| やはりポルシェの新型ハイパーカーは「バッテリー性能」がその最大のネックとなっているのか |
そしておそらく、ポルシェは新型ハイパーカーについて「ピュアエレクトリック」以外の選択肢を考えていない
さて、ときどきポルシェに関して登場するウワサが「918スパイダーの後継となるハイパーカー」。
これについてはいくつかのウワサが(今までに)出ていて、ポルシェがこっそり開発していたF1用エンジンを積むというもの、ソリッドステートバッテリーの実用化を待っているというもの、2025年頃に発売というもの、はたまた「GT1」としてオーダーを集めているというものまで。
ただし今回「ポルシェのハイパーカーは少なくとも5〜6年は先」だと報じられ、となると2028年あたりまでこれが登場しない、ということになりそうです。
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少し前までは「2025年頃には発売」とされていたが
ちなみに2年ほど前だとポルシェCEO、オリバー・ブルーメ氏は「918スパイダー後継となるハイパーカーは2025年頃に登場する可能性がある」としていたものの、昨年には「バッテリー技術はまだ新しいハイパーカーに使用するのに適したところまで進化していない。そのようなクルマでは、バッテリーにかかる要求は通常の乗用車よりも高く、その技術はまだ開発途上である」「現在のポルシェにとってのプライオリティは電動化であり、ハイパーカーは(ポルシェの中心的価値であることは理解しているが)その後である」といった感じでトーンダウンしています。
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そして今回、ポルシェの開発・研究担当執行役員であるミヒャエル・シュタイナー氏は「私たちは独自の(次世代電池)セルを開発している最中です。子会社であるセルフォースグループ(Cellforce Group)で、既存のタイカンに使っているのと同じサイズのセルで(そのような新型バッテリーの)サンプルを持っています。だから、単なる研究ではなく、現実のものとなっているのです。今後2年以内に、これらの電池のいくつかを使って、量産車に何ができるかを示すことは間違いないでしょう」とコメント。
実際のところポルシェは新型バッテリーを開発していること、この新型バッテリーはハイパフォーマンスカーや限定モデルに使用されることについて言及しており、ある種の実現性を確保していることは間違いなさそう。
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そうなると気になるのが「2年以内に、この高エネルギー密度バッテリーを量産車に搭載できるのであれば、なぜ電動化ハイパーカーの実現が5〜6年も先になるのか」。
ミヒャエル・シュタイナー氏によれば「それは、(一般的な乗用車ではなく)この種のハイパフォーマンスカーに搭載するためには、バッテリーにもう一段階開発が必要だからです。開発がさらに進めば、特別なバッテリーセルを搭載したハイパーカーを作ることができるかもしれません。そして、ハイパーカーにとって重要な体積エネルギー密度という点で、十分な成果が得られたら、公道でレーシングカーに近い性能を発揮できるかもしれません。だから、私は(そのような車を)念頭に置いています...しかし、私たちの観点から、意味のある(技術面での)追加の改良が必要です」。
ポルシェの次期ハイパーカー計画は現在まだ「始まっていない」
要はまだまだ(ポルシェは高性能バッテリーの開発に成功したといえど)ハイパーカーに積むには十分な性能ではないということになり、そしてこれが「明らか」であるためか、ミヒャエル・シュタイナー氏は「ポルシェの次期ハイパーカー計画はまだはじまっていない」とも。
つまりはバッテリーの開発が最優先であり、それが確実なものとならない限りはハイパーカーの開発のしようがないということになるのだと思われます。
なお、ポルシェはつい先日、ガソリンエンジンを搭載したハイパーカーの試作車が存在したことを明かしていますが、これがお蔵入りになった理由は「既存の技術を使用したハイパーカーはポルシェの価値観にマッチしない」から。
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つまりガソリンエンジンをいくら突き詰めたところでそれは「過去の(もしくは現在の)もの」でしかなく、ポルシェにとっての未来を示すものとして適切ではないという判断がなされており、その意味でもポルシェの新型ハイパーカーは「ピュアエレクトリック一択」であり、そしてその登場時期はバッテリーの開発成否に依存するということになりそうですね。
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加えてポルシェは(上述のとおり)新型ハイパーカーの発売が先になることについて「他の新型車を優先するため」等の理由を掲げているものの、実際のところはバッテリーの開発が思うように進まないというものが「もっとも大きな」理由なのかもしれません(同様の理由からなのか、ランボルギーニは初のピュアエレクトリックカーに”スーパースポーツ”ではなく4人乗りの日常的なGTカーを選択している)。
そうなるとロータス・エヴァイヤやフェラーリのピュアエレクトリックハイパーカーに対抗できるポルシェの”純電動”ハイパーカーを見ることができるのはまだまだ先となりそうですが、今回の報道で「少なくとも、ポルシェのハイパーカー計画は消えたわけでも、まったく存在しないわけでもない」ということがわかり、それはそれで一安心でもありますね。
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参照:CARBUZZ