 という大胆な構想で、価格は30万ドル(約4500万円)級、ダカール・ラリー参戦車両に着想を得た“究極のオフロードマシン”になる可能性があるもよう。
このアイデアはブルームバーグのポッドキャスト「Hot Pursuit!」にてジム・ファーレイ氏じきじきに語ったもので、以下のように述べています。
「オフロード界にポルシェのような絶対王者は存在しない。そしてオフロード走行が可能なスーパーカーも存在しない。誰もそこを考えていないのは驚きだ」
Ride along with @VaughnGittinJr, Bailey Campbell and the 7366 Bronco Raptor live here: https://t.co/alEAKR416s pic.twitter.com/7DCdzyivzf
— Ford Performance (@FordPerformance) August 15, 2025
なお、”オフロード×スーパーカー”というと「ポルシェ911ダカール、ランボルギーニ・ウラカン・ステラートがあるじゃない」と思うものの、ジム・ファーレイ氏はそれらについて(世界一過酷なオフロードレースとして知られる)「バハ500では車体が持たない」とバッサリ。
つまり、同氏は”より本格的な耐久性能を持つハードコアなオフロード用マシン”を構想しているようですね。
-
-
さよならポルシェ911ダカール・・・。ポルシェが「911ダカール最後の1台」を特別仕様へとカスタム。オーナーの要望にて特別なブルーが調合される
Image:Porshce | ポルシェは「最後の一台」として特別仕様車を生産することが少なくない | そしておそらく、特別な顧客を「最後の一人」に選んでいるものと思われる さて、ポルシェは自社にて「 ...
続きを見る
1,000馬力+部分電動化、フル調整可能な足回り
そしてポッドキャストによれば、構想中のマシンは以下の特徴を持つとされていますが・・・。
- 出力:約1,000馬力(ハイブリッドなど電動化の可能性も)
- サスペンション、ダンピング、車高をフル調整可能
- 高速オフロード走行(砂利・砂漠・ダート)専用
- ロッククロール性能は不要(つまりは高速走行に特化するようだ)
- ピックアップではなく、2シーター or 4シーターのスーパーカー
これらを見るに、「サーキットで速いスーパーカー」ではなく、「オフロードで最速を狙うスーパーカー」という全く新しい発想であることがわかります。
Vegas to Reno is the ultimate high-stakes run — 500 miles where the desert deals no favors. Our teams are ready to play their best hand with the Ranger Raptor, Bronco Raptor, and F-150 Raptor R leading the charge. ♣️ #15YearsOfRaptor pic.twitter.com/i4epoYcttK
— Ford Performance (@FordPerformance) August 15, 2025
フォードだからこそできる挑戦
さらにジム・ファーレイ氏は自社につき「フォードは安価な車から12万ドルのラプターR、そして50万ドル級のマスタングGTDまで生産し売ることができる“特殊なブランド”」とコメント。
さらに、モータースポーツにおいて豊かな歴史を持つフォードだからこそ、超高額な特別モデルを出しても顧客に受け入れられるとしています。
実際にフォードGTやマスタングGTDの購入者が忠実な顧客となっている事例もあるといい、さらに「投資価値を損なわず、転売ヤーを排除する」方針も繰り返し強調していますが、これによって「本当に好きな人にそのクルマを届け、価値を維持することで満足して乗ってもらう」ことを考えるという、「クルマ好きのためのクルマを作る」という姿勢が高く評価されているのが「今のフォード」だといえそうです。
そしてそんなフォードが本気で“オフロード界のポルシェ”を目指すならば、市場に大きなインパクトを与えることは間違いないと考えていいのかもしれません。
Image:Ford
-
-
1,400台の生産台数に対し7,500人もの購入希望者が殺到したフォード・マスタングGTD。オーナーは購入時に機密契約を締結し、納車から2年間は「転売禁止」
Image:Ford | そしておそらくその「2年間」にハングリーマーケットが形成される | よって2年経過直後はとんでもない価格にて取引されることとなるであろう さて、フォード史上「もっとも速くニュ ...
続きを見る
まとめ
- フォードCEOが「1,000馬力オフロード・スーパーカー」を検討中
- 部分EV化+調整式サスペンションで砂漠や砂利道を高速走行
- ピックアップではなく、スーパーカー的レイアウトを採用予定
- ブランドの強み=モータースポーツの歴史と顧客リピート基盤
- マスタングGTD成功の次に狙う、新たなカテゴリー開拓
合わせて読みたい、フォード関連投稿
-
-
フォード「も」EV向けフェイクシフトに関する特許を出願。シフトレバーにモーターを内蔵し「ガソリンエンジンっぽい振動」「操作時の抵抗」を再現するもよう
Image:Ford | 現在、このフェイクMT(シミュレーテッドMT)は各メーカーにとっての大きな関心事である | ただし日常的にこれを使用するとは思われず、パドルシフトのほうが有用かもしれない さ ...
続きを見る
-
-
フォードCEOが半年間シャオミSU7を運転し、「手放したくない」と語る。「通常は他社製品を褒めないのですが、このクルマは本当に素晴らしいと認めざるをえません」
Image:Xiaomi | 最近になって中国車の素晴らしさを方々で聞くようになったが、本当にいいクルマを作るメーカーが増えてきたようだ | それはほかのジャンルでも中国製品が市場を支配していることで ...
続きを見る
-
-
フォード「もはやニッチはニッチでなくなりました。これからは退屈なクルマづくりをやめ、かつてのフォードらしい、アイコニックな楽しいクルマを作るビジネスに移行します」
Image:Ford | さすがにフォードが少量生産ビジネスに移行できるとは思えないが、トヨタのようにアイコンを生かしたポートフォリオの展開は可能なはずである | 実際、フォードには「人気モデル」も多 ...
続きを見る
参照:Bloomberg